アルバム紹介
Iroha(2011)
UKバーミンガムの有力な実験音楽家であるAndy Swan(ex-FINAL)によるプロジェクト。本作はDenovaliからリリースされた1stアルバム。
まるでJesu。#1における幕開けから本家の『Silver』~『Conqueror』発表時における世界一ヘヴィなポップ・ミュージックに感化されたサウンド・メイキングが成されます。
重いリフとリズムによるサウンド基盤にエレクトロニクスの調和。そして淡く儚いヴォーカルが乗り、広大な世界に轟きます。
ヘヴィ・ロック/インダストリアルの領域からポストロック/シューゲイズを手中にし、アンビエント/ドローンを掠め、ポップにそしてドリーミーに奏でられた音からは神々しさも人肌の温かみも備わっています。
そして、天上に昇っていくような恍惚感がまた良い。優しさも儚さも激しさも重さも全てが渾然一体となる音の洪水はその手のファンからするとたまらないもの。シンセを多めに使ってる点から少し差異を見いだせなくもないが、それにしてもこのモロっぷりは逆に凄い。
その中でおやっとさせられたのがラストの#8「Iroha」という曲。ヘヴィ・シューゲイズな曲調に女性ヴォーカルがフィーチャされ、切なさと物悲しさが漂っているのだが、日本語のセリフが所々で入ってくる点に驚かされる。それゆえにプロジェクト名の”IROHA”は日本からとられたものなのだろう。
全体的な感想は最初に述べた通りにどうがんばってもJesuに行き着く他ないんだけども、この作風はジャスティン・K・ブロードリックのお墨付き(AndyはFinalのオリジナル・メンバーのひとり)。
またそれを証明するように本作のDISC2にはジャスティン先生によるリミックス・テイクが収録されている(本編をまるごと全曲リミックスしている)。こちらではあまり大きな変更はないものの、彼らしいエレクトロニクスの息遣いが感じられるものになっていて楽しめます。