【アルバム紹介】Killing The Dream、豪傑哀愁ハードコア

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Fractures(2008)

 DeathWish Japanより国内盤も発売されたカリフォルニアのモダン・ハードコアバンドの2ndアルバム。全12曲24分にわたって繰り広げられる豪傑哀愁ハードコアは、短すぎる収録時間とは裏腹に濃密なものに仕上がっており素直にかっこいい。

 荒々しいまでの爆走感と暴力的なギターリフで殺伐とした雰囲気を形成しつつも、その中に汗臭い哀愁を垂れ流します。そして、猛烈な怒りと憎しみを詰め込んだ咆哮は地平に轟く。無慈悲な感情をそこら中にあたり飛ばし、迸る激情が紅く燃えさかる問答無用のハードコアには体内の血も騒ぎ出す。

 叙情的なメロディを巧みに織り込んではいるものの強靭なサウンドには一部の隙もない。一言で表せば “激烈” この言葉に尽きます。全身を殴打する非道っぷりが余りに凄まじい#3と#4、暴力性と叙情性を共存させた劇的なラストトラック#12等は本作を語る上で欠かすことのできない楽曲。他の曲にしても1~2分台とはいえ、猛獣の牙が否応なしに襲い掛かってくるものとなっていて強力。軟弱メタルや似非者ヘヴィネスなどは、ものの数秒で粉々に破壊してしまう力作だ。

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