Petit Brabancon、衝動のままに吠える音

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 DIR EN GREYの京さん、L’Arc~en~Cielのyukihiroさんが母体となって生まれた5人組ロックバンド。メンバーは他にMUCCのミヤさん、Tokyo Shoegazerのantz(ワタナベキヨミ)さん、THE NOVEMBERSの高松さんを擁する。オールスター・バンドと言えるほどのメンバーが集まっています。バンド名のPetit Brabancon(プチ・ブラバンソン)は、ベルギーを原産国とした小型犬。

 本記事は1stアルバム『Fetish』について書いています。

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Fetish(2022)

 1stアルバム。全13曲約44分収録。”歌詩に縛られてほしくない、歌も音の一部として感じ取ってほしい”という京さんの想いから歌詩はブックレットに掲載していない。それぞれのバンドが持つ固有のイメージはある中で、現時点におけるPetit Brabancon(通称:プチブラ)の形は示しています。

 プチブラの音楽を一言で表すならば“武骨”でしょうか。荒々しくて重い。そして時折、鈍く妖しく光る。大部分は90年末から00年代頭のニューメタルを彷彿とさせます。メインコンポーザーはミヤ氏で13曲中8曲を担当。初期ムックに連なる重いリフを振りかざすことが多い。重低音でゴリゴリと削りにきて分厚いコーラスを重ねる#1「Don’t Forget」~#2「疑音」は、ニューメタルが洋楽聴き始めだった自分には懐かしさがあります。

 yukihiro先生によるデジタル・エディットも盛り込まれ、インダストリアル~ミクスチャーのテイストも交わる。いけないパーティー感を晒す#3「OBEY」やヒップホップを持ち込んだ#8「I Kill myself」、トライバルなリズムと儀式的なムードで引っ張る#12「無秩序は無口と謳う」といった変化球はあります。最もバンドのイメージから遠い打ち込み中心の#7「come to a screaming halt」はyukihiro先生がacid android用に作っていた曲を改変。

 それでも野性味に溢れ、精神性はハードコアに根差しています。獰猛に嚙みついてくる犬のようでもあり、殴り合い上等のボクサーのようでもあり。バンド名は小型犬の分類。ですが、声も音もずいぶんと凶暴です。京さんはDIRやsukekiyoのようにキレイに歌うことは少ないですが、相変わらず多数の声を操縦。”歌は技術的にやりすぎない”という意識のもと、理屈よりも人間の本能で声を出そうと曲に反映されています。

 『ROCK AND READ VOL.102』の京さんのインタビューを読むと、”あえて完成度を高くしない、衝動性をパッケージングしたかった”と語ります。完成された人たちが完成されていないことを目指す。その面白みがプチブラにある。

 

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