Rorcal、闇の最も深い部分へと突き落とす音

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Vilagvege(2013)

 2005年にスイスで結成された5人組。闇の最も深い部分に到達し、名状しがたいものを表現する方法を探すことをコンセプトに掲げる。本作は3rdアルバム。世界の終わりをテーマにしています。

 淡々としたドラムの進行と薄く広がるノイズ音が鳴り響く#1「Ⅰ」から身体の芯から恐怖が忍びより、次に炸裂するはドゥーム/スラッジをベースとしたどす黒い重音と凶暴な咆哮。#2「D」は、お決まりのスロウテンポと共に9分半をかけてゆっくりと聴き手を痛めつけてきます。手加減は一切ない。

 続いての#3「Ⅱ」ではここまで我慢していたブラスト・ビートを解禁して重轟音と激速でタコ殴りの刑に処す。絶えず猛攻撃を仕掛けてくる無慈悲さがあります。遅さと速さ、これらを研究し尽くした上での破壊力というのが尋常ではなく、それが顕著に表れているように感じる#7「Ⅵ」では嫌らしい緩急を使って悪夢を見せます。

 かと思えば、音による拷問#4「Ⅴ」やブラックメタル風のアプローチが印象的な#6「Ⅶ」の終盤で、サンプリングされたオペラが流れ、大仰ゴシックな演出が不穏な空気と緊張感をさらに高めていく。キチガイ染みたアグレッションに特化しながらも、計算された仕掛けが恐ろしいところ。

 激速の序盤からひたすら遅く重く圧し掛かってくる最終曲#8「Ⅷ」に至るまでの全8曲。同郷の大先輩であるCeltic Frostの終末観を引き継ぎながら、煉獄の音は容赦なく続く。ThouやPrimitive Manといったバンドと同様に、腹を括って聴くべき作品。

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