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【アルバム紹介】SAOSIN、スクリーモ最終型と呼ばれたバンド

  2003年に結成された結成アメリカはカリフォルニア州出身の4人組バンド、セイオシン(かつては5人組)。

 バンド名は激ロックのインタビューによると”永遠に続くものなど何一つ無いので慎重に愛せ”という意味の中国のことわざからきています。

 ”スクリーモ最終型”の口説き文句を背に2006年に『SAOSIN』でデビューし、全米アルバムチャートで上位を記録。これまでに3枚のフルアルバムをリリースしています。

 本記事はこれまでに発表されているフルアルバム3作、初期EP1作の計4作品について書いています。

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 アルバム紹介

Translating the Name(2003)

 1st EP。全5曲約15分収録。初代ヴォーカルのアンソニー・グリーンを擁し、スクリーモの新星としてセイオシンが脚光をあびるきっかけとなった作品です。

 エモ~ポストハードコアを拠点にメタルの境界線をまたごうとするリフと涼やかなメロディを掛け合わせるツインギター、手数多めにドラムが屋台骨を支えます。

 当時にスクリーモとして台頭してきたFinchやThe Usedよりもメタル寄りですが、スポーティに感じる爽やかさと軽やかな機動力があり、ヴォーカルからはその一瞬に込める熱気が伝わります。

 核となっているアンソニーはのどをふるわせて掠れ気味の高音でスクリームし、メロディを歌い上げるパートには独特の品がある。その歌声はややナイーブすぎる面もありますが、ギターのアルペジオと相乗効果でやたらと哀愁を漂わせています。

 代表曲のひとつである#1「Seven Years」の静と動/涼と熱のコントラストの巧みさ、重厚なリフで引っ張る#3「3rd Measurement In C」の終盤における情熱のぶつけ方、猛烈なドラミングからスタートする#4「Lost Symphonies」のエモ+メタルの掛け合わせっぷり。

 本作にはここにしかない初期衝動と推進力が詰まっている。アンソニーはアルバム発表後の翌2004年に脱退し、Circa Surviveを結成しています。

メインアーティスト:セイオシン
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Saosin(2006)

 1stアルバム。全12曲約41分収録。全米アルバムチャート22位を記録。2代目ヴォーカリスト、コーヴが加入しています。声質はアンソニーに似ていますが、スクリームはほぼ使わず。ハスキーなハイトーンが魅力です。

 爽快な疾走感と美メロを掻き鳴らしながら、激しく感情を掻き立てるハイトーンと艶やかな歌メロを巧みに分けるヴォーカルが実に良い。

 バンドサウンドをベースとしたシンプルな作風ですが、手数多めのリズム隊が屋台骨をしっかりと支える中でメタリックなリフを炸裂させたり、エッジの立ったツインギターがスピーディに絡み合ったり。

 ラウドな手触りや火の玉のような勢いによるインパクトの強さの方が魅力ありですが、ナイーブなメロディが聴き手の心を惑わせる。エモ特有の焦燥感や切迫感を募らせ、ダイレクトに胸を打ちきます。

 時には独特の浮遊感も醸しながらも、ここぞという瞬間の引き込みの強さも魅力的に映る。#1~#3までにエネルギッシュな勢いで畳み掛けて、一旦のピークを迎える#4での揺さぶりは見事。

 そこから後半に向けてはメロディアスな面を際立たせていく。初作にしてこれだけストレートに訴えるものが作るとはお手上げです。

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 In Search of Solid Ground(2009)

 2ndフルアルバム。プロデューサーにブッチ・ウォーカーを迎えていることからFall Out Boyの成功に感化された様子が伺えます。

 #1こそ前作の延長線上ともいえますが、#2や#3では独特の透明感を増しつつ、ずいぶんとポップなテイストが取り入れられていることに驚かされます。

 エモ~スクリーモ界隈からさらなるメインストリームを目指したロックスタイルへの移行。スタジアムクラスで歌えるようなポップチューンであったり、ダークでメロディアスなふくらみを増したり、シリアスな深みが出てきたり。

 楽曲のバリエーションは以前にも増して、歌を軸とした方向で広がっています。そのため疾走曲はほぼなくなり、ミドル~スロウな曲調がほとんどに。けれども、捻りあるリズムや展開を使った一筋縄では終わらない工夫があります。

 本作は賛否両論(どちらかと言えば否寄り)の多い作品ですが、バンドが新しい改革をしてのし上がっていこうという気概に溢れています。・・・しかし、ヴォーカルのコーフ・リヴァーが翌年に脱退してしまい、しばらく活動停止。

メインアーティスト:セイオシン
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Along the Shadow(2016)

 3rdアルバム。全11曲約39分収録。初代ヴォーカリストであるアンソニー・グリーンの復帰作。リリースは名門Epitaphレコードからで、Circa Surviveでもコンビを組むWill Yipをエンジニアに起用。

 もともと”アンソニーしか勝たん”的な人が多数いたわけですが、本作は単なるノスタルジックな旅というわけではありません。

 幕開けとなる先行シングル#1「The Silver String」から彼のスクリームが入るだけで、1st~2ndの雰囲気とは似て非なるものと感じますが、やわらかなメロディがもたらす包容感が何とも心地よい。

 かつてより成熟したソングライティングによる魅力的かつ聴かせるムード作り。メロディメーカーとしての向上は#4~#7までの中盤に顕著で、刺激的なヴォーカルをアクセントに入れながらも浮遊感や奥行きのある構成が聴き手を引き付けます。

 それでいて#2「Ideology Is Theft」の猛烈なギターとスクリームによる攻撃の活性化、重心の低いスラッジを据えた歌もの#9「Old Friends」のような変化球もキまる。

 決して思い出に浸るだけにさせない前進を感じる作品であり、待ち望んでいたものとこれからの期待がつまる#11「Control and the Urge to Pray」はあまりにも見事。

メインアーティスト:セイオシン
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プレイリスト

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