
アメリカはカリフォルニアのオレンジ・カウンティ出身の5人組バンド。2003年結成。”スクリーモ最終型”の口説き文句を背に2006年に『SAOSIN』でデビューし、全米アルバムチャートで上位を記録。これまでに3枚のアルバムをリリースしています。
本記事は1stと2ndアルバムの計2作について書いています。
アルバム紹介
Saosin(2006)

1stアルバム。全12曲約41分収録。全米アルバムチャート22位を記録。爽快な疾走感と美メロを掻き鳴らしながら、激しく感情を掻き立てるハイトーンと艶やかな歌メロを巧みに分けるヴォーカルが実に良い。
バンドサウンドをベースとしたシンプルな作風ですが、手数多めのリズム隊が屋台骨をしっかりと支える中でメタリックなリフを炸裂させたり、エッジの立ったツインギターがスピーディに絡み合ったり。
ラウドな手触りや火の玉のような勢いによるインパクトの強さの方が魅力ありですが、ナイーブなメロディが聴き手の心を惑わせる。エモ特有の焦燥感や切迫感を募らせ、ダイレクトに胸を打ちきます。
時には独特の浮遊感も醸しながらも、ここぞという瞬間の引き込みの強さも魅力的に映る。
#1~#3までにエネルギッシュな勢いで畳み掛けて、一旦のピークを迎える#4での揺さぶりは見事。そこから後半に向けてはメロディアスな面を際立たせていく。初作にしてこれだけストレートに訴えるものが作るとはお手上げです。

In Search of Solid Ground(2009)

2ndフルアルバム。プロデューサーにブッチ・ウォーカーを迎えていることからフォール・アウト・ボーイの成功に感化されたご様子。
#1こそ前作の延長線上ともいえますが、#2や#3では独特の透明感を増しつつ、ずいぶんとポップなテイストが取り入れられていて驚かされます。
エモ~スクリーモ界隈からさらにメインストリームを目指したロックスタイルへと移行している。スタジアムクラスで歌えるようなポップチューンであったり、ダークでメロディアスなふくらみを増したり、シリアスな深みが出てきたり。
楽曲のバリエーションは以前にも増して、歌を軸とした方向で広がっています。そのため疾走曲はほぼなくなり、ミドル~スロウな曲調がほとんどに。けれども、捻りあるリズムや展開を使った一筋縄では終わらない工夫があります。
本作は賛否両論(どちらかと言えば否寄り)の多い作品ですが、バンドがのし上がっていこうという気概に溢れています。

Along the Shadow(2016)

3rdアルバム。
