tattered the wall、ノイズとスラッジの足し算だけではない何か

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Shedding Season(2022)

 東京を拠点に活動する3人組Tattered The Wall(タッタード・ザ・ウォール)の1stアルバム。全7曲約42分収録。既発のデモ音源をリアレンジした3曲と新作の3曲に加え、extremeOBSNのリミックス曲がその内訳。Studio ZoTにてレコーディング。

 ベース、ドラムにノイズ担当を交えたギターレスの編成。そして全編インストゥルメンタルですが、ドゥーム/スラッジメタルを基本線にエグい重量感が三半規管を弄ぶ。歪みを効かせまくったベース、規則正しく撃ち込まれるドラムによる鈍い進行。そのリズム隊をガイドラインにノイズ/プログラミングが”歪さ”を加速させます。気味悪いオルゴールのような音色から警告を発するサイレン、#6のようなブレイクコアっぽいアプローチまで不気味な彩りを与えている。

 #1「Paracelsus’s Waltz」は災いを呼び込む予告編となり、#2「Get Lost In The Maze」の定期的にやってくる抑圧の悪魔が脳を痙攣させる。”わけのわからない恐怖”と題された9分超の#6「Incomprehensible Terror」にて最も打ち込み要素を強め、救いのないディストピアが描かれます。でも、パラケルスス(#1)やニュートン(#3)といった偉大な学者が曲名に使われている不思議さも。わかりやすい音楽ではないからなのか。

 感情を押し殺した冷徹さがあり、リズム隊の方が機械的でノイズの方が人間的という印象があります(ライヴはまた違う印象を受けそうですが)。それでも生音と電子がじりじりと蝕む中、ノれるという感覚は捨てていない。ドゥーム/スラッジが軸として機能している側面が出てますが、不安を煽るタイプのサウンド・トラックとしても活用できる優位性も得ている。

 extremeOBSNによるリミックス#7は、自分の効いた範囲内だとBen FrostとVladislav Delay『Rakka』が混じったかのような破壊力。もはや聴いていると生きるという志すら、この重低音の前に歪む。

 

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