9mm Parabellum Bullet ‐‐Review‐‐

2004年3月に横浜にて結成された4人組ロックバンド、9mm Parabellum Bullet。出始めた当初に”突然変異系”とも評されたサウンドは、オルタナ~メタルからの影響が色濃く、それでいて歌謡性のあるメロディと端整な歌声を重ね、多くのファンを獲得している。現在までに5枚のフルアルバムをリリースし、日本武道館公演を重ねるなど日本を代表する若手ロックバンドのひとつといえる存在に成長した。

レビュー作品

> Dawning > Movement > Revolutionary > VAMPIRE > Supernova / Wanderland > Termination > Discommunication e.p. > The World e.p.


Dawning (通常盤)

Dawning(2013)

 結成”9″周年を飾る約2年ぶりとなる5thフルアルバム。しかしながら、年月を重ねてもそのスタイルにブレは全く無く、いつもの9mmスタイルで勝負といったところで頼もしい。端正なギターロックにメタリックな意匠を施し、境界線スレスレを突こうとするらしさがしっかりと出ているように思う。持ち味を存分に発揮した#1「Lightning」~#3「Answer And Answer」までの序盤3連発は、もう完全に9mm印。他のバンドには絶対に真似できない歌謡性とハードロッキンの衝突、ギアチェンジを繰り返すが故の展開の妙、まるで衰えない初期衝動。彼等って蒼さが抜けてない点が、いい意味でプラスになっていると改めて感じさせる。それでもクリーントーンの美しいギターを中心に据えたバラード調の#7「コスモス」は堂に入っていると思うし、やっぱりこうでなくっちゃと思ってしまう変則的な#10「ハートに火をつけて」は、反則と言いたくなる出来栄え。

 ラストの流れは、これまでの作品の中でも強烈な部類に入るものであり、ヘヴィなギターが大きくうねりをあげる#11「Caution!!」、シリアスな情緒を押しだしたメロディアスな#12「黒い森の旅人」、1stの「Punishment」クラスの爆走メタリック・チューン#13「The Silence」と怒涛の3曲で締めくくる。音楽的には少ししか幅は広がっていないにせよ、己の持ち味を存分に発揮したであろう手堅い内容で納得できる作品だと思う。欲をいえば、前作からシングルカットされてストリングVerとなった「カモメ」の発展系の楽曲があれば良かったかなと感じた。


Movement

Movement(2011)

 約1年ぶりとなる4thフルアルバム。前作である程度の完成系に至ったと思う9mmのサウンドだけど、メタリックな破壊力とカオティックな構成にはさらに拍車がかかっている。一方で端正すぎる歌や哀愁のフレーズはよりベタになってて、ポップとしての側面も引き立たせているのは9mm色ということか。爆音と哀愁のこの鬩ぎ合いは実に彼等らしい。

 生き急ぐ高速のアンサンブルと変則的な展開で突っ走る#1~#3で拳を突き上げて、どんどんと加速。やっぱりこの切れ味とカオティックな形相、それに日本人らしい哀愁と歌謡曲、ひいてはヴィジュアル系にも通ずるベタさがあるのが良いですね。さらにはツインリードやツーバスが増えているのが、破壊力を後押ししていて印象に残る。アホみたいに獰猛、かつクサメロが縦横無尽に咲き乱れる#9はある意味凄い。中盤からはシリアスな歌ものが増えてくるんだけど、キラキラと舞う粉雪のように美しくデザインされた#5「銀世界」では、胸を締め付けられる思い。珍しく高速ラウドな曲ではなく、ミッドテンポの聴かせる曲をラストに置いた#11「カモメ」もまた彼等の新たな挑戦といっていいだろう。バラエティは前作よりもさらに広がっていて、巧い具合に様々な音楽要素を集積もできている。ヴォーカルの表現力はこのまんまでしょうけど(笑)、楽器陣と幅と深さをどんどんと拡げていってるのが頼もしい。

 正直、聴かせるタイプの曲を多めにしていることもあってか前作や1stほどの衝撃は感じなかったけど、彼等が順調に表現力を高めているのが理解できる1枚だと思う。


Revolutionary

Revolutionary(2010)

 映画『彼岸島』主題歌「命ノゼンマイ」を含む全10曲で構成された1年半ぶりの3rdフルアルバム。初のセルフプロデュース作とのことだが、その衝動の塊はより強固により鋭く鼓膜を突き破る。49秒の痛快な幕開け”Lovecall From The World”の威勢よすぎる叫びっぷりにまず興奮し、ラウドでメタリックな轟音鋭角サウンドと叙情的なメロディがリズミカルにぶつかり合う#2″Cold Edge”で一気にもっていく。前作で多少、浮き足だってた印象のある歌謡メロを違和感を覚えない感じに溶け込ませ、破壊力のベクトルを一段上とあげたその音の弾丸は、さらなる精度と破壊力で打ち抜いてくれる。

 豪快なハードコアから王道のメタル、そしてディリンジャー・エスケイプ・プランのような変則カオティックっぷりまで展開は様々であるが、そこにキャッチーな旨みと哀愁を落とし込んだ本作は9mmの原色がしっかり出ているように思う。むしろ、ダサかっこいいとか言われて逆に吹っ切れたのだろうか。焦燥感に煽られたかのように行き急ぐ前半の楽曲は、そのアグレッションと疾走感が以前にも増して振り切れている印象。逆に、モノクロのメロディを聴かせるミディアムチューン#6やメロパワ風のギターソロやツインリードが飛び出す#7、今までの9mmっぽくない静と動のトリッキーな遷移がみられる#9など後半の曲では間口にも気を使っている。それでもヴァリエーションを広げつつ、全体としてのテンションを持続させているのは構成が巧くなった証だろう。危い印象は拭えないが、ヴォーカルも詩世界を唄に投影できるような味が出てきた。それによってアルバム全体の臨場感やリアリティも浮かび上がっている。

 特に、命を燃やし尽くすように猛然と最後の一撃をかますラストの名曲『The Revolutionary』は本作一番の楽曲だ。毎度ながら、締めくくりで一番優れた楽曲をもってくるのは本当にお見事の一言。いつも最後に最高の興奮を味あわせてくれる。33分というランニングタイムも潔く、彼等の掻き均すラウドな音塊が”昂揚”の2文字へと確実に導いてくれる快作だ。


VAMPIRE

VAMPIRE(2008)

 約1年ぶりとなる2ndフルアルバム。今年5月に発売したシングルにおいても鼓膜を磨り減らす音の苛烈なぶつかり合いに、紅い烈風が吹き荒れる衝撃の連続だったのが記憶に新しい。本作でもメジャーの洗礼を受けて変にポップ化していってしまうこともなく、今まで通りメンバーの言う”ダサかっこいい”路線を邁進している。その言葉はつまるところメタル・ハードコアばりの鋭利さの突き詰めと口ずさめるような情緒ある和風歌謡メロをこれまで以上に特化させたこと。エモやハードコア、オルタナ、メロコア、V系などの多ジャンルを横断して飲み込んだ音楽性も、後ろめたく退廃的な詩世界もそのままだけど、リフを聴いてわかる通りにメタルへの憧憬がこれまで以上に楽曲に表れているように感じた。

 メタリックな色をさらに強めて鋭く耳に切り込んでくるツインギター、多彩な色合いをつけるベースライン、破壊力満点に迫りくるドラムが華々しく火花を散らし合う激しいアンサンブルが豪快に炸裂。そこにのせるヴォーカルはやっぱり危うくも端正でとっても普通。取り扱い注意の爆発物がこのヴォーカルで変な色気を出しているのは実に9mmらしい。そんな本作の前半では中毒性の高いギターリフを意識に纏わりつけ、性急に凶暴に駆け抜ける高速のビートで脳髄を攻撃することで、血が紅さを増していくほどの熱が体中を迸る。突拍子も無く暴発するカオスにタジタジ。そんなアドレナリン全開な前半とは対照的に、哀愁とメランコリーを強調した落ち着いた曲が多い後半は、聴き手によってはかゆいところに手が届かなくてぬるさを感じてしまうのも否めない。ただ、その分はラスト#12でがっちりとかましてくれたことで帳消し、聴く側としてもスカっとした気分で締めくくれる内容となっている。起伏の激しい曲構成やメロディを際立たせる巧みさ、鮮やかなキメっぷり、40分に満たない時間に詰め込まれたアイデア等は前作よりも確かな成長を感じさせてくれるし、叙情的なインストや彼等にしては超尺な5分半の曲といった新要素をねじ込んでくる駆け引きにしてもおもしろい。

 エモいメロディーラインと中盤のツインリードに惹かれる#4、メイデン風のツインリードを始めとした繊細な哀愁と狂気が鬩ぎ合う#7、疾走しながらも踊り狂える#10、ロックのアウトバーンを混沌とした暴走で駆け抜けていく#12辺りが本作では特にお気に入り。前作で感じた爆発的で荒削りな初期衝動が希薄になったことは残念に思うところだけど、勢いだけでは生み出せない刺激が実に気持ちいい作品だ。


Supernova/Wanderland

Supernova / Wanderland(2008)

 鋭い牙を剥く轟音、琴線を擽るメロディ、危うくも端正なヴォーカル、どこか退廃的な詩世界。それらに限らず多くの要素がクロスする彼等の音楽性は燃え上がる炎のように熱く、聴くものの心を焦がす情熱を感じさせ、最後に弾丸よりも遥かに大きな衝撃波を強く打ち込む。2007年11月に発表した1stアルバムの「Termination」で前述の通りにポテンシャルとセンスの高さを見せつけ、多くのファンを獲得したのだが、本作に収められている3曲(ボーナストラックのピアノバージョンを含めると全5曲)もその期待に応える出来だ。アイアン・メイデン風のツインリードを始めとして繊細な哀愁を漂わすメロディと狂気が鬩ぎ合う#1「Supernova」、豪快でメロディックな音の波に飲み込まれる#2「Wanderland」、とことん尖った鋭さを破壊衝動としてぶつけまくる#3「Wildpitch」。相変わらずどの曲も密度の濃いロックナンバーに仕上がっており、9mmらしい魅力に溢れている。独自の美学を追求して渦巻いたカオスはいかにも強烈で、突き抜けるような昂揚感はとても気持ちいい。イマドキの若者のみならず、メタルやハードコア好きにもアピールできるアグレッシヴで鋭利な感覚をこれからも磨いていって欲しいものだ。


Termination(期間限定盤)

Termination(2007)

 その圧倒的なライブパフォーマンスでインディーズシーンに旋風を巻き起こしてきた9mm Prabellum Bullet。そんな熱いバンドが満を持してメジャー進出して発表した初のフルアルバムは明確にそして、確実に聴き手の心を捉える作品となっている。この作品が与えた衝撃は大きく、9mmのパラベラム弾に心を撃ち抜かれ、即死した人多し(笑)。

 ギターロックと呼ばれる彼らだが、エモやハードコアの激性も乗った攻撃的サウンドが持ち味だ。非常に鋭利さがあって獰猛、2~3分台のコンパクトな楽曲で全12曲が構成されていて、一気に駆け抜ける爽快な40分。短いながらも楽曲にはインパクトを与える十分な力を持っていて、日本の和を感じさせる哀愁のメロディと突如として反乱を巻き起こす狂騒の轟音とのギャップがバランスよく構成されている。特に今作ではメロディが以前と比べると心に響く作風となっていて、彼等の武器になりつつあるところまで磨きがかかってきた。ダイナミックで躍動感のあるパワフルな演奏にも惹かれる部分は多い。

 雪崩れ込む轟音の嵐に身震いする#1「Psychoporis」、オリコン初登場9位を記録したキャッチーながらも脳天を刺激する#2「Discommunication」、衝動と叙情性がぶつかり合う#3「Heat-Island」、ゴリゴリとしたリズムにギターが鮮やかに絡む#4「Sleepwalk」、陽炎のように蠢く#7「Sundome」などしっかりとノレると同時に心を揺さぶってくる。そして、ラストの畳み掛ける3曲はこれまで以上に衝撃的。ツインギターの織り成すドラマティックさに悶絶する#10「Termination」。よりシャープに洗練された#11「The World」。#12「Punishment」は間隙を抜けて一直線に突き刺さる音の弾丸となって我々を打ち抜くだろう名曲で個人的に今作で一番のお気に入り曲。全体的に以前にも増して楽曲が洗練された印象を受けるし、楽曲から感じられる初期衝動の大きさも迫力に相乗効果をもたらしている。


Discommunication e.p.

Discommunication e.p.(2007)

 インディーズ時の活動の勢いそのままにオリコン初登場9位を記録した9mm Parabellum Bulletのメジャーデビューシングル。9mmプライスという999円の安価に加え、表題曲1曲と35分のライブトラック1曲が収録されており、彼等の魅力を伝えるには十分すぎるほどの内容となっている。

 タイトルトラック「Discommunication」はハードコアの激性とキャッチーなメロディが抜群の昂揚感を生む楽曲。心地よくもかなり刺激的で特に2:45過ぎから雪崩れ込む音の激流は破壊力抜群。そして、全く切らずに9曲約35分が収録されている話題のライブ音源である。それは彼等の勢いそのものが表れており、終始振り切れているテンションにこちらも白旗を揚げてしまう。オープニングの「Heat-Island」からラストの「Sector」に至るまで盛り上がり必至のライブ空間を追体験可能。ライブには定評のある彼等、それがしっかりと表現されている作品だと思う。シングルだが、初期衝動を感じる作品としてオススメ。


The World e.p.

The World e.p.(2007)

 残響レコードに所属し、ライブパフォーマンスが強烈と話題の9mm Parabellum Bullet。今作は2007年8月まで、限定発売された新曲2曲と人気曲の再録5曲を収録した7曲入りEPである。

 エモ・ハードコアやパンクなどの血脈も感じさせるギターロックを主体としたバンド。凛として時雨やミドリなど共に「突然変異系」というカテゴライズもされたりしているが、この9mm Parabellum Bulletはその代表格として名を馳せている。今作でもそれが顕著に出ており、荒々しいギターサウンドとキャッチーさのあるメロディのせめぎ合いが特徴的。畳み掛ける迫力あるサウンドは限界点を越えるキレっぷり。それでいて世界観は純粋といいますか、刺々しい歌詞の表現が多いんだけど共感してしまう部分が多い。ただ、ヴォーカルの弱さが穴として浮き上がっていることは否めないが。

 訴えかける軽快なロックナンバーのタイトルトラック#1、衝動と叙情性がぶつかり合う#2とここまでが新曲。再録曲はどんな変貌を遂げているかはわかりませんが、どれも人気曲だけに一癖も二癖もあって、さらにパンチの効いた曲に仕上がっている。特にラストの#7「Sector」は爆風を纏い猪突猛進する圧巻の激走チューン。今の9mm Parabellum Bulletの姿を音にぶち込んだ作品として個人的に気に入ってます。

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