Album Leaf ‐‐Review‐‐

サンディエゴの出身のジミー・ラヴェルによるソロ・プロジェクト。シガーロスやムームともリンクするこのプロジェクトは、現在までに5枚のアルバムを発表。ポストロック/エレクトロニカというジャンルにおいて、確かな地位を築き、日本でも数回の来日公演を行っている。

レビュー作品

> A Chorus of Storytellers > Into the Blue Again > In a Safe Place


Chorus of Storytellers (Dig)

A Chorus of Storytellers(2010)

 実に3年半の歳月をかけて製作した通算5枚目の作品。活動開始10年という節目を迎えたそうだが、本作では初のバンド編成での録音を敢行した(これまではジミー・ラヴェルがほぼ全ての楽器を演奏)ことで顕著になった厚みのあるアンサンブルが特徴的。それが生命力やダイナミズムを楽曲に与え、どっしりとした安定感をもたらしている。繊細な音色に根付き始めた”強さ”が、リリカルな表現力をさらに雄弁にしているのは特筆すべき。とはいえ、代名詞といえる、圧倒的なまでに美しいサウンドスケープは揺らがない。ポストロックやエレクトロニカは拠り所にし、惑うことなく聴き入ってしまう極上のメロディを紡ぎだしている。ゆるやかなブレイクビーツとサンプリングが胸をほんのりと焦がし、アコースティックの柔らかな音色、楽曲に新たな輪郭を描きゆくラヴェルの淡い歌声、厳かでありながら切ないストリングスやエレピの調べが叙事的に響く。また、インストゥルメンタルとして定評があったところに、唄モノとして勝負できる楽曲を数曲そろえてきているのも特筆すべきことだろう。#3の硬柔のコントラストの妙と切ない歌メロがじわじわと心を捉えるし、どこまでも純化されたメロディに包まれる#6も心地よい。隅々まで貫かれた美意識、熟成された音の広がり、涙を誘うには十分すぎて困る。アメリカ出身なのにここまで北欧の幻想性と独特の温もりで世界を包み込むような感覚を持ち合わせているのは、やっぱり並じゃない。


Into the Blue Again (Dig)

Into the Blue Again(2006)

 前作の3rdアルバム「In a Safe Place」でのシガー・ロスの全面協力によって一躍、世間へ大きくアピールしたAlbum Leaf。2年ぶりとなるこの4thアルバム「Into The Blue Again」は逆に、孤独な戦いの末に出来上がった作品だ。

 ガラス細工のように繊細で脆い。そんな印象を受ける精微でせせらぐような音楽だ。柔らかな光に包み込んでいくような優しく静謐なエレクトロニカ。環境音楽なんて表現もされていたりするが、確かに音楽的な形容としてはあながち間違いではない。自然の音色も聴こえてきそうな豊かな感情を持つ音楽なのである。はっとするような劇的な展開があるわけではない。けれども全くストレスがたまらない。むしろそういったものは「私の音楽が癒してあげるよ」といわんばかりに全て洗い流していきそうな清らかなサウンドを奏でている。どの曲にも心の奥底に染み込んでくるような琴線に触れる逸脱なメロディが存在しているので、聴いていると穏やかな気分になれるだろうと思う。3曲ほど収録されている歌ものも効果的なアクセントを生み出し、ムーディだ。光彩陸離の美しい世界が描き出された本作には癒しと感動が詰まっている。


In a Safe Place

 In a Safe Place(2004)

    名門SUB POPへ移籍しての3rdフルアルバム。親交のあるシガー・ロスが全面バックアップしており、彼等のアイスランドのスタジオで制作され、MUMなどのゲスト参加もあってアルバム・リーフの中でも人気の高い作品となっている。

 彼等に関しては4thアルバムから遡って聴いていて、これ以前のアルバムはまだチェックできてないけども、本作で現在の方向性が固まったというのを耳にしている。そういう前情報を頭に入れつつもじっくりと作品に耳を傾けてみると、安らぎと心地よさが心まで入りこんでくる。温かみのあるエレクトロニカに生演奏がしっとりとした情感を灯し、限りなく研磨された美と清涼感のあるポストロックが脈々と流れ続けている印象。ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、アコギ、さらには電子音の揺らめきが調和するこの美しいサウンド・デザインは、まるで透き通った水のようだ。さらには唄ものが入る事でポップさが増し、より間口が広がっている。音と音とのナチュラルな触れ合い、繋がりがジミー・ラヴェルという人物を通すことで見事な音像へと変貌。北欧系ポストロックに接近しつつも、彼にしかできないドリーミーなエレクトロニカ/ポストロックを本作では巧く表現している。静かに美しい煌きを伝染させていく#1から様々な楽器のハーモニーと電子音のナチュラルな融合がハッと息を呑むほどに美しい#2の流れは素晴らしいし、滋味深い余韻を残す唄ものの#3やライヴで聴いたときにはかなりうっとりした#5など佳曲は多し。後半の楽曲が少し弱いが、それでも十分に癒しをもらえる一枚である。

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