Alpinist ‐‐Review‐‐

全てを焼き払うかのような業火のサウンドでシーンに火をつけたドイツのネオクラストの急先鋒、Alpinist。2枚のアルバムとMasakariとのスプリットを残し、活動休止となったが、彼等がネオクラスト・シーンに残した物はとても大きい。


Lichtlaerm/Minus.Mensch

Lichtlaerm / Minus.Mensch(2011)

ドイツのネオクラストの急先鋒、Aplinistの編集盤。タイトル通りに2009年に発表した1stアルバム『Lichtlaerm』、2010年に発表の2ndアルバム『Minus.Mensch』を完全コンパイルし、Southern Lordから2000枚限定でリリースされた。

全てを焼き払うかのような業火のサウンド、息もつかせぬ怒涛の展開、混沌の向こう側に潜む美しさ。これがネオクラスト・シーンに大火を灯したバンドの実力である。ギターリフやD-Beat等、クラストに沿った音作りでHis Hero Is Gone~Tradegyなどの先人達の影響を随所に感じさせるのだが、Alpinistは喜怒哀楽を燃料に変え、さらに破壊力を研ぎ澄ませた。獣性剥き出しのヴォーカルの野蛮な叫び、地響き起こす重低音が生み出す衝動、昂揚感を生む猛スピードは無敵のかっこよさ。カオティック・ハードコア勢にも迫る変則的なギア・チャンジ、またドゥーミーな遅攻で鈍器をゆっくりと振り落とすようにじわじわと痛めつけるような展開もある。#10「Laerm」や#11「Nighttime Poet Daytime Dead」のように胸掻き毟るようなドラマティックな楽曲も高品質であり、作品を通しての絶妙なバランス感覚は見事。また、自国の社会的・政治的メッセージを乗せたという歌詞も彼等の評価を押し上げる要因になっている。

1st(#1~#10)と2nd(#11~#21)で大きな違いはないにせよ、2ndの方がより緩急の落差が付いたことで、烈火の如き攻撃性がさらに際立ったように思う。前述の#11から、煉獄へ決死の突撃をみせる#12「Schalterhygiene」は鬼気迫るものを感じるし、獰猛に加速しっぱなしの76秒で血祭りにあげる#15「2te Klasse Bahnabteil」も強力と言う他ない。インストであるラスト曲#21「Outro」に繋がっていく流れも秀逸。人の心や魂を突き動かす並々ならぬ気迫と初期衝動、このバンドはモノが違う事を証明した震天動地の力作である。

2011年にはアメリカ・クリーブランドのネオクラスト・バンド、Masakariとの悶絶もののスプリットをリリース。Bandcampでname your priceとなっているので、気になった方は聴いてみると良いと思います。なお、Alpinistは2012年に活動休止を発表。長きに渡るであろう眠りについた。

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