BABYMETAL ‐‐Review‐‐

「アイドルとメタルの融合」をテーマにして、世界中に旋風を巻き起こしている女性3人組のメタルダンス・ユニット。アイドル・グループのさくら学院の重音部として2010年後半にスタートし、年を追うごとに人気が加速。今では、メタル界の名だたる重鎮達からも称賛の声が届くまでの存在になっている。

レビュー作品

> METAL RESISTANCE > LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~ > BABYMETAL


【早期購入特典あり】METAL RESISTANCE(初回生産限定盤)(DVD付)(BABYMETAL 防水クリア・ロゴステッカー付)

METAL RESISTANCE(2016)

 約2年ぶりとなる2ndフルアルバム。名刺代わりの前作が前例のないレベルで世界に波及したとはいえ、本作でポップには寄せずに密度濃く。ドラゴンフォースとフュージョンを果たした#1「Road of Resistance」から始まるメタル~ラウドロック系のサブ・ジャンルの横断は、これまでよりさらに広く深いところへと向かっています。本作収録曲はライヴで少しずつ披露されてきたわけですが、フタを開ければこのレンジの広さと楽曲の尖りっぷりに衝撃が走りました。

 デジタルハードコア(#3「あわだまフィーバー」)、ヴァイキング・メタル(#6「META!メタ太郎」)にブラックメタル(#9「Sis.Anger」:タイトルはメタリカのオマージュだけど)と飛び火し、いずれも劇薬と呼べるくらいに効く。特に野球応援歌のような仕上がりとなった#6「META!メタ太郎」は彼女達ならではの飛び道具でしょう。それに#4「ヤバッ!」はスカ要素の入ったFear, and Loathing in Las Vegasのように感じさせ、ドリーム・シアターばりのプログレッシヴ・メタル組曲#11「Tales of The Destinies」~#12「THE ONE」では、「何だこのお嬢ちゃんたちは?」と眉間にシワ寄せるメタルおじさんたちを落城させにかかります。

 このように質実剛健のメタルにハイパー柔軟剤であるKAWAiiをぶち込んだサウンドは、とんでもない角度からズバッと切れ込んできます。ただ、KAWAiiやPOPの要素が前作より薄め。1stアルバムにおける抜群のキュートさ、YUI&MOAの合いの手の絶妙さはあの頃だったからこそできたことなのかなあと思います。ただ、その分は世界を駆け巡った中での経験から来る自信、彼女達の心身の成長に合わせてアーティステックな面を押し出している印象がありますね。そこへと導くKOBAMETALを始めとした運営陣のアイデアや信念も十二分に伝わります。

 メタルを最適化しているわけでは決してなく、やっぱりBABYMETALらしいOnly Oneを追求していると感じました。ズッキュンとくるKAWAiiのフックと重低音は変わらずに素晴らしい。このチームがもたらす幸せな興奮は、本作においても国内外問わず波及していくことでしょう。

 本作の個人的なベストはV系メタル風に駆け抜ける#7「シンコペーション」と言いたいところですけど、リード曲となった#2「KARATE」でしょうか(MOAMETALもお気に入り)。日本の武士道精神をDjentコアに乗せてセイヤ!ソイヤ!して世界に”和”を叩き込んでくれます。前作の「紅月」と対となる超メロスピ曲#5「Amore – 蒼星 -」もスリリングな衝動と泣きの連続で好み。

 ちなみにTHE ONE限定盤も購入しましたが、バージョン違いとなる#12「THE ONE -Unfinished Ver-」が無差別級のカタルシスあり。#8「GJ! -ご褒美編-」と合わせて贅沢の極みであります。


LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~(初回生産盤)

LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~(2015)

 「赤い夜 LEGEND “巨大コルセット祭り”~天下一メタル武道会ファイナル~」と題された日本武道館2DAYSの初日公演を収めたライヴ・アルバム。当日は紙芝居もアンコールも無しで、世界に大和KAWAii旋風を起こした1stアルバム『BABYMETAL』を全編生演奏で披露しておりました。神バンドを担当したのはレギュラー面子の大村孝佳、Leda、BOH、青山英樹の4人。また、マスタリングはかのTed Jensenが担当している(彼は「これまでに全く前例がない形でポップとメタルを融合した」とBABYMETALを評価)。

 本ライヴには僕も足を運び、BABYMETALという存在の凄さを感じました。少女たちと生演奏のケミストリーは、巨大魔法陣の上で相乗し、極上のエンターテイメントと化す。神バンドのテクニカルな演奏から繰り出される鋼鉄重低音は、Ted Jensenによって分離が良くクリアで広がりのある音へ。スタジオ盤以上に生々しいダイナミズムを感じる仕上がりになっています。それぞれのパートのソロも盛り込まれ、BABYMETALの土台を支えるバンドが只者でないことを証明。ただ、#7「悪夢の輪舞曲」の前にも神バンドのオン・ステージも印象的だったので、こちらもカットせずに収録して欲しかったですね。

 もちろん、核となっているSU-METALの歌声がその演奏を巻き込んで束ねていくように、なお力強い響きで魅了。ピアノ・ヴァージョンから始まり、Xオマージュの「アカツキだぁぁーっ!」の叫びで一気に火をつける#10「紅月 -アカツキ-」は特に衝撃的で感動的でありました。本当に稀有な才能。YUIMETAL&MOAMETALによる「おねだり大作戦」~「4の歌」は、曲がりの大きな緩い変化球のような楽曲ではあるが、堂々としたKAWAiiパフォーマンスで熱狂を生み出していました。「4の歌」はこの日が初披露なのに、ヘヴィな演奏に中和して盛り上げる2人の14歳(当時)、恐ろしい。

 #12「ヘドバンギャー!!」の時には、YUIMETALが神かくしに合うアクシデントがあったが、そのまま収録。しかしながら、1人欠けた状態であることを感じさせないのは、2人のプロフェッショナルな振る舞いがあったからこそ。ちなみに当日は来場者全員に、心ゆくまで・・・ではなく首が逝くまでヘドバンせえ!という感じでコルセットが配られてました。それ故に天下一メタル武道会に相応しいほど頭を振り、野太い声が響き、キツネサインが高々と突き上げられて大熱狂。本アルバムにも声だけは収録されているわけですが、聴いていると当日の熱い感動というのが自然と蘇ってきます。

 なお、本作の初回限定盤には新曲「Road of Resistance」がDLできるフォト・ミュージックカードが付属。イギリスのメロスピ・バンドであるDragonforceのギタリストであるサム・トットマンとハーマン・リが参加したこの曲は、聴いての通りにモロDragonforce(笑)。「速くなきゃメタルじゃねえ」と誰かに脅された影響か、ベビメタンフォース(少なくともドラゴンメタルとはいえないw)と言えるぐらいに堂々たるメロスピ・チューンであり、彼女達の新しいアンセムとして君臨するだろう曲になっています。

 改めて、とてもアーティスティックなライヴ作品。オリジナル・アルバムよりもメタリックな感触で迫力増量。既発曲のほぼ全て+新曲もついてくることを考えても、入門編に十分に薦められます。


BABYMETAL(初回生産限定盤)

BABYMETAL(2014)

 これまでに”天下一メタル武道会”を力強く戦い抜いてきた、「メタルは正義、カワイイも正義」を体現するアイドル×メタルの使者、BABYMETALの待望の1stフルアルバム。2011年のデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」から最新シングルとなる「メギツネ」までの既発10曲+新曲3曲を加えた全13曲を収録しており、1stアルバムにしてベスト盤といえる内容です。

 既に世界的にも旋風を巻き起こしている3人の若き乙女たちは、この作品で本当に最高級のエンターテイメントを提供してくれているように思います。いにしえのメタルから王道のメロスピ、日本のヴィジュアル系文化、さらにはミクスチャーやピコリーモ、ダブステップ、Djentといった近年のトレンドまでを丁寧に抑えたバラエティに富む楽曲群で作品を構成。それは、さながらメタル博覧会の様相を成しているが、モダンな視点からの再構築、それにリスペクトを込めた引用もあり、随所に興味深いアプローチやフックが効いています。しかも彼女達のフィルターを通すことで、絶対的なポップネスとキャッチーさをもったものへと昇華。最後にはアイドルらしい愛嬌も加わって聴き手に笑顔と昂揚感をもたらしてくれています。

 天下取りへ本格化したシングル曲#13「イジメ、ダメ、ゼッタイ」や#2「メギツネ」、完全にXのオマージュであろう稲妻のような衝撃走るメロスピ#5「紅月 -アカツキ-」、天真爛漫ポップにモダンヘヴィネスやエレクトロを見事に組み合わせた#6「ド・キ・ド・キ☆モーニング」や#4「いいね!」と楽曲は本当に充実しており、どれもが強烈なインパクトと一級品の魅力があります。しかもこの鋭い切れ味やメタリックな重厚さは、アイドル・ソングとは到底かけ離れてるレベルですが、遊び心満載のアイデアやSU-METALの伸びやかな本格派歌唱、YUI&MOAの愛らしさによって、絶妙に中和されています。カワイイの衝撃も加わった”エクストリーム・ポップ”、これこそがまさに唯一無二。

 また、既に聴いたことがあるものが大半を占めているとはいえ、「曲順は、ライヴのセットリストを意識した」というプロデューサー・KOBAMETALの戦略通りに、彼女達のライヴの流れがしっかりと疑似体験できるように仕掛けられています。それにNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS)やゆよゆっぺといった制作陣の愛情も、その楽曲からヒシヒシと伝わってくるのも嬉しいですね。その中でもNARASAKI作となる#10「Catch me if you can」は、スリップノットばりの凶暴なサウンドに3人の可愛らしい歌と個性が見事にかみ合った1曲で、個人的にベビメタの曲の中でもかなり好きな曲。

 AA=の上田剛士によるハイパーなラウドロックを基調に、まるで正反対の可愛らしさ/ポップ性を巧みなまでに融合させた#3「ギミチョコ」、YUIMETALとMOAMETALによるレゲエもメタルコアも飲み込んだごった煮ミクスチャー#8「4の歌」、Djent仙人:Meshuggahよろしくなプログレッシヴなサウンドとゴシック・テイストが効いたSU-METALのソロ曲#11「悪夢の輪舞曲」と3曲の新曲は、いずれも予想のナナメ上を行く。何が飛び出してくるか想像もつかない奇想天外なユーモラスなアイデアの数々、そこがまたBABYMETALらしさ。決して正攻法ではない。でもだからこそ、こんなにもあらゆる境界線を鮮やかに突き抜けていけることができるんじゃないかなと思います。その証拠に彼女達の音楽は、既に世界を巻き込んで強く支持されている。

 「アイドルとメタルの融合」と言葉に表すのは簡単だが、それが絶妙なバランスで成り立ってるのは単純に凄い。先人達へのオマージュを捧げながら、ラウド・ミュージックの現在を俯瞰し、さらにアイドルという飛び道具を使う事で日本/世界に新しい潮流を起こそうとしている点は、本当におもしろいと思います。そんな痛快なエンターテイメント作品であり、間違いなく2014年を象徴する一枚。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!