Blood of Heroes ‐‐Review‐‐

JesuのJustin K Broadrickとニューヨーク・アンダーグラウンド界のカリスマ・ベーシスト兼プロデューサーのBill Laswellによるニュープロジェクト。”メタル・ダブステップ”、”インダストリアル・ダンスホール”などとレーベルが評すそのサウンドは、ドゥーム・インダストリアルな硬質&ヘヴィさとダブの肉体的快感をJesuの神々しいオーラが包み込むという凄まじい先鋭性を発揮している。


Blood of Heroes

Blood of Heroes(2010)

   Jesuのジャスティン先生とNYの凄腕ベーシスト兼プロデューサーのBill Laswell、それに二人のビートメイカーを加えた新プロジェクトBlood of Heroesの1stフルアルバム。

 リリース元のレーベルは”メタル・ダブステップ”と例えているそうだけど、Jesuばりのダークで分厚いサウンドウォールを形成する中でリズム面が強調されていて、ドラムンベースやダブ・ステップ、それにソウルフルなラガ・ヴォーカルがリズミカルな快感をもたらしている感じ。ヘヴィなベースラインの蠢きと荒々しいドラミングで捲し立てて轟音ギターが炸裂、さらにはサンプリング音やシンセなどで鉛色の雨を降らせて巧みに空間を色づけ。ジャンルを横断しながら、かなり実験性の高い音楽とリズムを志向していることが聴いているとよくわかることだろう。

 Godfleshのように音の端々は冷たく尖っている感じがするけど、深みとダークネスを湛えたリズムは躍動感と緊迫感が生きている。また、抑制された静謐な場面でも不穏なうねりが作用していて、じわりじわりと精神の淵を飲み込んでいく。ずっしりと重々しい音からシャープなキレのある鳴りまで、自在に操りながら快楽を突き詰めているご様子。ドゥーム/インダストリアル的な要素が本作には持ち込まれているし、ジャスティン先生が不思議ともたらしている神々しいオーラが作品を包んでいることも独特の質感に繋がっているように思う。重々しいリズムとラガ・ヴォーカルで心地よい幕開けを飾る#1、冷たくうねる印象が強い中でドラマティックな起伏すらみせる#2、Jesuばりの神々しい轟音のハーモニーが炸裂する#7、高速ドラムンベースが絶頂へと導く#4、#8などかっこよろしいです。

 先鋭性と創造性、それに独自の美学が高い次元で融合しあった見事な作品。明確に響くリズムがもたらす催眠的な心地よさ、肉体的な快楽に痺れるのみ!とまあ、ジャスティン目線で書いてみたけど、Bill Laswellが目当ての側からこの作品を手にとってみるとまた、違った印象になるんだろうなあとも感じている。

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