Christie Front Drive ‐‐Review‐‐

1993年~96年という短いバンド人生ながら、美エモの先駆者として後続に大きな影響を及ぼした90’s EMO重要バンドのひとつ。


Stereo

Stereo(1997)

 1997年にCaulfield Recordsからリリースした唯一のフルアルバム(他にフルアルバム・サイズの編集盤『Anthology』がある)。Jimmy Eat WorldやBoys Lifeといった面々とスプリットを切っていた経緯もあるが、90’s EMOに分類されるバンドの中でも、飛び抜けた美エモ・バンドとしてその名を馳せた彼等。ピアノを交えながら丹念に織り上げ、静寂と轟音を鬩ぎ合わせながらエモーションを高めていく#1「Saturday」からして胸がギュッと締め付けられてしまう。ゆったりとしたミドルテンポに、透明感のあるアルペジオや枯れ気味の歌声を乗せて感情的に仕上げる手法は、ここでしっかりと形になっている。

 じわじわと心の内側に浸透していく感じ。初期衝動や焦燥感を単に剥き出しにするわけではなくて、渋い歌心とメロディを核にして、徹底的に叙情的サウンドを磨いてみせた。それにここには蒼いフィーリングを持ったエモ特有の切なさと刹那さがある。哀愁たっぷりの#7「About Two Days」を聴いてると、青春時代が走馬灯のように駆け抜けていくよう。10曲中4曲もインタールードがあるので実質的には6曲なのだが、実験的ともいえる音響的な間の繋ぎ方も実践していて、当時から先を行っていた事を伺わせる。後のポストロック的な感性やインディーロック風情もあり、後進へ流れを作ったことも評価されている要因だろう。エモーショナルに爆発する#9「Seven Day Candle」はもう完璧。

 Mineralの大名盤『Endserenading』にも繋がっていく(と思われる)であろう本作は、美エモの先駆者としての実力を十二分に知らしめるもの。EMO7種の神器といえる必聴の作品だろう。ちなみに2010年にMagic Bulletからリマスタリング再発されているおり、こちらは1996年のラストライヴの映像(約60分)を収めたDVDが付属。当時の貴重な映像を追加収録したことで、”必見”という言葉もあてはまるようになった90’s EMO重要作である。

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