Converge ‐‐Review‐‐

 アメリカはボストン出身のハードコア界の重鎮、Converge。カオティック・ハードコアといいうジャンルにくくられてはいるものの、その存在は非常に大きいもので数々のフォロワーを生んだ。2001年発表の「Jane Doe」は多くの人に存在を知らしめた最高傑作として君臨している。また、来日公演も頻繁に敢行し、ここ日本でも確かな地位を築く。なかでも05年に行われたEXTREME THE DOJO VOL.11では共演のMastodon、ISISと共に伝説的パフォーマンスを繰り広げている。

レビュー作品

> All We Love We Leave Behind > Axe To Fall


All We Love We Leave Behind

All We Love We Leave Behind(2012)

    ベテランなのにベテランの感じがまるでしない、全ての者の追随を許さないカオティック・ハードコアの神童の9作目。アクセル全開でぶっ飛ばし、あらゆる障害を薙ぎ倒して突き進む様は痛快痛快。大傑作『Jane Doe』におごることなく、ストイックに理想を追い求め、作品を重ねる毎に新鮮な昂揚感で満たしてくれる。いい年齢に差し掛かっているにも関わらず、衰え知らずもいいとこ。下降線を辿るどころか、進化/深化を続けている。音楽に向き合う姿勢、意欲、創造性と彼等には本当に頭が下がるばかりだ。

 ただ、本作は前作ほどではないかなあというのが個人的な感想。Jane Doeに迫る美と激の応酬だった『Axe To Fall』が完璧すぎたとも思うが、インパクトという点でやや弱いかなと。もちろん、初めてコンヴァージを聴く様な人には刺激が強すぎることは否定しないけれども。しかしながら、プログレッシヴな構成に抜群の勢いと破壊力が乗る#1「Aimless Arrow」、あまりに壮絶なクライマックスを迎えるタイトルトラック#15「All We Love We Leave Behind」など聴き応えは十分。スラッジ風の重厚なリフが目の前を遮ったかと思うと激速で畳みかける#4「Sadness Comes Home」や妖しげなドゥームを奏でる#11「Coral Blue」という挑戦的なトラックもまた新鮮である。リスナーを翻弄するような仕掛けが随所にあり、怒りを超える構築美は流石。自分のように物足りなさを覚える人もいると思うが、きっちりと納得の作品を送り出してくれたと思う。


アックス・トゥ・フォール

Axe to Fall(2009)

    3年ぶりとなる7作目。怒りを激音に乗せて炸裂させるこやつらの凄さは、音源・ライブの両方で十二分に味わい、脳天をぶっ飛ばされたわけだが、本作でも異常なまでにアドレナリンが分泌される最狂度!!

 激速のリフとドラミングが忙しなく獰猛に暴れ回る幕開けの#1「Dark Horse」から凡百のバンドとはまるで威力が違う。残忍な狂気と猛烈なスピードで感性を焼き払う孤高のハードコア。これは、無慈悲な暴虐性と深淵たる美しさの異形の共存で成り立っているわけだが、地獄絵図でもありドラマティックでもある。その音楽性は相変わらず芸術的な側面も強い。しかしながら以前よりも百花繚乱な変則的展開は抑え目。けれどもメタリックな強度、原点を思わせるストレートな情感を増し、さらなる高みへと到達。この一次元を超越した音の塊、捨て身の覚悟で繰り出す猛烈爆音攻撃を前に、抗うことなどできるはずもなく快楽と興奮にまみれること必至だ。

 特に前述の#1、扇情的なギターソロが虚空を切り裂く#2「Reap What You Know」、極限状態での絶叫が胸を抉ると同時に凄まじい勢いで突き上げる#3「Axe to Fall」、Cave Inとの合体で全ての感情を髄まで焼き尽くす#4「Effigy」と最強に狂ったテンションで性急に畳み掛けていく頭4曲は、バンドの財産といっても過言ではない傑出の出来栄え。随所にキメまくり、炸裂し、薙ぎ倒す。この蒼白い稲妻が全身を駆け抜ける衝撃は筆舌しがたいぐらいだ。

 ドゥーミーなリフが脳髄を軋ませると同時に闇の裂け目を映し出す#5からは、シンプルな立ち振る舞いながら激しく体当たりをかます曲、心の内を侵食する毒気の強い曲を使いわけ、知的に仕掛ける。まるで聴き手の負の情感を炙り出していくかのように。そしてまた、それを昇華するかのような、NeurosisのSteveと共に今までの力強さとは裏腹な切なさをむき出しにする#12、その流れのまま絶望という闇にメロウな情感を鈍く灯していく#13という祈祷の洪水。この美しいクライマックスにおける感動と余韻は筆舌しがたいものがある。

 まさに究極に美しい混沌を知る教典。また、聴き手の人生を変えてしまうぐらいの超絶な力を宿している作品でもある。もう聴くたびに魂が震えてしょうがない。『Jane Doe』と肩を並べる金字塔だ。

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