D.A.N. ‐‐Review‐‐

“いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウを追求すること”をバンドのテーマに掲げる東京出身の3人組。2015年のフジロックのルーキーステージに出演。2016年4月に1stアルバムをリリース。

レビュー作品

> Tempest > D.A.N.


TEMPEST

Tempest(2017)

 1年ぶりとなるミニ・アルバム。新曲3曲に加え、AOKI takamasa氏によるリミックス等を加えた全5曲約48分の収録となっています。「ツラいときこそD.A.N.のグルーヴに身を任せよ」とお偉いさんは言いますが、さらなる深みに潜る彼等のサウンドは徹底したミニマリズムによって統率。夜の帳に落ちるヴォーカルのファルセットだったり、ゆったりとタメの効いたリズムであったり、スティールパンの軽やかな装飾など用いている武器は変わってません。しかし、1stアルバムよりも全体的なトーンを抑え、ジャケットのようなクールな闇が広がります。

 軽やかに揺れる歌声とスティールパンに豊かなグルーヴがアーバンな夜の街を彩る#1「SSWB」、グッとBPMを落として残像のようにゆらめくおぼろげな音像が聴き手を彷徨わせる#2「Shadows」、なんとも怪しげでエキゾチックで原始的な色合いで全体をまとめつつ、よりアンサンブルが強化される8分以降で広がる極楽浄土#3「Tempest」。いずれも長尺曲でありながらゆるやかに刺激を与えて、酔わせていきます。

 刺激とは表現したものの、彼等の音楽って鋭角な箇所がなく、全てが丸みを帯びたパーツで構成されているイメージがあるんですよね。その組み合わせ、ミニマルとメロウネスの絶妙さが何とも言えない中毒性を担っているように感じます。音の隙間の味合わせ方も上品。また作家の恒川光太郎さんの世界観が浮かびあがるような特殊性も好きなところ(特に「夜市」を思わせる)。

  派手さはなくてもバンドの確固たるスタイルを創り上げ、突き詰めて深化/表現させることがいかに重要か。邦的でもあって洋的でもあって、でも聴けば聴くほどにそのどちらとも違う地平にいるような感性がある。だからこそ彼等のグルーヴに酔いしれるのかもしれません。孤独に飯食ってる松重豊さんの心にも、D.A.Nの音楽が染みるのもうなずけます。

D.A.N. – SSWB (Official Video)
バンド編成ながら、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドへと昇華した音楽性が高い評価を得ているD.A.N.。2016年12月23日にリリースされた『SSWB』のタイトルトラックとなる本曲のMVは、渋谷WWWや湾岸地帯を舞台に、小山田米呂、柳俊太郎、琉花らが出演するドラマ仕立てとなっている。 ▶ビハインド・ザ・シーン|柳俊太郎、小山田米呂ら出演。 D.A.N.の新作MV「SSWB」撮影の舞台裏

D.A.N. - SSWB (Official Video)


D.A.N.

D.A.N.(2016)

 2014年8月から活動中の3人組の1stアルバム。冷めざめとしてミニマル、でもメロウさがいつもお隣にあります。柔らかく音像に溶けていくファルセット、軽やかなギター、ゆるいテンポの中をしっかりと導くリズム。それらを阿吽の呼吸でくっつけるD.A.N作法で不思議な心地良さを味あわせてくれます。

 ゆったりと音像に染みこむアンビエント、サイケ、チルウェイヴ、歌謡性。信条のミニマリズムはクールで抑制が効いているとはいえ、日本詞による歌を通して物語が浮かんでくるし、ゲストの小林うてなさんによるスティール・パンがトロピカルな感覚をプラス。聴いていてThe XXやOGRE YOU ASSHOLE等が引き合いに出されるのは納得で、2ndアルバムの頃のFoalsっぽいところもあるかな。消化の良さやリラクゼーション効果の高さは感じるところですし、懐かしさを覚えるメロウな歌もの#5「Time Machine」は若手らしからぬ味わい。

 静謐の価値とインテリジェンスを感じるミニマルな#3「Native Dancer」、深海に沈んでいくかのような前半からダンス・ミュージックの側面を強めていく#4「Dive」、チル歌謡ポップの魔法をかける#8「POOL」と楽曲は粒ぞろいです。軽やかな聴き心地からふわりと持ち上げられ、全身に広がる陶酔。実に見事な1stアルバムだと思います。長澤まさみさんもイチオシなので、カラダにピース!な音であることは間違いありません

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