【アルバム紹介】DIIV、柔らかで蒼いギターポップ 

元Beach FossilsのZachary Cole Smithを中心としたアメリカ・ニューヨークのギターポップ・バンド。Captured Tracksより発表したデビュー作『Oshin』で注目を集め、インディ界隈で話題となる。日本には2013年のフジロックで来日。2016年2月に2ndアルバム『Is The Is Are』を発表。

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アルバム紹介

Oshin(2012)

   Beach FossilsのCole Smithが率いるギターポップ・バンドのデビュー作。リリースはCaptured Tracksより。ちなみに本家のBeach Fossilsは聴いたこと無しです。

 聴いた感じだと、中心に据えたクリーンなギターと蒼いメロディが全編に渡って冴えわたっていて、単純に心地よい。それに意外と動くぼよぼよなベースラインが厚みを与えているし、インディ系らしいぼやけた歌が被さってくる辺りも良いですね。

 心地よい疾走感と共に眩いメロディが明滅する#2「Past Lives」、美麗なギター・フレーズとどこか懐かしい感性も加味した#5「How Long Have You Known?」、キラキラ感と爆発力を備えた#12「Doused」辺りに特に惹かれます。

 歌よりもインストに比重を置いてつくられている感じがあり、それゆえに歌もどこか楽器的に作品を彩っているような印象です。聴いていると、ネオアコ~ギターポップ~インディーロック的な感触は強いですが、その中でサーフ・ロック的な懐かしさやシューゲ風のノイズもさらっと表現。

 全体的に風通しが非常によく、今年発売されたLotus Plazaの新作に通ずるポップ感がなんとも素敵で、繰り返し聴けるだけの味がある作品に仕上がっています。

Is The Is Are(2016)

 未だに読み方がダイヴでいいのかと思ってしまう4人組の約3年半ぶりとなる2ndアルバム。リリースはお馴染みのCaptured Tracksより。

 2013年にフジロック来てたし、中心メンバーであるイケメンのザカリー君がドラッグ所持で一時逮捕されてたりと話題は振りまいてた模様。

 300もの楽曲を制作した中から厳選した17曲を収録したという本作ですが、基本的には変わってない印象です。それはローファイ、リバーヴ、疾走感、脱力感、浮遊感といった言葉が脳内にこびりつく涼やかギターポップ/ロック。キレイなメロディを振る舞い、ギターの繊細な音響構築で眩惑させるも、あくまで軽やかに進行していく。そのやり過ぎない絶妙なバランスで留めてるのが良さなのかなと。

 #2「Under The Sun」や#4「Dopamine」は海辺の柔らかい風のように心地よい。彼女のSky Ferreiraさんが朴訥としたヴォーカルを乗せてる#5「Blue Boredom」はちょっとポストパンクっぽいか。

 でも、こんなに曲数いらないのではないかというのは正直に思います。途中で「あれ、どこまで聴いた」感が出てくる・・・。そうは言ってもDIIVらしさが貫かれているので、好まれる作品です。

お読みいただきありがとうございました!
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