Forest Of Shadows -‐Review-‐

スウェーデンはストックホルムを拠点に活動するNiclas Frohagenのフューネラル・ドゥーム・ソロ・プロジェクト。1997年より活動を開始し、当初は他にも正式メンバーがいたそうが、近年はNiclas Frohagenのソロ・プロジェクトという形。2008年発表の2ndアルバム「Six Waves of Woe」では全てのパートを一人で担当しているおり、よりその才能を開花した作品となっている。

レビュー作品

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Six Waves of Woe

Six Waves of Woe(2008)

 1st「Departure」より4年ぶりとなる2ndフル(個人的には2nd→1stの順で聴いている)。フューネラル・ドゥームまたはゴシック・ドゥームなどと呼ばれているそうだが、個人的にこのジャンルに触れるのは多分初めてだと思う。だが、こんな素人にも影響を及ぼす慟哭の哀歌がここには存在し、胸が張り裂けそうになるほど切ない気持ちでいっぱいになる。

 淡々としたクリーンヴォイスと切ないメロディラインを紡ぐギターが儚き慟哭のドラマを奏で、荘厳な重みを持ったリズムと共にゆっくりゆっくり進行。そこにシンセやメロトロンが絡んで寂寞感ともの悲しさを心に積もらせていく。じわじわと精神の闇を虚空に浮かび上がらせたところで、地獄からの使者が登場し、堰を切ったように溢れ出す轟音と断末魔の如き唸る低音グロウルでヒステリックな絶望の淵に叩き落す。ここに収録された6曲のどれもが、そのような穏やかに流れ行く切ない哀愁の静パートから抑圧された負の感情を一気に暴発させる動パートへと移行するわかりやすいスタイルを取っている。だが、禍々しいブラックメタル的な部分は見事にこの美しいメランコリーと融和させられており、劇的なドラマ性を際立たせている印象だ。だから、凛然とした美しさを携えたメロディに酔わされ、引き摺られる様な悲しみが心の中を支配していくのだろう。仄暗い陰鬱さを滲ませながら漂ってくる耽美な薫り、時折のアンビエントな音像、静と動の大きな落差もまた惹きつけられる要因になっている。

 全体から感じられるのは、自殺願望を助長するような途方もない暗黒ではない。本作は漆黒の中に映し出された幻想と美に酔えるメランコリックな作品だと個人的には感じた。何より、この切ない哀愁が人々の心の中に残るのである。ゴシック・メタルがお好みの方からポストメタル信者まで幅広い層に聴いてもらえそうな作品のように思う。特に#2「selfdestructive」は涙を禁じえないほどの名曲に仕上がっており、壮絶なる哀歌が痛いほど身に沁みる。


Departure

Departure(2004)

   スウェーデン人のNiclas Frohagenによる独りフューネラル・ドゥーム・プロジェクトの1stフル(調べてもよくわからなかったが、この頃はまだバンド編成だったかも)。先に2ndの方から聴いているが、その4年前に制作された本作も彼らしい切なすぎる哀感と闇の裂け目からの濁流の様な音塊の表出が凄まじい。全5曲で60分という大作主義ながら、メランコリックな音色が主体であることとドラマティックな展開を見せる事で十分に物語を聴かせることを可能にしている。

 悲しみを積もらせる様な静パートから激しく感情が渦巻くダークな動パートへとじわじわと遷移していく作風はこの頃から存分に力を発揮。挨拶代わりにしては長すぎる15分超の#1「Sleeping Death」がその典型であろう。荘厳なオルガンの響きと繊細な歌声で淡々と綴られるイントロからして儚さがにじみ出ており、アコギの枯れた感触やシンセによる雰囲気作りなどを巧みに入れながら、感情が昂ぶった所でデスヴォイスがうねりをあげサウンドが一気に解放へと向かう。ドゥーミーな重さやKatatoniaのようなダーク・メタル要素も登場してくるのだが、基本的には絶望と激情を交えながらメロウに織り上げられていて、曲は長いが聴きやすいと感じる人は多いのではないかと思う。静と動の大きな落差は楽曲の劇的さを際立たせているし、禍々しい怒りと深い悲しみの表現のバランス感覚も巧く融和している。#3はインストではあるが、重たく暗い悲しみの底を表現しながらもピアノの美しい調べが見事なエンディングを飾る1曲で映画のサントラにも使えそうな印象も受けるし、哀しみのメロディに沈む#4の表現力にも惹かれてしまう。そして、ラストの#5「Departure」は、暗くメランコリックな立ち上がりから絶望的な重さを潜り抜け、最後にはブラックメタルの狂気を伴いながら疾走する上下動の激しい14分超の本作随一の名曲。

 暗闇の深淵を辿りながら、深い悲哀の底に辿りつく本作は、初作にして相当なインパクトを誇る。孤独、憂鬱、哀しみ、絶叫が渦巻く壮絶な世界は彼の才能を物語っているといっても過言ではない。

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