FRUITPOCHETTE (フルーツポシェット) ‐‐Review‐‐

愛媛のご当地アイドル、ひめキュンフルーツ缶の研究生として活動してきた2人組によるラウド系アイドル・ユニット。メロデス~メタルコア~ピコリーモを取り入れたサウンドで全国に攻勢をかける。2013年に1stミニアルバム『疾風迅雷』をリリースし、翌年には47都道府県ツアーを完遂。2015年2月には待望の1stフルアルバム『The Crest Of Evil』を発表した。

レビュー作品

> The Crest Of Evil > 月光-Destruction- / 炸裂-Burning- > 疾風迅雷


 

The Crest Of Evil

The Crest Of Evil(2015)

 2枚同時発売のシングル『月光-Destruction-』『炸裂-Burning-』からちょうど1年ぶりの発表となる音源は、待望の1stフルアルバム。ほとんどの楽曲の作詞作曲をWhen My Life is Overの元メンバーである遠藤元気やALFREDの山下智輝が手がけている。ブックレットのSpecial Thanks欄には、島紀史氏(CONCERTO MOON)やKEN’ICHI氏(ex.SEX MACHINEGUNS、現LOKA)の名前が記載。また、彼女達は昨年に47都道府県ツアーを成功させている。

 これまでのリリース群で北欧メロデス~メタルコアを軸に攻勢をかけてきた彼女達。全て新曲で構成された13曲を収録した本作でもその路線は継続されている。個人的には聴いていると、やっぱりチルボドやIn Flames、Unearthといったバンド名が浮かんでくるもの。イエテボリ風のリフ、消臭力が必要なクサいギターソロの刺激は強い。#2「蒼天-Paradox-」では猛烈メタル運動会で興奮とお涙頂戴を。それに痺れるリフからスタートする#8「闇-Happiness-」に関してはXのドラマティックさ、ひいてはベビメタちゃんの「紅月」辺りを意識してそうな印象もある。

 もちろん、シンセによるキラキラ感を搭載して、EMD~エレクトロコアもきっちりと流用。それらを統合して、直球でガツンとくる作品に仕上げている。#5「饒舌-DieOut-」は一番その傾向が強いフロア型の曲だし、#6「唯我-Vainglory-」や#11「狼煙-Action-」辺りも今時のピコ・メタ(ル)・チャラ感バッチリの楽曲といえるはず。現代のヘヴィロック~メタルの醍醐味はしっかりと詰め込んである。

 彼女達の歌唱も初期の作品から比べるとだいぶ安定し、芯の強い声を聞かせるようになった。これは、ユニットを始めた当初は全く知らなかったメタルという音楽をそれぞれが理解し、曲調に合った歌い方の試行錯誤と努力を続けた結果だろう。本作のラストを飾るダークなシンフォニック・メタル調の#13「静寂-Lacus-」ではその進化を一番に感じ取れる。しかもこの曲はクワイアとかストリングスも入ってて、製作陣の挑戦という意味合いも強そう。Janne Da Arcっぽい印象を受けた#3「偉人-CleverDick-」みたいな捻りもあるし、最近のV系ヘヴィロックのメソッドを使った感ある#11「殲滅-Effect-」も周到に用意している点も良いと思う。

 全体的に以前よりもKAWAii要素が薄くなり、ポップ感にしても貴乃花の激痩せばりの減退があるので、やっぱりもう少し遊びの要素を加えた方が良いのでは?と前作に続いて思うところ。だが、メタル・ハート度の高い楽曲を揃えて押しまくるのは、そういった牙城を崩したい意図があってのことだろう。『疾風迅雷』から『質実剛健』へと練り上げた作品からは、”エヒメタル・レジスタンス”の轟砲が鳴っている。


 

炸裂-Burning- 月光-Destruction-

 炸裂-Burning- / 月光-Destruction-(2014)

 

  2枚同時リリースとなるシングル(公式サイトを見ると1stシングルが『炸裂-Burning-』、2ndシングルが『月光-Destruction-』)。共に2曲ずつの収録となっている(まとめて書きます)。

 「炸裂-Burning-」にしても「漆黒-Dahlia-」にしても「月光-Destruction-」にしても、みかん県からのエクストリーム・メロデス・アタック、再び!というものだろう。少しピコリーモ寄りにシフトしているようには感じるが、鋭利で重いリフとリズムで宇和島の闘牛のように暴れ回る。そこに凛と力強い女性ヴォーカルが乗ることで、キレイ目仕上げ。やたらとガチなギターソロも存在感を発揮しているし、猛烈な風を起こまくっててサウンド自体はかなり攻撃的。ポップなさじ加減はあくまでヴォーカルで取っている印象である。

 しかしながら、2枚のシングル合計4曲の中で異色なのが「輪廻-Expectation-」という曲。重厚なサウンドを基調としているものの、伸びやかでキャッチーな歌ものとして機能している。前作でいうと「流星-CRIME-」と同タイプ。個人的には声優がやるロック系の曲調(それでもヘヴィだけど)っぽく感じれて、一番親しみやすい曲だと思う。

 


疾風迅雷ーしっぷうじんらいー

疾風迅雷(2013)

 みかん県発のラウド系アイドルの7曲入りの1stミニアルバム。先陣切ったBABYMETALに続き、彼女達もまたラウドロック~メタルを基調としたアイドルとしてコアな層を開拓している。メタルコアやメロデスをベースに、ピコリーモ等のモダン要素をしっかりと取り入れながら、かなり本格派のサウンドを作り上げてきた。As I Lay Dyingの「Nothing Left」を彷彿とさせるイントロから、チャラいシンセを交えて加速する#1「暴虐-PARASITE-」からしてモロにそうだ。鋭くエグいリフ、勢いを乗算するようなツーバス、下っ腹に効くビートダウンを交えながら、興奮を煽る。

 イン・フレイムスやチルボド等のメロデスをお手本にしただろう#2「超絶-FANTASTIC-」も痛烈。キーボードの使い方にその味が出ているように思う。他の楽曲ではアコギやピアノといったものが用いられているが、なかでもギターソロが構築美に華を添えている。女子ツインヴォーカルに関してはあんまりKAWAii要素は押し出さずに、メタル・サウンドを女性歌手が歌っているように演出。個人的には、もう少しアイドルポップス的に落とし込めるといい気がするが(その方がユーモラスであったり、エンタメ性を感じるから)、BABYMETALと差別化を図るべく、この形で攻めて行きたいのだろう。とはいえ、十分キュートな歌だけど。

 ミッドテンポで進む中で荘厳なコーラスやアコギ、ピロピロのギター等のアイデアを放り投げた#4「煩悩-IMITATION-」、近年のピコリーモ勢に触発されただろう#5「幻惑-CHOCOLATEBITS-」、#6「空色-SOLUTION- 」といった後半の曲でも破壊衝動を上塗り。ヘヴィなリフを活用しているものの、荘厳なシンセやツインヴォーカルでアニソンチックに落とし込まれた#7「流星-CRIME-」だけは少し感触が違うけど、全体を通すと綺羅びやかで激しいサウンドに仕上がっていて、その手のファンに喜ばれる作品になっている。Anchang、オレンジに負けない愛媛の心がこの作品にはあったぜ。

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