Heaven Shall Burn ‐‐Review‐‐

CALIBAN、MAROONと共に3大ジャーマン・メタルコアバンドとも評される5人組。メタルコアというジャンルのバンドには珍しくHeaven Shall Burnはひたすら過激さを追求し、徹底してデスメタリックなサウンドを掻き鳴らす。

レビュー作品

> Invictus > Iconoclast > Whatever It May Take


Invictus

Invictus(2010)

 約2年ぶりとなる通産6作目。前作『Iconoclast』の続編ということらしいが(DVDの『bildersture』も続編らしい)、それにしてもやってること変わんねー!けれども本当に頼もしい一枚だ。不変の美学という叩き文句はあるけれど、馬鹿ですよこいつら。馬鹿だけど本当にかっこいいんですよ。娘・子供・老人だろうと生まれたての子猫だろうと関係なく八つ裂きにしてしまう容赦ない獰猛非道なサウンドが大健在で、作品を出すごとに軟弱化するメタルコア・バンドが数多いる中で”漢”であることを選び続けている。粉骨砕身のサウンドとはこのこと。禍々しい戦慄が全身を駆け抜ける、そんな音をバンドの矜持として本作でも追及している。サッカーでいえば、マチルダ・ビエルサ監督を思わせるぐらいの攻撃精神の塊だ(スラムダンクでいえばラン&ガンの豊玉だろうか)。

 ブルータルなリフを繰り出し、ツーバスを含みつつもミッドテンポで怒涛の猛進をひたすら続ける、そこに北欧の叙情性を随所に取り入れてはいるが、メロディアスといえる耽溺するような場面はなく、効果的に用いることで楽曲や作品の強度をビルドアップしている。エクストリームな攻撃性に焦点を絞り、肉弾戦上等の爆音を轟かせて、迸る熱気と昂揚感を運んでくるのだ。とはいえ、インダストリアル、打ち込みといったテクノ/トランス要素も隠し味程度に混ぜていて、それはそれでいい塩梅となっているし、#11におけるDEADLOCKのサビーネ嬢がゲスト参加してのフィメール・ヴォーカルとエクストリームな絶叫との対峙もまた驚きと新鮮味を与えている。古臭さを感じさせず(息苦しさは感じるが)、現代ハードコア/エクストリーム・シーンと共振している作風も支持が高い要因のように思う。前作の#2「Endzeit」のような必殺曲はないにせよ、凄まじいアンサンブルが作品全体に破壊力を収斂させていて、やはり最初に記述したように頼もしい一枚である。昔からまんまの頑固一徹の一品料理ではあるが、新旧共に納得する作品を安定供給するHSBはさすがだ。


Iconoclast: Part One - The Final Resistance

Iconoclast(2008)

 CALIBAN、MAROONと共に3大ジャーマン・メタルコアバンドとも評されるHeaven Shall Burnの通算5枚目の作品。

 Calibanはメロディに重きを置いた楽曲構成を取り、メタルコアらしい作風で人気なのだが、このHeaven Shall Burnは北欧メロデスからの影響を感じさせる叙情メロディが楽曲に刹那のヒーリング&アクセントをもたらす以外は、徹底して容赦の無い獰猛なデスメタリックサウンドで四方八方を一網打尽にするようなバンドだ。今作もその評判通りで、破壊力抜群のサウンドをさらに凶悪さとブルータルさで武装し強力になっているとのこと。俺自身、今作でこのバンドを初めて聴いたが、この凄まじさには脳天をやられた。まるで“地獄列車にでも乗せられてしまった”と錯覚するような戦慄の光景が浮かんでくる。

 荘厳で儚いピアノインスト#1から、血しぶきをあげる獰猛なサウンドがうねりをあげて襲い掛かる#2へと雪崩込む。全くと言っていいほど容赦のない凶悪さ、増した破壊力に飲み込まれていく。#2の勢いそのままに猛進する#3、小気味よいリズムとザクザクのギターリフで突き進む#4、激烈さと叙情性が融合した#5、ブルータルさと慟哭の共存#6、壮絶な肉弾戦を思わせる激烈チューン#12とオススメの楽曲は多い。ストリングスが叙情性の静かな氾濫を起こす#13、ドラマティックなインスト#14とラスト2曲はこれまでの暴虐性を出していた楽曲とは違うアプローチで作品を締めてくくっている。ちなみに#9「Black Tears」はEdge of Sanityのカバーでこれもいいアクセントになっている。


Whatever It May Take (Rmx)

Whatever It May Take (2002)

 2002年に発表されたHeaven Shall Burnの2ndアルバム。

 いやはやこの徹底した極悪非道、残虐無比なブルータリティの凄まじさに思わず言葉を失う。ポップなんて言葉を微塵も感じさせないデス・メタリックサウンドの首尾一貫っぷり。絶対零度とよべるぐらい冷たく無慈悲なサウンドが所狭しと暴れ狂い、迸る激情の炎が業火となって襲い掛かる。この爆発的なエネルギーは一体どこから出てくるのか?不倶戴天なんて言葉が頭に浮かぶほど残虐なギターリフの連続、全身を焼け焦がす絶叫スクリーム、それらの波状攻撃はとても悪意に満ちている。その中にもイエテボリスタイルとおぼしき叙情性も随所に組み込まれ、強靭なサウンドにかすかに感じさせる哀愁に一抹の感動がある。無論、それは前述したとおりこの獰猛さがあってこその事で、これほど攻撃に特化した作品を作るとは痛快の一言。本場アメリカのメタルコアよりも遥かに強力な作品だろうと思う。この先、CalibanやMaroonと共にジャーマン・メタルコアと彼等は呼ばれていくことになるのだが、その中でも特にデンジャラスな香りを振りまく存在なだけに今後も注意が必要になりそうだ。

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