英国のスラッジコア・ポストメタル4人組。雷鳴の如き轟音、美しいメロディの融合で、奇跡のような世界を創造する。
Ⅱ(2008)
超重低音メタリックリフと暴力的なベースライン、重く打ち抜かれるドラムが執拗に重ねる轟音に次ぐ轟音。そこから生まれゆく超絶的ヘヴィネスの大海はダイナミックにうねり、なだらかな地平線を凌駕してこの母なる地球を呑みこんでいく。
頭蓋骨が軋むほどの圧倒的な音圧は、音そのものが持つ衝撃力を存分に引き出し、聴き手の感性を破壊。そこに染み入る叙情のアルペジオ、底冷えするような戦慄を覚える神々しい静寂、ブルージーかつサイケデリックな色彩美、無重力を漂っているような宇宙的感覚を丹念に練りこんでいる。狂っているようで鋭い知性を感じさせる、異形の轟音ポストメタルだ。6曲60分という大仰な内容ながら、無駄を感じさせない起伏に富んだ展開には終始圧倒された。倦怠感を滲ませながらの歌、絶望に打ちひしがれた狂おしいまでの壮絶な絶叫、猛獣のような低音グロウルを使い分けるヴォーカルも9割近くをインストが占める曲構成の中で、殺伐とした黒い感情を充満させている。それでもあのISISを聴いたときに湧き上がる自然と意識が乖離していくような感覚、深い陶酔感に浸ることができるから不思議だ。
膨れ上がるだけ爆音リフを重ねていくその姿勢は「Austaralasia」の頃のPelicanを想起させる。しかし、初めて聴いたときに受けた衝撃はあの時以上。捻じ込まれたストーナーばりのサイケ感がやけに毒々しく神経を麻痺させ、半端ない音の炸裂感に脳味噌が打ちのめされる。もはや天空に向かって打ち立てられる漆黒の轟音壁の前にひれ伏し、煉獄のサイケデリアに堕ちるだけ。新人離れした強烈な世界観の前に全面降伏せざるを得ない、破壊力・迫力ともに満点の作品だ。
去年発売されたMouth of the Architectの新譜にもの凄く衝撃を受けたが、本作もあの作品と同じくらい衝撃的だった。
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