黒夢 ‐‐Review‐‐

1994年にメジャーデビューを果たす清春(Vo)、人時(B)の2人組ロックバンド。多くのフォロワーを生み出したヴィジュアル系のカリスマのひとつで、特に清春はファッションで誌も賑わすほどのマルチな才能を発揮。96年発表の「feminism」でオリコンチャート1位を獲得。その後はパンクへと傾倒していき、男性からも絶大なる支持を集めた。また晩年は毎年、年に120本近いライブを敢行するほどライブにかけていたバンドでもありました。しかしながら、絶頂期にあった1999年1月で無期限活動休止を発表し、その歴史に幕を閉じました。その後、活動停止宣言してから10年後の2009年1月29日にはまさかの正式な解散ライブを決行。っがその翌年に早くも再結成を宣言し、2011年からライブ活動、音源リリースを始め本格的な再始動。2011年11月には13年ぶりとなる新作『Headache and Dub Reel Inch』を発表した。メジャーデビュー20周年となる2014年1月29日には8thアルバム『黒と影』をリリース。

レビュー作品

> 黒と影 > Headache and Dub Reel Inch > CORKSCREW > LIVE AT 新宿LOFT~1997.10.31~ > DRUG TREATMENT > FAKE STAR > feminism > Cruel > 迷える百合達~Romance Of Scarlet~ > 亡骸を・・・ > 生きていた中絶児 > 中絶


黒と影

黒と影(2014)

 黒夢記念日である1月29日にリリースされた約2年3カ月ぶりとなる通算8枚目。1994年から月日は流れ、ついに彼等もデビュー20周年を迎えたのだが、今も健在のカリスマ性で後進への影響力は絶大である。本アルバム発売日には、日本武道館でアルバムと同タイトルである「黒と影」公演を敢行。約8000人のファンを熱狂させた。

 復活後2作目となる本作は、昨年のライヴ・ビューイングでの2人のインタビューを思い起こすと、「生々しいロック」に仕上がっているとの発言が強く記憶に残っている。確かに前作『Headache and Dub Reel Inch』のようにデジタルロックっぽくはなく、生演奏が前面に押し出された。というわけで、活動休止前のパンキッシュな後期・黒夢ばりとは言わないけれども、刺々しさやアグレッシヴさが随分と戻ってきており、冒頭のインスト#1「ZETO」に引き続いての#2「ROCK’N’ROLL GOD STAIR」、#3「 I HATE YOUR POPSTAR LIFE」、#4「CLARITY」の3曲が一気呵成に荒くヘヴィに攻め立てる。特に#4「CLARITY」がかつての彼等の姿を思い起こさせる様なロックンロールでかっこいい。

 しかしながら、アルバム・タイトル通りのダークな世界観をしっかりと通底させつつも、多彩な味わいが楽しめるのは彼等らしい。作品の流れとしては、前半では勢いと激しさで攻め、後半はメロウさに拍車がかかっていく構成。軽快なリズムに乗せた哀愁の#5「A LULL IN THE RAIN」、妖艶かつ毒気も孕む清春のヴォーカルが映える#7「MAD FLAVOR」、ダークで鬱蒼とした雰囲気に渋味を効かせた#9「SOLITUDE」など一癖も二癖もある楽曲を揃えている。しかし、黒夢でもSADSや清春ソロの要素を随分と感じるため、もはや境界があまりなくなっているのかなあという印象もあり。#11「CALLING」なんてSADSでやってなかったか?と思ってしまったし。ただ、その中でも映画”バイロケーション”の主題歌にも起用された#8「ゲルニカ」で聴かせる、ストリングスを交えた壮大なヘヴィロックは非常に味がある。

 また本作は、これまでに無いぐらいに様々なゲストミュージシャンが、楽曲に華を添えているのも大きな特徴のひとつだろう。SADSでもタッグを組むK-A-Z、GOの2人はもちろんだが、他にもtoeの柏倉隆史、downyから青木裕と秋山タカヒコ、そして是永巧一、CrossfaithのTATSUYA等が参加。妖しくもダークな世界を奏でながらメロウに引き立った#12「黒と影」で炸裂する青木裕の情熱的なギターソロは、聴き所のひとつといえるだろう。

 個人的には、本作では#13「Kingdom」の存在が群を抜いているように思う。昨年9月にライヴ会場限定シングルとして発表されたこの曲は、美麗な旋律を基調に重厚なサウンドへという展開。ポストメタルにも足を突っ込んだ哀愁と重音は、清春の艶めかしいヴォーカルが絶妙に絡みつき、クライマックスの聖歌隊のような大合唱がよりドラマティックに仕上げていて、復活以降で一番の曲ではないかと感じさせる。さらに通常盤には、ボーナストラックとしてシリアスなミドルチューン#14「LEAP」を収録。

 全体を通し、決して会心の出来というわけではないが、これまでに無い味わいのある作品ではあるだろう。繰り返される変化は、回帰も含みながら黒夢の今となって表れている。


Headache and Dub Reel Inch(通常仕様)

Headache and Dub Reel Inch(2011)

   13年ぶりとなるまさかの新作発表(通算7枚目)。その長い年月の分、当然彼等も大人になっているし、結婚して子どもも生まれているので、後期・黒夢のような社会全部が敵と言わんばかりの尖ったパンク・サウンドでは無い。それに清春はギターを弾けるようになったし(笑)。故に黒夢という名前だけで期待を持つと肩透かしをくらうが、もともとの黒夢(というかSADSも清春ソロもそうだけど)は、作品毎にその体を変えていくカメレオンのようなバンドであったはず。

 というわけで今回はSADSとの差異を出しながら、デジタル・ロック色の強いロックで勝負を仕掛けてきた。黒夢の過去作でいうと「Fakestar」が近いけど、清春ソロのグラムロックのテイストやアダルトな薫りも放ち、円熟味からくる哀愁もじわっとくる。懐かしいという想いに駆られる人時のうねるベースにプログラミング音が新しい感触をもたらし、彼等らしいメッセージ性の強い詩に乗せて吐き出す。それがアグレッシヴにもポップにも振れている印象。SADSと比べるとハード/ヘヴィでは無いけれど、「忘却の空(SADSだけどね)」に通じるようならしい疾走感、それにプログラミング音と共にエグく刺さる攻撃性も確かにある。先行シングル#5、#6で聴かせた哀愁と疾走感のあるロックに昂揚し、Steppenwolfのカバー#8では電子音での解体・再構築が冴え、ラスト#12はバラードでしっとりと締めくくるのが新鮮と言えば新鮮だろう。結局のところ彼等2人の経験値を重ね、折り合いをつけながらバンドを再構築した感じといえるかな。正直に言えば、これが黒夢かというがっかりな思いはあったし、清春ソロからの延長線上という感じしか受けないけれど、「いろんな色を重ねていくと黒になる。黒が一番強い色なんだ」という清春の言葉にこれからを期待したい自分もいる。


CORKSCREW

CORKSCREW(1998)

 オリジナルとしてはラストの作品となった6thアルバム。みなさんはここに収録されている「少年」という曲をご存知だろうか?俺はこの曲を初めて聴いた時の衝撃を決して忘れない。当時まだ小学生だった自分。TVでこの楽曲のPVがやっていたのをたまたま見たら、清春が上半身裸で過激に唄い上げている姿がそこにあった。その時だろう、俺のロックへの覚醒が起こったのは。今でも初心に帰る意味も込めて時々聴いてしまう想い出の1曲として君臨している楽曲なんです。

 少し脱線してしまいました。話を戻して・・・このアルバムは前作ほどの過激さは鳴りを潜めたが、よりパンク色が滲み出て、さらに多彩なアプローチも見せている作品だ。刺激的なスパイスがふんだんに盛り込まれたスピード感とライブ感溢れるパンキッシュな楽曲の数々はやはり聴いていても気持ちが良い。その中でも特に#4「後遺症」と2枚のシングル#6「少年」、#12「MARIA」が優れた楽曲だと思う。一撃必殺といえる曲が多く、今作はファンからも最高傑作と謳われる作品だ。その言葉どおりの輝きは10年経つ今も色あせないが、誰もこの作品で最後になるとはあの時は夢にも思わなかっただろう。かくいう自分もその中の一人だった。黒い夢にうなされる日々が無くなるなんて・・・


1997 10.31 LIVE AT 新宿LOFT

LIVE AT 新宿LOFT~1997.10.31~(1998)

   30万枚限定生産の新宿LOFTでのライブを収録したライブアルバム。今作の収録のためにこの観客も選りすぐられた精鋭が集められたという噂は本当なんですかね?(笑)。この頃といえば、とにかくライブで自分達の姿を追い求めていた黒夢。年間100本を越えるライブは当たり前という時代だった。その勢いはこのライブアルバムでも感じられ、ライブの本質に迫り、核心を突くように鬼気迫る黒夢が堪能できる。

 そして、今作に収録されている楽曲が恐ろしい。「DRUG TREATMENT」の曲を中心に全く休めるようなナンバーもなくひたすら繰り出される熱い楽曲の連続に熱気が充満。しかもそのどれもがスタジオ盤を軽く凌駕するパワーを放っており、ライブの魔力ってのは凄いんだなと改めて思わされる。無論、それはライブにここまで情熱を注いできた黒夢だからこそ成立する方程式なんだがね。#11「SICK」の途中で照明が落ちるという生ならではのハプニングも収録されており、おもしろい作品です。実はオリジナルアルバムを含めても個人的に一番好きな作品がこれです。


Drug Treatment

DRUG TREATMENT(1997)

 ヴィジュアル系も過去の過去。もはやカリスマパンクバンドと変貌を遂げた5thアルバム。「DRUG TREATMENT」というタイトル通りに麻薬を投与したかの如き中毒性の強いアルバムであると同時に、あまりの強い刺激に驚きを隠せない作品だろう。前作「FAKE STAR」をさらに過激にし、かつタフさを身につけたバンドサウンドから生み出される迫力ある楽曲の数々に稲妻が駆け抜ける。オープニングの重厚な#1「MIND BREAKER」を筆頭に、歌詞掲載不可の攻撃的ナンバー#3,ハードコアの威力も持つ#4~#7で一気に畳み掛ける。メロディに長けたロックナンバーの#12「Needless」、バンド随一の名曲#13「LIKE A ANGEL」は特に今作で優れた楽曲だと思う。

 さらに注目すべきは今作の歌詞の有毒性だろう。以前から清春というのは過激な歌詞で有名な存在ではあったが、今作は彼が発表したオリジナル作品で一番反骨精神に溢れ、激情的。それが彼のヴォーカルスタイルもあってか、ダイレクトに伝わってくる。当時この作品を初めて聴いた時、それはとても鮮烈な衝動であったのを覚えている。ヴォーカルを刃物のように感じたのは初めてだったから。

 黒夢というバンドの変化を明確に示した作品だと思うし、過激さと中毒性は彼等の作品の中でもNO.1の作品だ。


フェイク・スター~アイム・ジャスト・ア・ジャパニーズ・フェイク・ロッカー

FAKE STAR(1996)

   黒夢というバンドの大きな転機となったのがこの「FAKE STAR」という作品である。前作「feminism」では女性の耽美さを持ったポップで上質なロックというものを表現していたが、この作品では後の黒夢のデファクト・スタンダートとなるパンクロックというものが芽生えている。今作はタイトルトラック#2「FAKE STAR」の存在に尽きるだろう。『外人かぶれが優秀なら 僕は偽りだらけのFAKE STAR』という強烈なメッセージが込められたパンクロックチューン。以前までの自分達との戦い、そして社会との戦いへの決意とも取れるこの楽曲は後期・黒夢の象徴として君臨し続けた。

 アルバム全体としてはデジタルサウンドを駆使し、以前からの脱却を目指していたことが伺える。そして、シングルは後の清春の発言にもあるが「シングル曲は売れる為のJ-POP」という位置づけで終始している。この作品は「feminism」までの自分達と「DRUG TREATMENT」の間での葛藤がうかがえる作品だ。彼等の歴史の中でちょうど中間地点となった作品だろう。そして、自らの殻を打ち破ることのきっかけとなった作品でもある。ちなみにこの作品も「feminism」に続いてのチャート1位を記録している。


feminism

feminism(1995)

   臣の脱退というアクシデントも何のその、人気の証明といえるオリコン初登場1位を記録した3rdアルバム。今作はCruelの後半の楽曲をさらに充実させただろう、上質なメロディを備えた楽曲で世間の心を鷲掴みにかかった作品だ。ジャケットの中性的な清春が象徴的。今作は女性の視点に立って作られたものだそうだが、メジャー感に染まったとも解釈できそうなポップなメロディは、黒夢らしくもあり、らしくなくもあり。これはプロデューサーの佐久間氏の仕掛けと捉えられるかもしれない。ギターが抜けたのを感じさせない程の美しいメロディを聴かせて、親しみやすい楽曲ばかりというのはいいと思う。ヒットシングル#8,#11を始め、#3,#4,#6,#10,#14などは歌を重視した楽曲は非常に爽快で聴きやすい。黒服を着用し、ド派手なステージパフォーマンスで人気を博したヴィジュアル系バンド・黒夢という残像すら残さぬほどの爽やかロックである。そのためか、後に再録されることになる#5,#12といったハードな楽曲は逆によく収録したなと思えるほど浮き気味に感じてしまった(好きな楽曲なんですけどね)。ある意味、ポップサイドの黒夢は本作をもって完結したといえるでしょう。


Cruel

Cruel(1994)

   前作より半年のスパンでリリースされたミニアルバムで、3人編成としては最後のアルバムとなってしまった(ギターの臣が脱退してしまう)。ジャケットの写真にしても黒服のいかにもヴィジュアル然とした格好で無くなり、それなりにまともになった影響もあってか楽曲も以前の毒素は含みつつも随分とソフトな楽曲が並んでいるように思う。#1,#2は叩きつけるようなハードなナンバーでファンへの迎合をしているが、その後は新たな境地を模索するかのようにメジャー感のあるポップな楽曲に終始している。その変化が悪いとはいえないが、臣はそこが嫌になってこの後に脱退してしまったのかなと考えてしまう。楽曲も佳曲が揃っていて悪い作品ではないものの、2つの色が主張しすぎてイマイチ中途半端な印象を持ってしまいました。


迷える百合達~Romance of Scarlet~

迷える百合達~Romance Of Scarlet~(1994)

   1994年2月9日に発表した1stシングル『for dear』で鮮烈なメジャー・デビューを果たした彼等のメジャー1stアルバム(通算2作目)。いきなりオリコン・チャートで3位を記録し、堂々たるスタートを切っている。

 タイトルの”百合の花”が連想されるほどに儚さと危うさを孕んだこの作品は、黒夢らしい中毒性を持ちながらも、これまでには無かったようなポップな感覚を際立たせた仕上がりとなった。特徴的なビブラートを聴かせる清春のヴォーカルにしても、憂いを含んだメロディにしてもいい意味でメジャー感の伴ったものになっている。協会からクレームが来た#9「autism-自閉症-」のような曲もあるとはいえ、歌詞も割とまともにはなった。この辺りは、佐久間正英氏とタッグを組んだ事が大きいか。デビューシングルである#3「for dear」を始めとし、ヴィジュアル系らしい耽美性と歌謡性が上手く結びつけられている。

 ダーク・ヴィジュの王道スタイルといえそうな#2「棘」、彼等らしいドロドロとした表現が生きた#4「Masohist Organ」や妖艶さも感じさせる#6「百合の花束」、澄んだ青空のように今までに無いほど明るく美しい#10「Romancia」と順当に幅を広げた楽曲群は、メジャー仕様らしくバラエティ豊か。その分、以前までの狂気に満ちたハードな楽曲が少なくなったこともあって、個性は薄まった気はしてしまうが、90’sヴィジュアル系らしい作品として欠かせない一枚である。


亡骸を…

亡骸を・・・(1993)

 インディーズとしてはラスト・リリースとなった初のフルアルバム。歌詞にしろ曲調にしろドキツイ化粧と黒服で包むファッションにしろ、過激な表現に突っ走り、名古屋系としてのみならず日本中を狂喜させてきた黒夢。前年の『中絶』『生きていた中絶児』の流れを発展させ、ダークなヴィジュアル系としての完成系/ひな形を作り上げたのが本作になるだろう。

 お得意の2ビートで疾走する#1「UNDER…」から、光などまるで見えない暗闇が口をあけて待っている。彼等といえば、おどろおどろしい表現、激しい曲調は言わずもがなであるが、本作においてはメロウさに拍車がかかっていて、整合性のあるつくりになっていることが特徴だろう。#4「讃美歌」や#6「MISERY」、#7「If」での憂いも孕んだ耽美な曲調がこれまでに無かった流れを生んでいる。インディ期では一番のメロウさを表現したように思う表題曲#10「亡骸を」では、清春の実父が涙を流したという逸話もあり。救いのない暗さや狂気性が基盤にあるとはいえ、アプローチが多彩になっていて、以前と比べると十分に間口が広がっているのがわかる。

 当然ながら攻撃性も十分で、ギターソロも始めとしてHR/HMの要素が強い#5「十字架としての戯れ」は強力だし、リメイクされた#9「親愛なるDEATH MASK」はさらに凶悪な楽曲として多くの人々を熱狂に陥れた。そんな初期の黒夢の集大成として君臨する作品であり、DIR EN GREYを始めとした後進達に大きな影響を及ぼした重要作だろう。本作を置き土産に、バンドはメジャーのフィールドへと駆け出すことになった。


ikiteita

生きていた中絶児(1992)

 デモテープでリリースされていた作品に#6「鏡になりたい」を追加収録し、CDとして再リリースされたミニアルバム。黒く禍々しい部分が凝縮されたインディーズ期の黒夢は、相当に狂っているということを本作を聴けば納得する人は多いはず。バンド名を冠した#1「黒夢」からエッジの立ったギターを掻き鳴らしながら、激しさを伴って疾走。続いての#2「狂い奴隷」でも精神錯乱状態を助長。ほぼ同時期に発表した『中絶』と共に、この原点はかなりのイカレ具合である。ヴィジュアル系のみならず、音楽のダークサイドを全て受けとめて表現したかのようにドロドロとしており、北欧のブラックメタルとも通ずるものがあるかもしれない。それでいて耽美なリリシズムは継承し、メロディアスな感覚も植え付けている。やたらと複雑な展開やフックを設けながらも、じめっと陰湿な空気感に締め付けられる#4「楽死運命」で狂わし、曲調も歌詞も過激を極めた#5「親愛なるDEATH MASK」で狂いの限界点を超えていく流れはあまりにも強烈。追加収録のバラード#6「鏡になりたい・・・」も感動を呼ぶものではなく、怨念と業深さを感じる仕上がり。そんな黒の世界に追いやっていく佳作である。


tyuzetsu

中絶(1992)

 3曲入りで約12分収録のインディーズ最初のミニアルバム。完全に一線を超えてしまった暗黒観を造形しており、かなりコアな楽曲が3つ揃っている。音楽的には、80年代のジャパメタ(当時、カバーしていたDEAD ENDの影響は大きいと思われる)を基盤に置きつつも、ヴィジュアル界隈のメロディアスな感性をミックスさせた印象か。さらには思わず眼をそむけたくなるような表現を加味しており、ダークなヴィジュアル系バンドとして、圧倒的な個性を誇っていた。2ビートでバタバタと疾走する#1「中絶」は、スラッシュ~デスメタル的な要素も包括しながら、キチガイじみた歌詞を清春の独特な歌唱で吐きだして悪夢へ。人時のベースソロを起点にし、メタリックなギターが扇情する#2「浮遊悲」、アコギを上手くフィーチャしながら負のオーラに聴き手を絡めていく#3「IN SKY」にしても刺激的過ぎ。恐いもの知らずの勢い、初期衝動も本作の特徴で、衝撃的な黒い夢の始まりとなっている。当時のライヴでは、首吊り等の過激なパフォーマンスも繰り広げており、他のバンドとはモノが違ったんだなと思う。

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