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Lento ‐‐Review‐‐

2013/4/15 REVIEW

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イタリアの超絶スラッジ/ドゥーム/ポストメタル5人組。トリプルギターによる度を越えた驚異の音圧を武器に、同郷のUfomammutと共に世界を震撼させている。

レビュー作品

> Live Recording 8.10.2011 > Icon > Supernaturals Record One > Earthen


Live Recording 08.10.2011

Live Recording 8.10.2011(2012)

   2011年10月にイタリア・ペルージャで行われたライヴ・レコーディング作品。いやはや、こやつらは凡百のバンドが束になっても太刀打ちできないようなライヴを繰り広げているようで、スタジオ音源を凌駕するほどの重低音が轟いている。オリジナル・アルバムでは出てくるようなアンビエントなカラーは封印し、2枚のアルバムから容赦なく鼓膜を蹂躙するスラッジ曲の連発で煉獄を現出。凶悪なトリプルギターは、さらに重さと黒さを突き詰めて次元の違いを叩きつけ、徹底して鍛えこまれたグルーヴがさらに追い打ちをかける。ここに救いなど一切ない。地鳴りのような音圧の中で光が入る隙間すらない孤高の闇が広がっている。

 90秒の不穏なギターの歪みを経て、Botchをも突き抜ける混沌が襲いかかる「Icon」を皮切りに、空間という空間を塗りつぶす重低音リフの応酬が凄まじい#3「Hymen」、2分という短さながら時空が歪む轟音の濁流に振りまわされる「Still」(この曲では冒頭に叫び声が聴こえてくるのも印象的)、1stアルバムで最強の破壊力を誇った#6「Need」と続いていく。#8「Hadrons」では叙情的な音色も取り入れられているがデンジャラスな音圧に結局はやられ、ラストの#9「Least」には漆黒のヘヴィネスが轟いて粉砕されること必至。アンビエントな安らぎを取り払ったために、作品としての破壊力は尋常ではないし、それを具現化してしまうバンドの力量にもまた驚かされる。もはや今年はこれを上回るライヴ作品が表れることはないだろう。そう断言したくなるほどに圧巻の一枚だ。奈落の底を見る激震の音楽。


 

Icon

Icon(2011)

   かつてUfomammutと共に極悪ヘヴィな共作も発表したイタリアの殺人スラッジ/ドゥーム/ポストメタル5人組、Lentoの1stアルバム『Earthen』より4年ぶりとなる2ndフルアルバム。黒い煙が立ちあがったが最後、地鳴りのような音圧が凄まじいインパクトを残す恐ろしい一枚である。震撼必至。トリプルギターによる超絶ヘヴィリフの繰り返し、極悪重厚なベースラインとドラムが共謀して築き上げる圧殺のスラッジ/ドゥームサウンドに視界がまどろみ、平衡感覚が揺さぶられ続ける。奏でられる音色のひとつひとつがあまりにも黒くて重たい印象。それらを集結することでできあがる禍々しいオーラと殺気に満ちた凶悪な音塊の放出には殺られるんじゃないかという恐怖心に駆られるほど。

 徹底的に遅く重い作品を作り上げてきており、この破壊的グルーヴには地球が歪な変形をするほどのダメージを喰らってもおかしくないぐらいだ。Ufomammutと共にElectric Wizardの尊厳を奪うほどの超絶的ヘヴィさを誇っている。もちろん、少しは叙情的な安らぎを加えたり、サイケデリックな味付けもあるのだが、嬲り殺すようなスラッジリフの反復に漆黒の津波を思わせる轟音をメインにし、暗闇の深淵を覗くかのような重く暗い演出が作品におぞましい邪気を与えているのも印象的。漆黒のダウナーなグルーヴにやられる#2、重戦車リフの鬼気迫るリフレインが驚異の轟音圧を形成する#4、怒涛の爆音攻撃と深遠な静寂が生命力を奪う#9、死霊が浮かぶ地獄アンビエント#10と強烈な楽曲を多数収録しており、ポストロック風味の叙情的でまろやかな味付けが効いた#6のような箸休めの一手も憎い。黒い轟音の濁流が荒れ狂う驚異の作品。しかしながら、やばすぎる音もいずれは酩酊と快楽に繋げてしまう、そんなウルトラ・ドゥームである。

 ちなみに本作は発売元のレーベルにて全曲フリーダウンロード可能。地獄を覘ける凶悪な重低音を味わいたい方は是非。 http://denovali.com/lento/


 

Record One

Supernaturals Record One(2007)

   イタリアが誇る超激重コンビ、UfomammutとLentoによるコラボレーション作品。Electric Wizardをも凌ぐダウナーな激重音楽を創造するこの2組のコラボは予想以上に凄かった。無限宇宙、無限地獄が造形される。

 まず冒頭『Infect One』の96秒のインストゥルメンタルから度肝を抜く轟音風景。不穏な電子音を宇宙に飛ばしてシンクロを図る出足から50秒を過ぎた辺りでどす黒い激重リフが全身に襲いかかる。この1分半の攻防で既に茫然自失となった所に対し、続くは#2、#3の奈落を見る巨大な轟音とシンセによる邪悪な宇宙へのトリップ感。時間軸も空間軸をも軽々と歪ませ、聴き手の概念をも塗り替える様な尋常でない音が鳴り響いている。しかも凶悪な中にしたたかにもメロディアスな感性をしのばせている辺りも性質が悪い。エフェクトかけまくりのラリったヴォーカルも相変わらず驚異の音圧の上を気持ちよく泳いでいる。Hawkwindのようなスペーシーな感覚と宇宙への解脱、そこにElectric Wizardの酩酊と覚醒のスラッジ/ドゥーム成分が奇跡の邂逅を果たすこのサウンドは、UfomammutとLentoという2組がドープな線で繋がる事でより破壊力を増している。

 #4~#7はLentoが主体となったセッションのようだが、こちらではアンビエント/ドローンのような作りが押し出されていき、より深遠な領域へと突入していく。重厚なリズムの上で揺らめく壮麗なギター・ノイズからは、前半が嘘に思えるほど美しいと伝達したくなるような叙情豊かな一時を演出している。ISISのようなポストメタルもお手の物といわんばかりの思慮深さをみせつけたところで、トドメの#6「Infect Two」へ。これまでの5曲が全てこの1曲に凝縮されたといっても過言ではない阿鼻叫喚のラストであり、ヒトデナシの轟音が最上の地獄へと連れていく。至極圧巻。全6曲40分超、神通力にも似た重低音と中毒性を有した壮絶なコラボレーション作品である。これは間違いなく世界を揺り動かす。


 

Earthen

Earthen(2007)

   同郷のUFOmammutと共にイタリアから世界を震撼させるLentoの1stアルバム。先にUFOmammutとのコラボ作品、そして2011年発表の最新作『Icon』を先に体感しているが、創初期のこの本作もまた巨大な音塊が山河を揺るがす驚愕の作品だ。

 ドゥーム、スラッジ、ポストメタルといった重みと迫力とダイナミズムの追求し、さらには尋常じゃないサイケデリック要素も加味した凄まじきヘヴィ・インストゥルメンタル。序曲の#1「Hadrons」からその禍々しいオーラとどす黒い空気に侵され、凶重のリフがずっしりとしたリズムと共に撃ち落とされる。一聴しただけで危険を察知するほどにその轟音の濁流はリミッターを振りきれており、続く#2「Need」では押し寄せるトリプルギターの轟音に五感が麻痺。非情なる世界の重みというのを体感する事になる。地球すらも粉砕しそうな重低音絵巻の#6も強力以外の何物でもない。UFOmammutと肩を並べるその激重サウンドは想像を遥かに超えている。

 ただ、彼等と比べるとスペーシーな感覚は少し薄い。けれども悪戯なアンビエントが緊張感と恐怖感を煽り、ゴシカルなヴォーカルのサンプリングがまた耽美なアート感覚をもたらしていて、ただやかましいバンドに留まらない美意識の高さを伺わせる。意外とそのスラッジとアンビエントの両刀が堂に入っているのだ。意識の深層を眩惑する幽玄なアンビエンスのラストトラック#7「Leave」の存在感は大きい。重く妖しく美しくの結晶化が生み出したイタリアの轟音奇跡。その渦中へ引き込まれたが最期、激震の音楽がここに!

 

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Instrumental, lento, Overseas, Post Metal, Sludge

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