The Life And Times ‐‐Review‐‐

ex-SHINERのアレン・エプリーを中心としたオルタナ/エモーショナル・ロックバンド。ポストロックやシューゲイザー、マスロックといったジャンルを呑みこみながらも艶やかな歌声がじっくりと聴かせる核となったサウンドで魅了してくれる。


Tragic Boogie+3

Tragic Boogie(2009)

   ex-SHINERのアレン・エプリーを中心としたオルタナ/エモーショナル・ロックバンドの2ndフルアルバム。独特の艶やかさと情熱を湛えた作品である。核となっているのは、情感豊かで美しいヴォーカル、メロウでありながらフィードバックも随所に取り入れた硬柔のバランスのとれたギター、そして凝った展開をものともしない強靭なリズム・セクション。それが非常に豊かな詩情と広がりを感じさせる作風となっている。胸を優しく焦がしていくこの感覚は素晴らしい。じっくりと聴かせる力が全編に渡って備わっており、デリケートなメロディと妖艶なヴォーカルが生むメランコリックなポップ感は、エモという範疇を越えた舞台で勝負できる。だが、感情を突き動かすエモーショナル衝動を保ち、さらにはポストロックやシューゲイザーっぽい空間の編み方、レイヤーの使い方が奥行きを生み出し、マスロック的な変拍子混じりの構造やハードコアっぽいアタックの強い場面も登場。多くの引き出しが、このバンド独自の揺るぎない世界を築き上げている。それでもシンプルに歌ものとして響く良さが本当に逸脱。ぶっといベースラインとドラミングの律動に引っ張られるように上品なギターフレーズと歌い回しが印象に残る#3、清涼感と美麗さが同居したハーモニーで魅了するタイトルトラック#9など特に素晴らしい。幅広い層に間口を開放したエモーショナルかつメロウな一撃、実にいい作品である。

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