Metallica ‐‐Review‐‐

HR/HMの王者といえる存在のメタリカ。デビューは20年以上前になります。デビュー作のキルエムオールからメタルマスターまでスラッシュ時代を歩む。この時スラッシュ四天王とされます。 しかしその後ベースのクリフ・バートンが事故死。後任にジェイソン・ニューステッドが加入。 そこから作品がだんだんヘビーよりになっていきます。そして91年発表のMETALLICA通称ブラックアルバム)が全世界で脅威の2,000万枚以上の売上を記録。地位を不動のものとします。 その後96,97年に連続発表したLOAD、RELOADの作品の方向性により大バッシングを食らうことに。 2003年には6年ぶりとなる新作St.ANGERを発表し、同年来日公演を敢行。レインボーホールで生でメタリカを見ましたけど、生きた伝説ともいえるぐらい凄かった。また、2006年にはサマーソニックのヘッドライナーとして来日したことでも話題に。そして2008年に待望のニューアルバム「Death Magnetic」を発表した。

レビュー作品

> Death Magnetic > St.Anger > S & M > Metallica > …AND JUSTICE FOR ALL > Master of Puppets > Ride The Lightning > Kill Em All


デス・マグネティック~ストロング・エディション

Death Magnetic(2008)

   5年ぶりとなる9thアルバム。傑作ブラックアルバムから長年連れ添ってきたボブ・ロックに別れを告げ、本作は新たにSLAYER等のプロデュースでおなじみのリック・ルービンと組んで製作されている。

 前作「St.Anger」で何かが弾けたように吹っ切れた印象を受けたのだが(自分はまあまあ好きだったり)、世間はそう甘いものでなく否定派の方が断然多かった。こうして本作は色々と改善を重ねてきたようだが、聴いてみた印象をいうと全作品を折衷した感じだろうか。近作では感じられなかった初期の頃のような荒っぽいスピード感を感じさせるし、ブラックアルバム以降の重厚な音作りも健在。前回物議を醸したギターソロも復活しているしリフや曲の展開もかなり練りこまれており、近作では一番楽しめると評価する声が多いのも確かに納得できるところ。なんていうかリスナーの心を満たす要素をきっちりと詰め込んであるし、過去から今までのメタリカの色がリフや歌メロに出ているのでファンにしてみたら顔がニヤけてくるのも当然か。一部で原点回帰とも言われているのだがそれは強くは感じない。

 当然のように長い時の流れを本作から感じ取れて、あの頃のようなアンダーグラウンドな香りではなく、現代ロックの匂いが漂ってくるから。ただ、本作がメタリカのこれからを占う上で非常に重要な作品なのは間違いないだろう。個人的には約10分に及ぶ大仰なインスト#9から凄まじい音の嵐の中に巻き込んでいくスラッシュチューンの#10の流れには興奮を覚えたが、全体的にはいわゆるするめタイプのアルバムという印象を持った。


St Anger (Bonus Dvd) (Clean)

St.Anger(2003)

   6年ぶりとなる8thアルバム。ジェイソンが脱退したために本作よりベースが元オジー・オズボーンのロバート・トゥルージロに交替している。

 自分は本作をメタリカの作品で一番最初に聴いて、それからのめり込んでいったわけなんだが、購入するきっかけとなったのは先行シングル#2「St.Anger」のPVに胸を震わされたからである。曲のかっこよさもさることながら、刑務所で堂々とメタルを演奏するその姿があまりにもかっこよくて絶対にこいつらのCDを買おう!と心に決めたのを今でも覚えている。まあそんなわけで、メタリカを好きになったきっかけの作品ということで個人的には気に入っている。もちろん、本作も「Load」「Reload」と同様にファンの間では賛否両論・物議をかもしている問題作に違いは無い。ただ、ブラックアルバムからヘヴィ・ロックへの傾倒していった彼等が、重さから再び”速さ”への目覚めとなった本作をそんなにないがしろにしないでもいいのではと思う。

 #1「Frantic」、#2「St.Anger」は文句のつけようのない楽曲に仕上がっている。こんなパワフルでアグレッシヴな姿勢を見せてくれたらちょっとぐらい心が折れるはず。ただそれ以降の曲にいまいちインパクトが足りなく、かつ痺れるような緊張感が無いのが残念といえば残念。あくまでヘヴィなバンドがスラッシュに挑戦してみたという印象が拭えないことやギターソロを入れなかったのもマイナスか。しかしながら彼等の威光は未だに衰えていない。


S&M~シンフォニー&メタリカ

S & M(1999)

   メタリカが何とオーケストラと共演して話題となったライブアルバム。タイトルの「S & M」は”Symphony & METALLICA”の略。100人を越えるオーケストラ集団との共演、この試みは賛否両論を生んでるようだが、個人的には大いに満足する内容だった。メタリカのヘヴィメタル・サウンドというのは変わりようが無いわけだけど(本作でも特別なアレンジはしていない)、シンフォニックな息吹を与えている流麗なオーケストラとの絡みは美しいハーモニーを奏でている。なんていうかちょっとしたRhapsody of Fire気分を味わうことができるというべきか。力強いヘヴィ・メタルを繊細で劇的なオーケストラと絡めることで、烈しさと美しさがより際立っているように俺は感じた。これは単純にこれまで作ってきた楽曲との相性がよかったというのもあると思う(スレイヤーがオーケストラと共演はありえないしね)。冒頭の「The Call of Ktulu」なんてこっちの方が遥かに良くなっていて涙腺が緩むし、「Master of Puppets」や「One」といった代表曲も、アクセントが効いてより感動的なものとなっている。2枚組みで21曲にも及ぶボリュームも満足度を上げる結果に繋がっているが、ここで試験的に発表されている新曲は結局お蔵入りしているみたいだ(実際に埋もれてしまった感があるし)。


METALLICA

METALLICA(1991)

   全世界で約2,000万枚というとんでもないセールスを記録した怪物アルバム(通算5作目)。通称”ブラックアルバム”と親しまれる本作からプロデューサーにボブ・ロックを起用。それが影響して、鉛のようにずっしりと重くヘヴィなリフと脳髄を揺らすグルーヴを主体とした音楽へと変貌を遂げる。メロディも今までよりさらに洗練されて、ポップなんて言葉が浮かぶほど。

 もちろん、速い曲もお約束どおりに何曲か収録されているが、鋭利な感じはせずスマートな疾走感といった印象でヘヴィ・ロックという全体のイメージを崩すまでは至ってない。なので、以前までのスラッシュメタルを期待するとまるっきり肩透かしを喰らうことになる。商業的になったと言われてしまうのは仕方のないことだが、これまで突き詰めてきたスラッシュメタルを踏まえての進化であるヘヴィロックを自分は支持したい。それに支持することに値するほどの素晴らしい楽曲がここに収録されている。メタラーなら誰もが口ずさめる#1「Enter Sandman」もそうだが、情感溢れる2つの美しいバラード#4「The Unforgiven」と#8「Nothing Else Matters」は彼等が成長したからできた楽曲だといえる。

 世のロックをヘヴィ・ロック時代へと転換させていった歴史的傑作の一枚が本作。新しいメタリカという捉え方もされているが、バンドの歴史から見てもメタリカ自身の一つの区切りとなった作品だと自分は考えている。


...AND JUSTICE FOR ALL

…AND JUSTICE FOR ALL(1988)

    ツアー中に不慮の事故により、ベーシストのクリフ・バートンが亡くなったため新たにジェイソン・ニューステッドが加入してから初の作品(通算4枚目)。そのクリフの死が影響したからか前作までの流れは踏襲しつつも、プログレっぽいことをしていたり後のヘヴィロックの礎となることをやっていたりと多様な音楽性を披露。いや、これまでもそのような兆候はあったがこの作品からはっきりと表面に出るようになったと捉えた方がいいか。むしろ本作は音楽の内容よりも確かにベースの音が聴こえにくいとか音がモコモコしているだとかサウンド・プロダクションの面で叩かれることが多い。ただ、楽曲はこれまでどおり素晴らしいものがいくつかある。スピード感溢れるギターリフに幾度ものテンポテンジが絶妙な#1、力強いミッドテンポの#2、ヘヴィメタルのバンドとしてグラミー賞を初受賞したバラード#4など逸脱。後半はやや精彩を欠くが、#9のスピードチューンで再び目が醒める。しかし、HR/HM界に燦然と輝く傑作である前作と比べるとクリフの死は非常に悼まれる結果となった。彼等の分岐点となったのは間違いないだろう。


Master of Puppets

MASTER OF PUPPETS(1986)

   HR/HMの20世紀最高の作品として名高い完全無欠の最高傑作である3rdアルバム。最強のオープニングナンバーであり最高のアンセム#1「Battery」が流れ出した瞬間から既に彼等の虜、その激しい音の波に飲み込まれてしまう。本作(メタルマスターなんて邦題もついているが)は前作「Ride the Lightning」で確立したスタイルを推し進め、激しさと美しさを極限まで高めた完成系。収録されている8曲全てにこの上ないスケールの大きさと人を引き付けるドラマが存在する。

 より成熟度が増し、楽曲も緻密に計算されたものになっており以前までの若さゆえの甘さは一切感じない。ジェイムスのヴォーカル・ワークの向上も聞き逃せないポイントだろう。世間が最高傑作と謳うのも納得させられる作品だ。#1は前述の通りだが、続く#2も劇的なスラッシュメタルチューンで#1と並んで代表曲にあげられる超名曲。哀愁漂うバラード風の#4はあまりにも美しく、クリフ・バートンの遺作となった#7「Orion」は冬の夜空に浮かぶオリオン座を観て製作されたインストナンバーで涙が溢れるほど感動的。ラスト#8にはまた猛烈なスラッシュチューンを配置し、王者の風格を漂わせる。まあ散々言葉を並べたが、どこの皆さんも口を揃えていうのは”不朽の名盤”だということ。メタルってどういう音楽だろう?と思っている人は本作を聴くことからまずはじめましょう。

 そういえば、06年サマソニのヘッドライナーとして来日したときは本作が発売されて20周年ということもあり全曲順番通りに披露していた(自分は行っていないが)。バンド自身にとっても相当な思い入れのある作品といえるだろう。


Ride the Lightning

RIDE THE LIGHTNING(1984)

   前作からとてつもない大飛躍を遂げた革命的名盤の2ndアルバム。スラッシュメタルという根幹は同じだとしても1stと比べると別バンドのようにも感じられる成長を見せた作品だ。凶暴な攻撃性はそのままに叙情性をブレンドして様式美とも表現できそうなメタルへと変貌。特筆すべきは楽曲が芸術性を帯びているところだろう。野蛮な印象すらあった前作の攻撃一本調子からこんなにも多彩な楽曲を造るとは驚きの一言である。

 本作からエンジニアがついているとはいえ、この成長っぷりは尋常ではない。叙情的なアコースティックパートから猛烈なスピードで突っ走るスラッシュメタルへ雪崩れ込む#1「Fight Fire With Fire」の悶絶するようなかっこよさが本作の凄さを物語っている。稲光が走るイントロが強烈な#2にしても凄い、以前との違いを見せ付けてくれている。それに美しくてドラマティックなミッドナンバー#4やラストの壮大すぎるインストゥルメンタル#8など、前作の暴れっぷりからは考えられない楽曲も登場する。扇情的なギターリフや練られた曲の展開には舌を巻くが、若さゆえの勢いがこの頃はまだ勝っていて、個人的にはそこが良い味のように思う。代表曲#7「Creeping Death」のかっこよさは言うまでもなく、素晴らしい。一緒に拳を上げて頭を振り回したくなる。1984年の発売当初は、相当な衝撃を与えたという本作は、完全に自分達のスタイルを確立した作品といえるでしょう。こちらも次作と同様に文句なくHR/HMの傑作にあげたい。


Kill Em All

KILL EM ALL(1983)

   全ての伝説はここから始まった・・・

 今ではHR/HMの頂点に立つ説明不要のスーパーバンド・Metallicaの1stアルバム。とにかく内容は荒々しいことこの上ない。完成度という言葉を度外視、スピードを求めてとことん追求し、メタルらしい攻撃性を突き詰めた若者らしい血気に満ちた作品に仕上がっている。時代を切り開いたオープニング#1「Hit the Lights」はその確たる証明であり、他バンドとの勢いの差をみせつけてくれる。”メタリカ”という単語は当時、このアルバムの速さと同様なぐらい衝撃的なものだったのではなかろうか。聴くものを圧倒する疾走感と攻撃性がとにかく凄まじい。確かに音質の悪さは気になるし、若者ゆえの未熟さも荒削りな楽曲から垣間見れる。だがそんなのを吹き飛ばすような猛烈な勢いとアグレッシヴな姿勢は逆に清々しさすら感じさせてくれる。初めて本作を聴いた時は電光石火の#3「Mortorbreath」で度肝を抜かれたものだ。ライブでも定番となっていて、随一のキャッチーさを誇る人気曲#9「Seek and Destroy」も非常にかっこいい。他にも粒揃いで、魅力的な楽曲は多い。スラッシュメタルの醍醐味っていうのは意外に2ndや3rdよりも本作にあるのかもしれないなと思わされる。

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