Mew ‐‐Review‐‐

デンマーク・コペンハーゲンのオルタナティヴ・バンド。Vo.ヨーナスの甘美なファルセットを中心にメランコリックな音像を紡ぎ、全世界を魅了。20年を超えるキャリアで6枚の作品をリリースし、ここ日本でもサマーソニックへの来日を中心に人気を誇っている。


プラス・マイナス

+-(2015)

  ベーシストであるヨハン・ウォーラートが復帰し、オリジナル・メンバー4人で解き放つこととなった5年半ぶりの6thフルアルバム。これまでの作品のジャケットはいずれも、ぱるるに確実にダメ出しくらうだろうレベルでダサいが、本作はホンのちょっとだけマシになったかな(笑)。

 僕が聴いたことがあるのは『Frengers』だけなんだけども、その時に感じた氷のオブジェのような澄んだ透明感と芸術性を備えた音楽性は、本作でも変わらずに大きな魅力としてある。Vo.ヨーナスの魅惑のハイトーン・ボイス、浮遊感のあるシンセ、クリーントーンのギターをプログレにも通ずる緻密な構成のもとで統制。そこにメインストリームを走れるだけのポップと温かみを加味しながら、美しい世界を描き出している。北欧ポストロック~ドリーム・ポップにUKロックのスマートさ、一昔前のプログレ的感触が柔軟に結びついている感じかな。聴いていても、エンジェリックな神秘性であったり、深海に溶けていくような陶酔感が素晴らしい。まるで北欧のオーロラのような#7「Water Slides」における透徹とした美の表現は、Mewの真骨頂といったところだろう。

 少なからず印象としてもたれそうなナイーヴで線が細い部分は、本作随一のロックチューンとしてかっ飛ばす#2「Witness」でカバー。さらにMVが公開されている綺羅びやかで力強い#1「Satellites」も鮮烈。そういった曲を含めて作品の広がりをもたせる中で、個人的に本作を象徴的すると思うのが10分を超える#9「Rows」で、小刻みに場面を切り替えながらの圧倒的なドラマが繰り広げられると同時に、バンドの力量に感服させられる。20年のキャリアは伊達じゃない。聴けば聴くほど深みにハマる清く美しい作品である。

 しかし、本作を聴きながら2年前のサマソニ大阪2日目で、ガゼットとリンキン・パークを見てる場合じゃなかったと強く思うのであった(苦笑)。

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