miaou –Review–

神奈川県出身の男+女性姉妹によるインストゥルメンタル・トリオ。ポストロック・エレクロトニカ・シューゲイザーといった要素を自分たちに落とし込みながら、日常を艶やかな残像として蘇らせるその音色は聴くものの耳を優しく癒し、穏やかな時間を提供してくれる。2008年には3rdアルバム「All Around Us」を発表。その後、epic45ともスプリットツアーを行うなど、海外バンドとの親交も深い。

レビュー作品

> All Around Us > painted e.p.


All Around Us

All Around Us(2008)

   これまで同様にtoeの美濃氏をエンジニアに迎えて製作された3年ぶりとなる3rdアルバム。#1の鉄琴による静かで厳かな幕開けが過ぎると#2ではすぐに陽光溢れる大気と自然の恵みが包み込んでくれる。どこか懐かしい温もりのある儚げなギターが流れ、牧歌的で穏やかに波打つリズムを軸に非常にゆったりとした空気が終始拡散。そこにエレクトロニカの有機的な音粒子がキラキラと浮遊し、シューゲイザー風味の味付けや音響系のアプローチが滑らかな味わいを生んでいる。このゆるやかな曲線を描きながら琴線をくすぐるポストロックサウンドが実に心地よい。

 聴いた感じだとAlbum Leafに似た感触を覚えるだろう王道路線。だが、聴いているとこちらの方が包容力に優れているように感じる。それは女性特有の母性があるからだろうか、作り手の温かみが顕著に伝わってくる。純真なメロディ群、ふんわりと包み込むような感覚が凄くいい。#3「Hello World」を聴いているととても穏やかな気持ちになれ、アコースティックギターの調べが美し過ぎる#10「Shining」では過去のノスタルジーに浸れる。日々の忙しさや切迫感とは全く無縁のストレスレスミュージック。ゆっくりとしながらもとても掛け替えのない時間を頂いているような気がしてくる。またこんなにも日常と寄り添える音楽に出会えたのは嬉しいことである。

 確かにもう散々出尽くした手法であるし、起伏の乏しさや刺激という点でも個人的にやや不足しているなとは感じた。ただ、エメラルドグリーンの草原の上で寝っ転がってこんな癒される音楽と戯れることができたら、それはそれで幸せだろうなあ。こういう想いにさせてくれる作品ってのは世の中にそう多くはない。しかし、本作は人の大いなる恵みとなる癒しが詰まった好盤であるといえるだろう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする