MORRIE ‐‐Review‐‐

DEAD END/Creature Creatureの核であるヴォーカリスト。他を寄せ付けない孤高のカリスマとして、音楽シーンに大きな影響を与えている。ソロ活動としては、1990年代前半に『ignorance』、『ロマンティックな、余りにロマンティックな』、『影の饗宴』という3枚の作品をリリース。現在は、DEAD ENDとCreature Creatureと並行しながらの活動となっている。そんな中2014年12月に約20年ぶりとなるフルアルバム『HARD CORE REVERIE』を発表した。

レビュー作品

> HARD CORE REVERIE > Ectoplasm


 

HARD CORE REVERIE

HARD CORE REVERIE(2014)

 2005年にベストアルバム『Ectoplasm』のリリースはあったが、オリジナルとしては『影の饗宴』以来、約20年ぶりとなる4枚目。青木ロビン除くdownyの面々やSUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)、ササブチヒロシ、秦野猛行、yukarie、FIRE、奥さんのHeather Paauwe等が作品に参加している。

 殺戮の雪を降らせる五十路の超人がソロとして再び降臨。先に言及するとソロ作品は、DEAD ENDやCreature Creatureとの距離を取ったものである。以前の作品(前述したように20年前になるが)では、ジョン・ゾーンやロリ・モシマンといったアーティストと組んで前衛的な音世界を繰り広げた。本作でもアヴァンギャルドな作風によって異界は流転するのだが、ややロックへの揺り戻しを感じさせる。AOR、プログレ、インダストリアル、フリージャズ、現代音楽等の用語が過去の作品では飛び交ったものだが、それらが凝縮して自然な形で出し入れされている印象だ。つまりはモダン化である。MORRIEの紡ぐ哲学的な詩や艷やかで麗しい歌唱を核にし、実力派演奏陣と共に彩っていく全11曲。まさに奇異な芸術である。

 downy3/4と共に身悶えるようなトチ狂ったハードコアを掻き鳴らす#1「Prologue:Go Under」、ひらひらと桜吹雪が舞うような#2「春狂え」と序盤を飾り、雪月花やジョルジョ・デ・キリコの「不安にさせるミューズ­」にインスパイアされて制作したという曲も登場。聴いていると以前と比べてファルセットの多用が耳を引くが、幻想的なクリーン・トーン、そしてフリーキーに炸裂するサックスやストリングスなどが複雑に絡み合い、化学反応を起こしている。小規模なオーケストラとして成り立ち、多彩な形でもって翻弄する御大の音楽からは、個人的にKayo Dotとの親和性を感じるところ(ブラックな苛烈さは無いが)。時として陰負の感情を焼き付けることもあるが、鋭く牙を剥くよりも不思議と包容力を持った救いの音楽として成り立っている印象は強い。

 張り詰めた緊張感の中で喜劇と悲劇が繰り返されるような大曲#9「Unchaind」、アルバム最長となる9分強#11「Killing Me Beautiful」といった終盤では、官能的な美しさに耽溺する。また、ソロ故にMORRIE原液そのもので作られているだけに味も濃ゆい。BUCK-TICKもそうだが、時代の変革に対応しながら、想像力を羽ばたかせてロマンティックな、余りにロマンティックな音楽を生み出す。そして、あなたも「MORRIEに首ったけ」となるのである。


エクトプラズム

Ectoplasm(2005)

 DEAD END/Creature Creatureの核であるカリスマ・ヴォーカリスト、MORRIEが2005年にリリースした初のベスト盤。1990年代前半に発表された『ignorance』、『ロマンティックな、余りにロマンティックな』、『影の饗宴』という3枚のソロ作品から選りすぐられたもので、さらにはVHSにしか収録されていなかった音源「パニックの芽」も加わった全15曲が収められている。前述のアルバム、それに発表した5枚のシングルはいずれも廃盤となっているため、現状で入手可能なのはこのベスト盤しかない。ちなみにライナー・ノーツは、BUCK-TICKの櫻井氏が担当している。

 ソロ作品ということでDEAD ENDから引き継がれている部分はあるにせよ、MORRIEの表現者としての魅力を突き詰めたような作品である。サウンドはとても落ち着いたもので、歌に意識がいくようなつくり。MORRIEの歌唱も初期の様に刺々しいものではなく、『ZERO』期に近いもの。とはいえヴォーカルの加工はあるし、打ち込みやサックス等の装飾が施されているし、初めて聴いた時はとても大きな驚きを覚えた。ジャズやファンクっぽい要素、さらにAOR的な感触もあり。DEAD ENDの頃からのロック/メタル・サウンドからは想像もつかないものとなっている。さらに驚く事にバックには、元Swansのロリ・モシマンやジョン・ゾーン、四人囃子の森園氏などが参加しており、これまでと違った形へ着地しているのは必然といったところか。彼の特徴的な歌唱や哲学的な詩と重なる事で、終末の異世界へ強固に結びつけ、聴き手の内面の深く深くへ突き刺さる。このベスト盤だと『ロマンティックな、余りにロマンティックな』に収録されている楽曲(#5~#10)が特に印象的で、表現として非常にバラエティに富んでいて、なおかつ独特の緊張感を肌で感じる内容。表現者としてのMORRIEの豊かな才能を改めて思い知る事になる作品であろう。

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