mouse on the keys ‐‐Review‐‐

元Nine Days Wonderの面々を中心に結成されたインストゥルメンタル・トリオ。ジャズ~ポストロックを横断するピアノとドラムによるスタイリッシュなサウンドで人気を獲得。近年ではポカリスエットのCMやナカイの窓等に楽曲が使用されており、耳にしたことがある人も多そう。

レビュー作品

> the flowers of romance > an anxious object > Sezession


 

motk2015

the flowers of romance(2015)

 EP『machinic phylum』のリリースはあったが、フルアルバムとしては実に約6年ぶりとなる2ndアルバム。その間にはポカリのCM曲に使われたり、今でもナカイの窓に「最後の晩餐」が使われたり。いろいろな人のどこかで聞いたことある!感じの存在になってるのかもしれない。

 そういった紆余曲折があっての本作。前述のEPはチェックできてませんが、以前ほどガッと派手にはいきません。彼等は、トリオ編成によるスタイリッシュなピアノとドラムの組み合わせが生み出す、猛々しさと高貴さの同居するサウンドが一番の味だった。#3「Reflexion」や#5「The Lonely Crowd」辺りは、これまで路線を感じる楽曲といえるでしょうか。

 その上で、音楽的に抑制が効いてクールでシックな装いに変化。特徴のひとつである躍動感は一定レベルをキープしつつ、音響派的なチャレンジングがみえる。#6「mirror of nature」~#8「dance of life」までは、特に前衛的な側面が強く表れているように感じるところだ。滑らかな聴き心地からキュッと外すのがうまいというか。本作が日本のエレクトリックミュージック・レーベル、mule musiqからリリースされているのも意識の表れといえるのかもしれない。

 最後は、荘重なストリングスが緊張感をもたらす#9「Flowers of Romance」に痺れ、モーリス・ラヴェル「le gibet」のカバーでは不思議な余韻を残して終わる。そんな本作を聴いて、インスト・バンドとして変わらずに特異な存在であり続けているなあと思うのであった。表現者の矜持。


machinic phylum

an anxious object(2009)

   いつの間にかメンバー増員で4人体制となったmouse on the keysの待望の1stフルアルバム(メンバーは後に再び3人へ)。エレガントなピアノの旋律が鮮やかに空間を彩り、迫力に満ちた攻撃的ドラムが躍動するスタイルはそのままに、モダンでジャジーな雰囲気を一層強めた作品だ。

 ロックの激しいダイナミズムと落ち着いたジャズのテイストが全編から染み渡ってくる。それでも熱っぽくもありクールな面もあり、不思議な魅力を持ってるなあこの人達。

 緊張が張り巡らされた#1の小インストを潜り抜けると、前作の「最後の晩餐」を軽く凌駕するぐらいにスリリングな躍動感、ピアノの乱舞に酔いしれるキラーチューン「Spector De Mouse」で全神経を根こそぎ鷲づかみ。完全に自分達のフィールドへ持っていき、次の曲からは一転して刑事ドラマにも使われそうなぐらいに落ち着いた#3「Seiren」へと続く。

 その後、さらにシリアスかつミステリアスなムードを強めていくのだが、前作同様に絡むサックスやトランペットといった楽器の艶やかなカーテンのごとき装飾も見事(ライブでの映像効果も絶妙)。重なり合う音の美しさ、鉄壁のアンサンブルがもたらす至高の煌きはやっぱりこのバンドの強みかと思う。また、音符一つから構成に至るまでの間の取り方が絶妙なところも音作りの巧さを物語っている。

 ポストロック、ジャズといった要素をクロスオーヴァーさせ、それをロックといえる次元で鳴らす彼等の力量はさすがというほか無い。バンドとしての骨格と地位を確かなものとした良作。


Sezession

an anxious object(2007)

 このユニットが武器にしているのは、ヴォーカルでもギターでもベースでもなく、ピアノ。シンプルなピアノとドラムという構成ながら、繊細さとダイナミックさが同居する音楽を生み出している。英国のミニマル・ミュージックを背骨にジャズやクラブ、はたまたプログレまで感じさせるサウンドは、何ともムードたっぷり。

 荘厳美麗なピアノが造り出すサウンドは、アダルトなテイストや閑雅な雰囲気、耽美さを感じさせる芸術的な側面が強い。ピアノとドラムというシンプルな構成ながらも音の薄さは感じさせず、様々な音を重ねることでカバー。情熱的なサックスを取り入れることでエキサイティングさやスリリングさも感じられる。かと思えば、琴線に触れるようなピアノのセンチメンタルなフレーズには涙腺をやられるし・・・なんとも心憎い。

 多くの人の感性を刺激する彼等の音楽は、初聴した時に体中から湧き出る歓喜が大きかった。そのために4曲16分の内容では物足りない(むしろ、これほど短く精査された内容だから響くのかもしれないが)。フルアルバムをとにかく早く聴いてみたい気分にさせられる一作。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする