夢中夢 ‐‐Review‐‐

2002年に大阪で結成された2人組。ポストロック、クラシック、ミニマルミュージック、ヘヴィメタルを混成した一風変わったサウンドが人々の心を掴んでいる。現在までに発表した2枚の作品はいずれも高評価。

レビュー作品

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イリヤ-ilya-

イリヤ -ilya-(2008)

 約2年ぶりとなった2ndフルアルバム。多様なジャンルを飲みこんで活力にし、独創的な世界を築き上げるというスタイルはそのまま。その上で全体を力強くビルドアップしています。キメ細やかさと繊細さが増しており、慈愛に満ちた女性ヴォーカルと壮麗なるストリングス、煌びやかなピアノによる彩りは陶酔感を一層強めている。

 一方で持ち味の凶悪なブラストビート、邪気を滲ませる咆哮も前作同様に随所に登場。心を食い荒らすような破壊と美しき情愛を込めた再生が繰り広げられる過激なドラマが聴き手の感覚を狂わせます。ゲストとして参加したworld’s end girlfriendやミドリも艶やかな装飾を施し、意識を鋭敏に刺激。

 前作に比べると小奇麗になりすぎてしまった感はあっても、夢中夢らしい芸術性は堅持。前作の和の風情を感じさせる怪奇世界をもっと練りあげて欲しかったなというのはありますが、内容としては十分でしょう。10分を越える大曲#10「祈り」をはじめとして、夢中夢に振り回される結果になるかと。可憐なメロディが主導権を持つ場面が増えて、聴きやすさが増した分、入門編としてもオススメできます。

ちなみに未発表曲「赤と青の革命家」には、凛として時雨のTKがMIXを担当。これこそが夢中夢!といえるダイナミズムが堪能できます。アルバムの曲よりも惹かれたっていう人もいるかもしれません。


夢中夢

夢中夢(2006)

 “ブラック・メタルmeets久石譲”などと一部では謳われている関西バンドの1stアルバム。その噂に違わぬ強い毒気と闇の薫りがきつく漂ってきますが、それだけではないごちゃ混ぜ感が凄まじい。ポストロック、ミニマルミュージック、クラシック、ヘヴィロック、オルタナティヴ、ブラックメタル、ゴシックと多彩なピースを散りばめ、果てはオペラ的な要素までもじっくりと煮詰めて暗澹とした世界を構築しています。

 オペラティックな女性ソプラノVoを主体にし、麗しきストリングスとピアノがなめらかな曲線を描けば、極端に歪められたギターや獰猛なブラストビートが血を見るような惨劇を繰り広げる。さながらそれは、”天国と地獄を行き交う音絵巻” と表現できるかもしれません。表現として和の風情を大事にし、それ故に怪奇と漆黒の底なし沼が形成されて永遠にもがく感覚。複雑に入り組んだ曲の構成も精神を倒錯させていく要因として働いており、聴けば聴くほどこの世界から抜け出せなくなります。1stアルバムにして余りにも濃厚な作品。

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