NETWORKS ‐‐Review‐‐

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2000年代大阪を中心に「威呂波」「naam’」等様々な形態の音楽プロジェクトに参加していた3人が2008年春に都内で再会したことをきっかけにバンドを結成。「楕円運動のダンス音楽」「最終的に祈祷になること」を念頭に入れた音作りで、地に足をつけながらも一次元を越える快楽を供給する彼等のニュータイプ・ミュージックは底知れぬ可能性を秘めている。2010年の1stアルバム『White Sky』が傑作と評され、2015年には5年ぶりの2nd『Dynamic Nature』をリリース。

レビュー作品

> Dynamic Nature >White Sky


 

Dynamic Nature

Dynamic Nature(2015)

  実に約5年ぶりとなる2ndフルアルバム。ガットギター、シンセ、ドラムの3人編成による変拍子多用の人力ミニマル・ミュージックは前作の延長線上にあるものだが、快楽を煽り続けながら上昇していく感覚と心地よい開放感が存分に味わえる逸品だ。

 オープニングを飾る#1「Yas-rahGi」から反復による快感指数の上昇、変則的な展開によるキメの刺激によって、踊らにゃ損々のハイな状態に気付けば突入している。それを実現するしなやかでいて強靭なバンド・アンサンブルは、前作と同様に素晴らしい。ギターやシンセによって紡ぎだされる音色は透明感のある綺羅びやかさを持ち、清流の如く連なって美しくカラフルな集合体と化している。

 何より本作でも「音符は友達!」と某サッカー漫画の台詞みたいな、人懐っこい音楽がよく表現されているように思う。もちろん、顔面に当たっても痛くない(笑)。neco眠るほど風情を感じさせるものではないし、ROVOみたいに壮大に宇宙に突入ってタイプでもないが、距離感の近さを強く感じさせてくれるNETWORKSの人力ミニマル・ミュージックは格別。

 特に#2「Phoenergy」は、前作の「Ab-rah」に匹敵する凄まじい昂揚感がもたらされる名曲だろう。なかでも緩急を巧みに操縦しながらも小気味良い疾走感を保つドラムのプレイぶりにあっぱれ。さらには、スピードを抑えめにしてエレガントな音の意匠で心地よさを増幅していく#4「Sizq」は燻銀の技で、バンドの前進を物語る。その流れをひっくり返すかのようなラストの#5「UTAU」は、キャンプファイヤーで火を取り囲んで「アーアー」言ってる感じを受ける94秒。このような飛び道具を使ってくる意外性とユーモアがまた心憎い。心も体も弾むこの変拍子パラレルワールドは、全世界全宇宙において無敵だ。

 ちなみに特典として、昨年の秘境祭のライヴ音源2曲「Yas-rahGi」「dry eye」のDLコードが付属(自分は黄色いとこで購入)。こちらも踊らせにかかってくる気持ちよさがあるわけですが、LINUS RECORDSさんで購入すると上記にさらに「Ab-rah」「Phoenergy」の2曲がプラスされた合計4曲入りのCD-Rがついてくるという。一 番好きな「Ab-rah」が聴けないなんてのは後の祭なわけなんですが、これだけ配信等で売らないですかね、NETWORKSのみなさん? 是非ともお願いしたいところです。


 

【廉価盤】White Sky

White Sky(2010)

 〈楕円運動のダンス音楽〉〈最終的に祈祷になること〉といったコンセプトを基盤に、クリエイティヴな音楽を創造する東京発(元は関西の結構名の知れた人たち)の3人組NETWORKSの1stフルアルバム。その音符の配置ひとつ取っても、変拍子・ポリリズムを織り交ぜたリズムにしても卓越したテクニックと演者の知的センスが垣間見れると思う。ただ心地よいだけではなく、シンプルに感じさせながらも豊かで奥行きのあるつくり。ミニマル・テクノ・エレクトロニカ・ロック・プログレ・ジャズといった様々なジャンルの租借が見事に成された職人肌の本作は、3人という少数精鋭でありながらも見事な螺旋を描く素晴らしい作品に仕上がっている。

 ドラムの変拍子が渦巻く精妙なリズム構築の上を愛らしいキュートさと極彩色の光を放つシンセサイザー、呼応するように宝石のようなメロディを散りばめるギターが、美しいグルーヴとなって聴き手に多幸感と快楽をもたらす、インストゥルメンタル・ミュージックである。ロックとジャズの中間のような骨格の中で、地球が自転・公転を繰りしてその姿を変えていったようにミニマルらしい反復を繰り返しながら小刻みに変相を遂げていく。叙情の波紋を広げ、テクノ/トランスらしい感覚を呼び覚まし、最後には別世界から召還したかのようなドリーミーなオーラで地上を覆う。その繊細なサウンド・フォルムには引き締まった洗練を感じさせ、ある一定のダイナミズムを感じさせてくれるものの、優美にスタイリングされている。

 1stの時点で既に職人的というか、それは結成してからの1年という期間を練習と制作に充てたことで自分達のコンセプトを明確に作品へと還元。緻密な組み立ての基で鳴らされる音のひとつひとつにはまるで無駄が無く、艶やかな光を放ちながら有機的に溶け合っている。その鮮やかな手口たるや見事なものだが、作品の持つ軽やかさな質感や心身への明快な揺さぶりもまた素晴らしい。

 Mouse On The Keysのファンに受けそうな流麗なピアノから随一の昂揚感を掻き立てる#1「Ab-rah」、シンセとガットギターの美しいテクスチャーが木漏れ日のような温かさでくるむ#3「Co.dak-San」などが個人的には好み(曲名がすげえなと思ったりも)。どの曲にも背景に明媚な風景とドラマが浮かんでくるのも心に響く要因である。圧巻とかそういう言葉が似合う作品ではないが、クールで先鋭的な5曲約47分の本作を前にして、僕等は新たな歓喜を覚えることになるだろう。

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