PassCode ‐‐Review‐‐

大阪を拠点に活動するピコリーモ系アイドル4人組。ラウドロック+EDM風のサウンドを軸に、ポップやKAWAiiなどを投下して、バンドとアイドルの垣根を壊しにかかる。

レビュー作品

> VIRTUAL > ALL is VANITY


VIRTUAL

VIRTUAL(2016)

 ピコチャラウドルまっしぐらの4人組の約2年ぶりの2ndフルアルバム。1stアルバム『ALL is VANITY』の衝撃以降、2014年9月末から約半年スパンで3枚のシングルをリリースし、そのライヴパフォーマンスも手伝って、ハッカー増殖計画は滞りなく進行。ただ、昨年10月のワンマン・ツアー直前でリーダーが脱退する出来事もありました(ナタリーさんのインタビューで自身の歴史を赤裸々に語っています)。大上陽奈子ちゃんが加入しての5人体制は、2ヶ月ぐらいの儚い時でした・・・。

 本作も平地さんが全曲をサウンド・プロデュースを手掛け、新たにSiMやcoldrain等を手掛けた原浩一さんがマスタリングを担当しています。メンバーが固まってグループとしての再始動段階で発表した1stアルバムは、PassCodeとしての方向性と型を示していたと思います。そこからメンバーが順調に成長を重ねていった上でリリースされた本作は、きちんと地に足を着け、その土台に正しく諸要素を積み上げてきました。バンド好きとアイドル好きの垣根を破壊するラウドさがあり、目まぐるしすぎる展開を持ち、パリピの生産体制も整ったシンセのまばゆさがあり、女の子らしからぬ強烈なシャウトがあり。それらが本当に何段階もレベルアップを遂げているのです。

 冒頭を飾る#1「MOON PHASE」からわかる通りに、PassCodeの銃弾は威力増。翻弄しまくる展開に情報量の多さの中でとっ散らからずにまとめた構成は流石の一言ですが、ちゆな様(今田夢菜)のシャウトが特に凄まじい(誰かがtwitterで言ってたけど、デフヘブン感が確かにちょっとあるw)。ライヴで叩き上げられてきた成果が如実に伺えます。絶えぬパリピ感とチャラカッコ良さの中にスラップっぽいベースが随所にキレを出すシングル#3「Never Sleep Again」、前作の「アスタリスク」のように歴史ある和の要素を押し出した#5「NINJA BOMBER」と佳曲は多いですが、キめすぎないための遊び心が良い感じに作用していると思います。

 全体的には展開過多のピコリーモに無事着してきた印象。オートチューンとかも使ってるし(笑)。ただ、KAWAii要素の増量は感じるところでしょう。#4「ドリームメーカー」はでんぱ組.incのようだし(ちゆな様のシャウトが隠し味)、年頃の女の子感を押し出すポップ・ロック#9「Selfish Girl」を揃え、新鮮な気持ちになれたり。それに前作の「Link」やシングルのカップリング曲の「オレンジ」と同路線の感傷的なナンバーである#6「from here」の存在も大きい。

 ここが勝負どころと踏み、しっかりとクオリティの高いものをメンバーも運営も提供してきてくれたのは頼もしい。そして、今の時代に沿える強さを持つ。「僕らが当たり前に過ごして生きていること 噛みしめてけ」と歌う#8「Now I Know」は特に好きな曲。カッコいいアイドルとしての鮮烈なる証明作。


ALL is VANITY

ALL is VANITY(2014)

 流行りのチャラいのきたなという印象を最初は受けました。そんなピコリーモを軸に据えたアイドル・グループが大阪から登場であります。まあアイドル界隈では、BABYMETALが「いいね!」で真っ先にこの手の音楽を取り入れたり、疾風迅雷のラウドロック系アイドルのFRUITPOCHETTEも活躍してるが、ピコリーモをここまで本格的にやってるアイドルは、PassCodeがおそらく最初のはず。ピコドルですよ(笑)

 音楽的には、Fear,and Loathing in Las Vegasを大いにリスペクトしたものというのは感じるでしょう。オープニングを飾る#1「Toxic」からまさにその激しさ、そして、KAWAiiが詰め込まれています。土台には当然ながらラウドロック/メタルコアを据えているが少し抑えめで、アイドル要素を重視するためにEDMやチップチューンがもっともっと強い刺激を与えるような作り。そこに彼女達のKAWAiiness寄りの歌メロが入ることでポップさを表出(声を加工している場面も多々出てきますが)。

 パリピ的なチャラさはあるんだけど、デス・ヴォイスやビートダウンといったヘヴィな揺さぶり、たこやきよりもレインボーなシンセで頭をスパークさせにきてる。強引な多要素の連結を行うものの、楽曲が3~4分台という程々のコンパクト設計であることはジャンルの流儀に沿ったものでしょう。「激動プログレッシブ」というタイトルはドリカムのおっさんの嫁のバンドのアルバムを思い出させたりしますが(笑)。

 その#2「激動プログレッシブ」は、メリーゴーランドに乗ったつもりが、ジェットコースターでした!みたいな急転急転の連続で度肝を抜きます。さらには本作中で一番に複雑な展開を持つ#8「アスタリスク」は、眩暈がするほどの混沌ぶり。もうピコリーモ・エクスプロージョンであります。能などの和のエッセンスが持ち込まれ、鍵盤の美しい音色を絶妙に配置。聴いていると、マキシマムザホルモンやBetween The Buried And Me、Protest The Hero辺りも参照されている印象もありますね。もちろん、BABYMETALやBiSといったアイドル界隈の成功者達も。

 8bitチップチューンから完全チャラモード・スクリーム仕立ての#4「Club kids never die」はサウンド・プロデュースを手掛ける平地さんの参加していたバンドからの継承(原曲はこちら)。パチンコで確変突入したかのようなダンスロック調のサビを抜けると、デスメタリックな要素が悪戯に昂揚感を煽る#5「XYZ」も含め、ピコリーモ・アイドルらしい仕上がり。

 個人的には、忘れられない青春をなぞるようなメロディアスな楽曲の方が好み。#6「Over there」は彼女達の等身大の良さが表れたロック・チューンとして人気が高そうですし、メロコア+シンセで軽やかに突き進む#9「Seize the day!!」も良い。そんな中でBiSの「ODD FUTURE」を彷彿とさせるような儚い美しさと疾走感にジャジーなパートも盛り込んだ#10「Link」には、強く惹かれるものがありました。

【Picoreamo + KAWAii = KAWAreamo】という新しい方程式が本作で確立。重なり合えばパルプンテ、PassCodeが刻むビートを刮目せよ。ピコリーモに熱狂する若者から、かつてのミクスチャーおじさんたちまでどうぞ。

 

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