skyharbor ‐‐Review‐‐

インド・ニューデリーを拠点に世界へと進撃するNeo-Prog/Djent5人組。ギタリストのKeshav Dharを創始者に、数多のプロジェクトで活躍するDaniel Tompkinsをヴォーカルに擁するこのバンドは、Djentの急先鋒として世界的に評価されている。


Guiding Lights

Guiding Lights(2014)

 有吉先生に寝ぼけ女優と名付けられた長澤まさみが、バタフライしたガンジス川の流れるインド。その土地から生まれたDjent集団である。1stアルバム『Blinding White Noise: Illusion & Chaos』はヴォーカルにはDaniel Tompkinsを一部起用し、日本にも馴染み深いマーティ・フリードマン(J-POPいいじゃんオジサン a.k.a 凄腕ギタリスト)もゲスト参加したこともあって世界各地で話題となった。

 2年半という歳月を経てのこの2ndアルバムは、Animals As Leadersなどを手がけたことでも知られるSavell Forresterによるミックス/マスタリングの元で、プリズムのようにきめ細やかで端正な煌きを見せている。音楽的には、Djent特有の堅牢な構築性と変則性を持つものには違いない。数多のプロジェクトで活躍するDaniel Tompkinsのクリーンで情動的なヴォーカル、華麗で優雅なギターを中心に作品は綴られている。ある時は繊細な波のようにたゆたい、ある時は重厚なハーモニーが包み込み、ある時は攻撃的に振る舞ったりと変幻自在。そこには独自の美意識が貫かれており、過度に熱くなることや血気盛んに攻め立てることは控えめに、繊細なタッチで幽玄でアトモスフェリックな音響空間が造形されている。

 個人的には思い起こさせるのは、Deftonesのチノ・モレノ + ex-ISIS(the band)の三人衆で結成されたPalms。Djentという骨格の元で、銀河を駆け巡るかのようなスペクタクルな展開を約束しているとはいえ、計算され尽くしたメロウネスと浮遊感をまとっている。ポストロック風味のエレガントな風情の比重が大きいというべきか。さらには詰め込まれたエモーショナルな衝動。冒頭の#1「Allure」から終幕となる#10「The Constant」まで細部まで深く突き詰められた精度の高い楽曲が並んでおり、アルバム全体はスタイリッシュな統一感でありながらも実に表情豊か。紡がれる美音粒子の空間への浸透力と拡散力は非常に高く、宇宙的な広がりをも感じさせてくれる。

 その中でも特に甘美なメランコリックDjentワールドを奏でる#2「Evolution」、英国ロックのごとき気品と儚い幻想性に彩られた#7「Patience」が印象深い。また、#9「Kaikoma」では日本語の語りや女性コーラスといった虚を突くような一癖あるアクセントも堂に入っている。総じて脳の中枢を刺激される実に見事な作品だ。溢れる創造性と卓越した演奏力によって具現化されたNeo-Prog/Djent幻想叙事詩。

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