【アルバム紹介】thisquietarmy『Rebirths』

 カナダ・モントリオールのギタリストであるEric Quachによる、アンビエント/エクスペリメンタル音楽系を中心に据えたソロプロジェクト。2005年のプロジェクト始動以来、20タイトル以上の作品を発表。2014年4月にはTokyo Jupiter Recordsから日本編集盤をリリースしました。本記事は同作について書いています。

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アルバム紹介

Rebirths(2014)

 幣サイトでお馴染みのTokyo Jupiter Recordsの第31弾リリース。カナダ・モントリオールのギタリストであるEric Quachによる、アンビエント/エクスペリメンタル音楽系を中心に据えたソロプロジェクトの編集盤です。

 Aidan Baker(Nadja)Year Of No Lightといった手練とのSPLIT/コラボレーション・リリースを含め、2005年のプロジェクト始動以来、発表された20タイトルに及ぶスタジオ音源から4曲を厳選し、全編再レコーディングを敢行して収録。また、このリリースのために完全未発表曲である#5「Stealth Drone」をボーナストラックとして収録(全5曲約56分)。

 音楽的には眩惑のアンビエント、瞑想的なドローン、吹雪のような轟音と移り変わるエクスペリメンタル系といわれるもの。こう書けばNadjaが見え隠れしますが、実際に似ている部分は多い。電子音とドラムマシーン(生ドラムの曲もある)が登場し、冷涼としたギター・ノイズやトレモロ等も巧みに使ったスタイル。

 その上でthisquietarmyの場合は、轟音を押しだすことよりも美的な感覚が磨かれています。轟音シューゲイズという言葉を一番に当てはめたくなりますが、退廃的な雰囲気と厳粛な冷たさは、特徴としてあげられるところ。

 Nadjaの「Sky Burial」を髣髴とさせるような#1「Aphorismes MMXIV」を起点に作品はスタートし、#2「The Pacific Theater MMXIV」で早くも本作で最も重々しい音響が轟きます。そして、随一のインパクトを誇る躍動感を持った美麗シューゲイズ・チューンの#3「Revival MMXIV」、クリスタルのような透明感に満ちたアンビエントから重厚なサウンドへと変遷する#4「The Black Sea MMXIV」へと繋がっていく。

 ここまでが既存曲の再録ですが芸術性を重視した奥行きある音響を聴かせ、この手の音楽ファンをうならせる出来栄え。さらに完全未発表曲となる#5「Stealth Drone」は、出口なき深い残響にまみれる約13分となっています。

 前述したようにNadjaファンの琴線に触れそうな作品なので、少し手を伸ばしてみることをオススメしたい。ここでは新しい音響体験ができるから。

メインアーティスト:Thisquietarmy
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