Versailles ‐‐Review‐‐

2007年3月に、元LAREINEのKAMIJOと元SULFURIC ACIDのHIZAKIらが中心になって結成されたヴィジュアル系バンド。「絶対的な様式美サウンドと耽美の極み」、「薔薇の末裔」をコンセプトに美麗なメロディと荘厳なゴシック要素を加味したそのサウンドは本格派のメロディック・スピード・メタルそのもの。MALICE MIZER風の中世ヨーロッパを思わせる耽美な容姿と芸術性にX JAPANのメタル美学を加えた音楽性は注目だ。


Noble

NOBLE(2008)

 音楽を一聴した瞬間から驚かされた。猛烈な突進力で迫りくるリフ、涙腺を緩ませる美麗なるメロディ、絡み合うツインギター、滑らなベースライン、破壊力をプラスしていくドラミング。いや、それだけでなく艶やかなストリングス、優雅な美しさを際立たせるピアノ。そしてネオクラシカルやゴシカルな色艶も絡めて壮麗なるシンフォニーを響かせ、劇的なドラマを創生する。荘厳で気品溢れる美しい音楽に魅せられていく。

 これはイマドキのヴィジュアル系がやる音楽ではなく、北欧のメロディック・スピードメタルそのものである。ヴィジュアル直系のKamijoのヴォーカルには拒絶反応を起こす人も多そうだが(私自身もあまり好きではないが)、演奏陣に関して言えばメタルそのもので完全にそっち向けの音楽。しかもその高度な演奏技術が証明するようにかなり本格的である。これには耳を惹きつけられる人も多いだろうと思う。AngraやRhapsodyなんかを思い浮かべてもらうとわかりやすいかな。加えてオルタナティヴやゴシック、メロデスなどの様々な要素も取り入れて多様性を示し、独自の美学に基づいた濃く美しい世界観を確立している。まあ濃すぎて辟易してしまうこともあるのだが。

 容姿にしても写真を見ればわかるとおり、メンバー全員が男とは思えないほどの美しさ。中世ヨーロッパの貴族を思わせる端整なヴィジュアルであるのも気品を高めており、耽美な世界観を構築させている(Kamijyoはマリスミゼルのローディーだったらしい)。端的に言えばその世界観やヴィジュアルはMALICE MIZERの遺伝子を受け継ぎ、音楽はそこにXの破壊的な美学を混成したもの。そこにコンセプトとして掲げる薔薇のように毒々しい棘と可憐なる美しさを同居させ、独自の色をしっかりと表現している。傑作の#2、#8を始めとし、圧倒的なアグレッションで攻め立てる#4や#9、キャッチーな色気で魅せる#3、そして#7や#12といったバラードまで彼等の魅力が詰まっていて、最後まで堪能できる。

 過激かつ劇的な物語、儚くも気高きロマンティシズムに酔いしれることのできる作品。まだ手放しで絶賛っていうわけにはいかないけど、これから注目していきたいバンドの一つだ。

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