2004年1月~2017年7月まで13年間、音楽サイトとして運用。4年ぶりに形を変え、2021年6月より再始動。

コロナ禍突入後、個人的に1年3カ月ぶりの有観客ライヴ。ROTH BART BARONのツアーファイナル名古屋へ

 新型コロナウイルス感染症が人間から奪ったものは一体何か。自由、人との距離、移動、労働場所、お金。人それぞれにあると思います。僕にとってはライヴが浮かぶかな。毎日行ってるわけではないんですが、あの空間にいることが無くなっただけで、どこかぽっかりとしてしまった部分が自分の中にはあって。無くなってようやく気づくこと、もの。人間、そんな生き物だと思うところではありますが。

 僕自身、2020年2月29日のsukekiyo公演以来、1年3ヶ月ぶりとなる有観客ライヴ。ROTH BART BARON 『Tour 2020-2021極彩色の祝祭 の名古屋公演です。もともとDIR EN GREYの『疎外』を久しぶりの舞台にしようと思ってましたが、緊急事態宣言延長による公演延期によって、RBBのライヴが先になる(最終的にさらなる宣言延長によって『疎外』は行くのをやめました)。

 度重なる延期と振替を重ねて、本公演がツアーファイナルとなる。本公演も当初の1月16日から、5月16日へと延期となった末の開催。緊急事態宣言延長につき、どうなるかわかりませんでしたが、決行されました。RBBも1年3ヶ月前の2020年2月22日に、「けものたちの名前」ツアーでライヴを観てます。その時は愛知芸術文化センター 中リハーサル室にて中央に彼らが陣取り、ぐるっと360度をお客さんが取り囲むスタイルでのライヴでした。新型コロナウイルスが世を蝕み始めたころですね。

 17時45分ぐらいに名古屋ボトムラインへ。毎年行っていた「IMAIKE GO NOW」が昨年に続いて今年も無かったなあ、と会場前に着いて思いを馳せる。既に開場時間は過ぎているので人はまばら。検温、消毒に続き、個人情報記入(これは事前にやっておいた)と確認をして内部へ。変わらずに壁面にポスターだらけの階段を上がり、見慣れたステージとフロアに辿り着く。相変わらず誰もが感じるだろう2本の柱が邪魔ですが、これこそがボトムラインですって主張して今日まで存在し続けている。

 しかしながら、やはり勝手は違い、立ち見スペースはテープを使って細かく分割されています。上の写真見るとそんな離れてないような感じしますけど、すし詰め状態に近いかつてと比べるとどうなのかと思いましたが、実際に区分けされた場所に入ると空間的な余裕は感じます。2階の座って見られるエリアはわかりませんが、立ち見の方にはおそらく100人ぐらいの人がいました。当日はZAIKOによる生配信もあって同時進行で楽しむことができた(アーカイブ配信もあったので帰宅してから見れば良かった)。

¥2,879 (2021/06/06 10:06時点 | Amazon調べ)


 ほぼ定刻で始まる。7人のメンバーが順々に登場して1曲目「Voice(s)」。嵐は全く去る気配はないが、希望を持ち続ける灯を与えてくれる曲。当たり前になったマスク着用、声を出さないという状況ではありますが、久々に「戻ってきたんだ」という感覚が強かったです。鳴り響く楽器の音、繊細さと強さを兼ね備えた歌声。音楽を真っ正面から五感でフルに受け止めることがいかに大切だったか。湧き上がる歓びと共に、これを心身で噛みしめるようにしてROTHの音楽に身をゆだね、感動をもらう。

 新感染症によって失われたものはあまりにも大きいもの。ニューアルバム『極彩色の祝祭』は、そんな色を失った世界にも、祝われずに亡くなっていった人たちにも美しい音楽を添えていく。祝祭を奏でるようなトランペットやホーンの音色、ROTHの核となる三船さんの歌声が「どんなことが起ころうとも生きていく」という強い想いと共に届けられる。そこにみな、連帯と希望を見出していく。声は出してはいけないけれども、手拍子や拍手で感謝を伝える。音楽を共有できる空間にいること、この切実さ。

 ライヴは『極彩色の祝祭』からの出典をメインに進む。そのアルバムでは特に「ひかりの螺旋」という曲にいつも涙腺が緩みます。繊細なアンサンブルによって祝う、生誕といのちの螺旋。これほどまでに圧倒的な生命賛歌は、僕の中ではLa’chrima Christiの11分11秒の大曲「Magic Theatre」以来です。途中には新曲『鳳と凰』も披露されたし、「ウォーデンクリフのささやき」がこの状況下で聴いているからか余計に染みた。

 「1月にツアーが飛んでしまい、へこんでいた中で蔦谷好位置さんが俺たちに希望をくれた(関ジャムの年間ベストソングの件)」と話し、始まった「極彩|IGL (S)」。胎動のようなドラムに導かれ、「君の物語を絶やすな」と繰り返し、繰り返し、強い想いと共に歌われる。”生きる”に寄り添い、鼓舞するアンサンブルの美しさと躍動感にグッとくる。続く「NEVER FORGET」では、ギターの岡田拓郎さんが終盤のノイズパートにて、調理器具の泡だて器でギターをかき鳴らしていたことに驚嘆。さすがに初めてみた光景でしたよ(笑)。

 途中、三船さんは「名古屋で初めてライヴをしたのは、K.D.Japonだった」と話し出す。その時にPAをした岡さんという方が今日のライヴも担当。他にもその時に共演した人たちが形態や場所が変わっても、こうして今も音楽で繋がっていることで感傷的になったとのこと。動く、形にする、積み重ねる。長年、続けてきたことで得るものや繋がりはさらに大きくなって自分に返ってくるんだと話を聞いてて感じました。


 ライヴは2回目のアンコールで締めくくられる。ラストの曲は「氷河期#2」だった。しゃべってはいけないのに大声でしゃべる客がリクエストして急遽、曲を変えることに(当初はアルミニウムを予定してたんじゃないかな)。静謐な序盤から徐々に膨らみ、祝福の音色が響き渡る。そして今日ここに集まった全員の連帯感と昂揚感が結実していく。音楽を鳴らす歓びが、音楽を浴びる歓びが、ひとつの世界を満たす。ライヴという場所で体感する魔法。これからも続く人生の中で、ROTH BART BARONの音楽は今後も共に歩んでいくことになるんだろうなと改めて感じた次第。

 この日の彼らの音楽を体に、心に刻めたことが何よりも今の自分にとって大事なこと。1年3カ月ぶりということで感傷的になりすぎという気もするけど、やっぱりライヴっていう場は僕には大切であり続けるのだと再確認できました。偶然が重なるけど、ROTH BART BARONを久しぶりのライヴの舞台に選んで良かったです。

目次
閉じる