明日から生きることへの気持ちを奮い立たせる、そんな2時間のライヴでした。
envyは今回のツアー期間は、もともとオランダのRoadburnフェスティバルに出演を兼ねたヨーロッパ・ツアーを企画していたという。それが諸事情で行けなくなった。けれども、メンバーのスケジュールは抑えていたから急遽ツアーを組んだとのこと。
恵比寿リキッドルーム、大阪ANIMA、そしてここ名古屋の池下CLUB UPSET。テツさんが直電して会場の空きを確認するとそのまま抑えて3公演が実現。
たまたま会場が空いてたのはありますが、「自分たちの手の届く範囲でずっとやってきた」という言葉は30年たたき上げでやってきたバンドのスタイルを再認識します。
今回のツアー。昨年リリースしたシングル『Seimei』が大元になっていますが、先述したフェスでのオファーを反映して1~10曲目までの第1部が通常セット、11~15曲目までの第2部が『a dead sinking story』から選曲したセットでした。
「さよなら言葉」「左手」という往年のハードコアがクリティカルヒットし、いきなりボルテージ最高潮で迎えた第1部。
「Footsteps~」や「Dawn and gaze」の会場の過熱ぶりから大らかなダイナミズムに満ちた「Scene」、最新曲となる「Zansin」~「Seimei」まで第1部は全10曲を披露。
サプライズだったのは「Rhythm」にゲスト・ヴォーカルのAchikoさんが登場したこと。東京公演や特別なフェスしかゲストは基本的に登場しませんが、地方民にとってはこの上ない贅沢な体験となりました。
約1時間の通常セット後、第2部の『a dead siking story』選曲セットへ。
発売から20年。”当時は新たな要素を試行錯誤しながら楽曲制作したと記憶しています。 このアルバムが引き続き世に残る事に喜びを感じています“と公式Twitterで声明を出していますが、『君の靴と未来』を超えようともがいていたことが伺えます。
そんな本作を演奏する前に河合さんのMCがありました。東京公演で数年ぶりにMCして、そのまま今回も話すことにしたらしい。大事な言葉なので以下に紹介しておきたい。
演奏するにあたって聴き直したら自分に影響を受けた。それは未完成でもその時に思いきって発言した自分達に感動したから。未完成なのは若いから当たり前。財産なんだよ。前に進め!その時の気持ちになってこのアルバムを演奏します。
envy河合さんのMCより
「Chain Wandering Deeply」の”あてもなく彷徨うことに疲れ”から怒涛の連鎖。「Distress of Ignorance」や「Color of Fetters」などいつ以来の演奏なのかはわかりませんが、貴重な機会に遭遇しているのは確かなこと。
途中、河合さんに続いてテツさんも本作について語っていたことも記しておきたい。
(今と比べて)歌詞が多い。思いのたけを書きまくってたから呼吸をする場所がない、きついです(笑)。 僕の歌詞は悲しみや怒りもあるけど、全部次への希望に向かってる。今日泣いたって、明日がんばればいい。なんでもいいんだ。がんばれ。
envy テツさんのMCより
ラストは「狂い記せ(Go Mad and Mark)」。曲が最終コーナーを回って光と轟音に満たされる中、「人生に狂い記せよ」というテツさんの叫びが心に突き刺さる。彼等から届く音や想いは希望であり、明日へと向かう光。
どこにも属さず、なるべく自分たちの手の届く範囲で活動してきた30年。敬意を表するとともに今後も活動が続くことを願います。わたしがenvyを卒業するなんてことはないでしょうしね。
セットリスト
- Farewell To Words
- Left Hand
- Footsteps in the Distance
- Swaying leaves and scattering breath
- Zanshin
- Seimei
- Scene
- HIKARI
- Dawn and gaze
- Rhythm(with Achiko)
- Chain Wandering Deeply
- Distress of Ignorance
- Color of Fetters
- Reasons and Oblivion
- Go Mad and Mark