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7年の先にあった洗練を超えた境地 heaven in her arms『白暈』

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トリプルギターの駆使と詩的な表現を用いて国内外で支持を集めるポストハードコア・バンド、約7年ぶりとなる2017年発表の3rdフルアルバム。COHOLとのスプリット作に続いて、Daymare Recordingsからリリースされています。大きな揺さぶりとダイナミックな展開を持ったポストハードコアという基本線は、7年の時を経ても変わっていません。2ndアルバムと比べるとスラッジ色は薄め。以前より押し出されたブラックメタル寄りの激動と冷たさが結び付けられています。

ただ、それで無慈悲に素早く攻め立てるだけかと思えば違う。クリーントーンの美しいフレーズが儚さを表出させ、時に膨れ上がる音圧が恍惚へと誘います。先行曲として披露された#2「月虹と深潭」からは緩急の妙が絶妙であると同時に、猛烈なサウンドの中に溶ける繊細なアルペジオが深い叙情をもたらし、また本作の白眉である#4「終焉の眩しさ」では洪水のごとくトレモロとkentさんの叫びが聴き手の心の内をかき乱す。特に5分以降の展開はそこらのビジネス・エモを屈服させるドラマが詰まっています。

2014年にはDeafheavenとのツアーを行っていますが、アンダーグラウンドの線を飛び越えたドリームゲイズ~ポストブラックメタルの感触を上手く取り入れ、閉塞感を打ち破る光への道標としている印象。白を基調としたジャケ写には誰しもが驚くと思いますが、それが暗示していたであろう闇やどん底をくぐり抜けた先の光や希望が確かに感じ取れるものです。白い霧を思わせるような轟音ギターから徐々に音数を絞り、約11分をかけてドリップして美しさと儚さを抽出する#7「幻霧」は、本作のエンディングを飾るのにふさわしい1曲。

「心臓を吊せ 眼球を吊せ」と衝撃的に叫んでいた彼等が辿り着いた『白暈』は、洗練という言葉だけでは足りない7年の月日と音に対して真摯に向き合った男たちだからの境地なのだなと。

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