2004年1月~2017年7月まで13年間、音楽サイトとして運用。4年ぶりに形を変え、2021年6月より再始動。

自らの最大強化と深化と拡張 Oathbreaker『Rheia』

 2008年に結成されたベルギーのポストハードコア/クラスト・バンド。女性Vo.Caroを中心に醸し出す独創的ムード、ハードコアを基本線にクラストやブラックメタルを取り入れたサウンドで世界と戦う。そんな彼女たちの約3年ぶりとなる2016年9月発表の3作目。

 ポストハードコア~~ブラッケンド~ネオクラストの拡大解釈へと向かっているような彼女たち。侘しさを漂わせる独唱の#1「10.56」、そこから雪崩込む#2「Second Son Of R.」の体重の乗った怒涛のラッシュで早くもKO寸前にまで持ち込まれます。しかしながら、本作においては曲単位ではもちろんなのですが、全10曲という作品全体を通しての大きな緩急・起伏で聴かせます。そして、Jack Shirleyのプロデュースによる絶妙なシューゲイズ・テイストの武装。さらにアコースティック・パートも上手く組み込まれており、サウンド面において変化を感じるところが随所にあります。

 バンド最大の武器といえるのが、おっかねえちゃんねーこと女性Vo.Caro Tangheの強烈過ぎるスクリームの連続です。それが本作においては、女性の歌ものという側面を強化。艶めかしい歌唱やゴシックの要素を感じさせるなど、Chelsea Wolfe姐さんにも迫る表現を披露しています。そんな彼女の個が解放されて活きてきたことで、楽曲の幅広さにも説得力が伴っています。可変速自在の振り切れ具合で攻める#8「Where I Live」から、静動型ポストロックの壮大な曲調で聴かせる#9「Where I Leave」の流れは本当に見事。

 様々なアプローチを取り入れる。ゆえに多彩な曲調になる。それは当然のことですが、弊害として薄くなってしまう事もありえます。しかし、本作はいろんな要素のいいとこ取りに終わっておらず、ルーツを含めた自身の音楽性に対して上手く肉付けできてるからこそ、作品としての強固さというのを感じるのです。ノスタルジーを喚起する美しい静パートを挟みつつ、果て無き激情を胸にドラマティックな爆走劇をみせる#5「Needles In Your Skin」には感情的にならざるを得ません。ここがまだ進化の過程であるとするならば末恐ろしいバンドです。

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