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激・美・甘・衝 大飛躍の1枚 Deafheaven『Dreamhouse』

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 1stアルバム『Roads To Judah』で話題を集め、昨年にはleave them all behindで初来日を果たし、翌々日の名古屋公演では観客20人強というスカスカのフロアを見事なパフォーマンスで熱くした。アメリカのポストブラックメタル・バンド、デフヘヴンの2年ぶりとなる2作目。

 既に所属のDeathwishの看板バンドのひとつとなった感のある彼等ですが、Pitchforkを始めとした海外メディアで高く評価されるのも頷ける、キャリアでもターニング・ポイントとなる作品を2作目で早くも送り出してきました。焦燥感を煽り立てる激速とトレモロ、Vo.ジョージの切迫とした叫喚等のブラックメタルをベースとしたサウンドの中核は健在。それに激情系ハードコアが持つ胸を掻き毟る様な感情の迸りがあり、蒼い初期衝動が走り、ポストロック/シューゲイザーを巻き込んだ繊細で甘美なメロディまでもが響きわたります。

 音の強度・疾走感を保ちながらもモグワイ系の轟音系ポストロックへと雪崩込む#1「Dream House」を皮切りに、ハードコア~メタルから現代のインディ・シーンまでもを俯瞰した上で、わかりやすくトレンドを抑えたモダンな音響構築でまとめています。フックの効いた展開、静と動による見事な塗り分けによるロマンチシズムはさも当然と言わんばかりのレベルであり、近年のenvyばりの激情系ハードコアと怒涛のブラスト・ビート~疾走の応酬が壮絶な表題曲#3「Sunbather」にもまた圧倒されてしまう。自らの音楽に十分に磨きをかけ、より大きくスケール・アップしたことが伺えます。

 その上で本作で飛躍的に向上したのは、Wolves In The Throne Roomと比肩するぐらいの全体を通しての構築美でしょうか。7曲中10分弱/超の曲が4曲あるのは1stもそうであるが、インタールード的な#2,、#4、 #6といった楽曲がもたらす安らぎや緊張感、荘厳さがまた見事。なかでも作家ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』をAlcestのネージュが朗読する#4「Please Remember」は、アコースティックからインダストリアル・ノイズまでの振り幅で驚きを与えてくれる(この小説は、ジョージの敬愛する小説のひとつだとか)。作品にはまるで抜け目が無く、攻撃性と叙情性のバランスも不思議と感じるぐらいに良いです。

 その後に続く14分半の大曲「Vertigo」もまた非常に印象的な楽曲で、カミソリのような切れ味と哀愁の旋律が交錯し、ドラマティックに展開していく。またラストの#7「The Pecan Tree」では本作でも最も苛烈なブラックメタルを轟かせる前半を経て、後半ではExplosions In The Skyのような多幸感と美しさを持って全7曲約60分を壮麗に締めくくります。確実な成長と深化を示す作品であり、AlcestやLiturgy、Krallice等が示したポスト・ブラックメタルを代表する一枚としてこれからも評価されていく一枚。

 また、Daymare Recordingsから発売された国内盤にはBosse-De-NageとのスプリットLPに収録された、モグワイのカバー「Punk Rock / Cody」を収録。来日公演でも最後に演奏されたこの楽曲では、モグワイに倣った美しい轟音と悲痛な絶叫から残り1分になろうかというところで、ブラスト~疾走で駆けあがる爆発的なクライマックスが素晴らしいです。

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