彼等らしい狂いと毒の詰め合わせ PIERROT『PRIVATE ENEMY』

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 1990年代後半~2006年まで活動を続けた日本のヴィジュアル系バンド。約1年4ヶ月ぶりとなる2ndアルバム。メジャーらしい多様性とポップネスを表現した前作から比べると、本作はかなり毛色が違い、随分と内省的でダークです。 それこそインディーズ期にも迫るほど、音や歌詞はコアで過激な方向へ。

 先行シングルである#2「CREATURE」や#5「AGITATOR」で顕著だが、過剰な攻撃性と扇情性が精神にも肉体にも効いてくる。壮大に白銀世界を奏でる#8「パウダースノウ」のようなセンチメンタルな楽曲もあるとはいえ、メジャーに移籍したからもうちょっと大人しくしているのかと思えば、彼等も我慢はできなかった模様です。

 ささくれたギターリフと社会を風刺する詞によるアグレッシヴな#3「ENEMY」、地獄へ一緒に堕ちていこうとするミッドテンポのヘヴィ・チューン#9「ゲルニカ」、ドラム缶を用いて金属的な音感を獲得したのに加えてサックスも悪戯に鳴る#10「FOLLOWER」とアルバムの中核を担う曲も主張は強い。加えて、ストーカーや少年犯罪、宗教団体などを風刺したメッセージ性の強い歌詞には、並々ならぬ説得力があります。

 トータルバランスやとっつきやすさは前作が遥かに上だと思います。けれども、聴けば聴くほどにハマったら抜け出せない中毒性はこちらの方に軍配が上がるはず。メジャー期で最もコアな表現が詰め込まれた作品であり、PIERROTらしい狂いと毒の詰め合わせ。た僕としては当時によく聴いてたこともあり、切なげ疾走曲#14「神経がワレル暑い夜」が一番好きですね。

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