【アルバム紹介】BLUEBEARD『BLUEBEARD』、蒼い情動が生んだ奇跡の様な1枚

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bluebeard(2001)


bluebeard

 1997年12月に結成。2001年前半に活動休止をした日本のエモーショナルロック・バンド。2枚の7inchと1枚のフルアルバムと残した作品は少ないながらも、未だに日本最高峰のエモ・バンドとして後世に大きな影響を与え続けている偉大なバンドです。そんなbluebeardが、産み落とした最初で最後のフルアルバム。全8曲で約27分という短い収録時間ながら、エモを語る上で絶対に欠かせない大名盤として、評価は非常に高いです。

 紺碧の空に広がっていく美しいギターの旋律にただならぬ昂揚感を覚える#1「Intro」から、キャリア屈指の名曲#2「Room 501」への繋がりは、作品への期待感を高めます。蒼く感傷的なメロディはそれだけで感動を呼ぶものですが、バンドの中核となっている高橋氏のヴォーカルが特に印象的。その伸びやかな歌声は、どんよりとした雲を突き破る様な一筋の光のようです。また、非常にアメリカナイズされていて、歌詞は全て英詩であり、Sunny Day Real EstateやTexas Is The Reason、Mineralといった90’sエモの情緒を受け継いでいるように感じます。

 しかし、それだけで終わらない。独自の美意識から日本的な叙情性と奥ゆかしさがプラスされています。壮大な展開を持つ#3「Over Again」は心の芯から熱くなるものがあるし、粉雪が舞う景色の中でしんみりと聴きたい#5「Snow」、起伏に富むドラマティックな#7「Can’t Rely On」の普遍的な美しさを備える。

 理想的な形で90’sエモのフィーリングを凝縮し、日本人の視点から再構築したような感触もあります。それゆえにひとつの完成系を本作で表現したといっても過言ではありません。伸びやかなヴォーカリゼーションと一級品のメロディ、蒼い情動が生んだ奇跡の様な1枚。2015年にリマスター発売されましたが、完売。現在は入手不可。

お読みいただきありがとうございました!
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