そして伝説となった… The Angelic Process『Weighing Souls With Sand』

 アメリカ・ジュージア州の夫婦デュオによる、アンビエント/シューゲイズ/ドローン・ユニット、The Angelic Process。Nadjaをも凌駕する絶対的音圧とアンビエント/シューゲイズ要素の融合で、圧倒するインパクトを誇るサウンドスケープを構築。

 本作は2007年発表の3rdアルバム。驚異の音圧が然るべき絶望へと放り込む作品です。とてつもない破壊力と絶望感に苛まれる恐ろしさを誇っている。例えるなら薬漬にしたJesuとNadjaの邂逅か。といっても聴く人はみな、これを聴けばNadjaを思い浮かべることでしょう。

 SUNN O)))やNadjaとタメを張る奇天烈な轟音に、時空は一瞬にして歪む。憂鬱から生まれる絶望感をテーマに、過剰に負の怨念を吹き込んだ吹雪のようなノイズには唖然とする他なく、この世の果てまで吹き飛ばされます。深い悲しみを背負った哀切なイントロから分厚い轟音が問答無用で炸裂する#1が本作の全てを物語る。超重厚な迫力とスケールで迫りくるこの音像は相当なインパクト。

 ただ、アンビエントな揺らぎやシューゲイズに寄りそった音色があれど、リフによる細かな息遣い、どっしりとしたリズムの刻み、ささやきと絶叫の交錯と意外とロックしている印象。上下動の蠢きは天国と地獄への往来を表しているよう。ドラマティックな展開で1曲1曲をしっかりと完結しているスタイルも惹かれる点です。

 しかもこの手のバンドにしては曲が5~6分とそこまで長く無く、最長でも10分を切っているのも特徴。轟音の裏で祈祷するようなヴォーカルはJesuを想起させるし、所々にメランコリックな叙事性を含ませたり、仄かに神々しい響きを持っています。重さの中に浮かび上がる浮遊感の同居に繋がっている。嵐のようなノイズの奔流による恍惚感は圧倒的。絶望はどこにあるのか?絶望はここにある。ただ、その先には美しさも存在しています。

 しかしながら、バンドは既に活動を終了。夫であるK.Angylusの右腕が不自由になったことで演奏ができなくなったからだ。そのことに絶望したのが原因だろう、翌2008年に彼は不思議な死を遂げている。だが、その超人的な音圧は既に伝説化。決して忘れることはできないユニットとなりました。

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