Absent in Body、畏怖の闇。肥える重低音。

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 Neurosisのスコット・ケリー(Gt,Vo)、Amenraのマチュー・ヴァンディカーコーヴ(Gt)とコリン(B,Vo)による暗黒グループ。2015年にスコットとマチューによって活動が始まり、翌年にコリンが加わって本格化。2017年には、ベルギーのレーベル Hypertension Recordsから20分の大曲”Absent in Body”が500枚限定のレコードでリリースされています。

 そして、2022年に1stアルバム『Plague God』を発表。元Sepulturaのドラマーであるイゴール・カヴァレラが参加することでオールスター・プロジェクトに拍車がかかりました。本記事はその1stアルバム『Plague God』について書いています。

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Plague God(2022)

 1stアルバム。全5曲約36分。タイトルは直訳すれば”疫病の神“。制作は2017年から2021年にかけて行われ、パンデミックの影響もある。これについてコリンは”パンデミックはもちろん、エコロジー、人間関係、人々の間の偏愛、人類がゆっくりとお互いを食べ合っていくなど、すべての文脈で意味があった”とINVISIBLE ORANGEのインタビューで答えています。

 作品はどす黒いグルーヴに支配される中で、ゆっくりとした雄大な変動を伴うもの。NeurosisやAmenraの重音と闇はあっても、別のハーモニーが生まれている。ドゥーム/スラッジを基調に、インダストリアルやアンビエントの要素を加え、ディストピアの未来を描く。それぞれの本隊と同様の深い精神性を重んじていますが、2017年に発表した1曲20分の初作はリズムは打ち込みで、インダストリアルの支配力が強いものでした。

 しかしながら、本作ではイゴール・カヴァレラによるトライバルなドラミングが大きく作用することで、人間的な質感と機械的な質感の両方が相互に高め合うようになっています。またコリンのヴォーカルは、Amenraでの語りや高音の叫びは限定的に登場するだけ。大半は低い唸り声をベースに、地獄の連鎖を生み出していく。肥える重低音、冷徹なエレクトロニクスと共に”重苦しい”というインパクトを一番に植え付けています

 #1「Rise From Ruins」は苦悶スラッジとアトモスフェリックな音使いが悪魔を召喚し、煉獄行脚のような#3「Sarin」と「The Half Rising Man」が身も心も抑圧する。先行公開された#4「The Acres/The Ache」はAmenra『De Doorn』に近似する音楽性を示しており、グラデーションのように闇の層を描きだすアート性を持ち合わせている。

 マチューは本作について「この音楽を創るために、自分たちに何の制限も境界線も課していない。全てを妥協することなく、インスピレーションに身を任せたんだ。それがこのアルバムの美しさであり、強さなんだ」と話しています。その結晶となった『Plague God』は、NeurosisやAmenraとは違う地平を切り拓きました。肉体的にも精神的にも”ヘヴィ”を追及してきた手練れ達による創造は、それぞれの本隊とは別の形で聴覚破壊と退廃の美学を詰め込んでいます

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