【アルバム紹介】Conquer Divide、メタルコアからの拡張

 2013年に活動を開始したアメリカ・ミシガン州出身のメタル系バンド5人組、Conquer Divide(コンクアー・ディヴァイド)。

 メンバーは全員が女性でアメリカ、イギリス、カナダの混成。2018年までは6人組で短い活動休止明けの20年からは5人組として再始動。15年に1stアルバム『Conquer Divide』、23年に2ndアルバム『Slow Burn』を発表しています。

 本記事はフルアルバム2作品について書いています。

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アルバム紹介

Conquer Divide(2015)

 1stアルバム。全10曲約44分収録。当時は6人組でクリーンとスクリーマーのヴォーカル2人体制、ツインギター、ベースとドラムの編成。

 August Burns RedやParkway Drive、The Usedに影響を受けているとのことで、音楽的にはメタルコアとスクリーモの中間をいくような印象を受けます。

 ザクザクと刻むリフとドコドコいわせるバスドラムにスクリームで機動力と攻撃性を担保。相反するクリーントーンや伸びやかなヴォーカルをサビ中心に配置し、緩急と静動のバランスをみながら楽曲が組み立てられています。

 B級感あるメタルコアとメジャー感の伴うロックを往復運動し、プログラミングによるアレンジでスケール感も稼ぐ。マニアックすぎない落としどころゆえの聴きやすさがあり、Paramore辺りに通ずる爽快さを感じることもあります。

 そんな本作の聴きどころは2人のヴォーカルのコンビネーション。”どのような感情を表現したいのか”で役割分担が決まっているそうですが(Metal Magnitudeのインタビューより)、掛け合うようにクリーンボイスとスクリームを入れたり、あえてお互いを被せたりしながら楽曲の情緒を引き出しています。

 ABRを彷彿とさせる#2「Self Destruct」の周り全てに噛みつくようなアグレッシヴさ、父親との緊張した関係を題材にした#6「What’s Left Inside」のシリアスな表現は特に本作で光ります。

 国内盤には歌詞対訳付きで、#7「At War」は男性優位なロック/メタル界を戦っていく彼女たちの覚悟が表れている。

 またボーナストラックとして#11「Eyes Wide Shut(Acoustic)」が収録。アコギとストリングスの穏やかな音の上を伸びやかなヴォーカルが彩っており、彼女たちの新しい一面を披露しています。

メインアーティスト: Conquer Divide
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Slow Burn(2023)

 2ndアルバム。全13曲約53分収録。メンバーが6人→5人となりドラマーが交代し、スクリーマーのJanel Duarteがベースを兼任する新体制での8年ぶり復活作。

 Conquer Divideの新章はメタルコアからオルタナティヴ・メタルへ。クリーン&スクリームによるWパンチは核として残るものの、楽器隊による前作の攻撃的な振る舞いは明らかに減っています。

 変化で言えばBring Me The Horizonの『amo』への追随でしょうか。#2「N E W H E V E N」や#5「PRESSURE」のようなエレクトロックなアプローチはその影響を垣間見せ、現代的なフックを加えることでスケール感を増しています。

 しかしながら、バンドは”叫び”を手放してはいない。そしてサビのメロディックなセクションで聴き手を仕留めることは一貫しています。

 アルバム全体はミドルテンポの楽曲を中心に、強いグルーヴを生む演奏が牽引。そんな中を冒頭から途中までデスコア化する#9「Afterthought.wav」やストリングスと共に駆ける#10「The Invisible」が大きな揺さぶりをもたらしています。

 歌詞もまた変化しており、個人的なものよりも社会的な問題を扱うことが多くなっている。#4「welcome2paradise」では環境問題を取り上げ、#6「System Failure」にて現代の社会システムの欠陥を憂う。

 そしてラストを飾る#13「gAtEkEePer」は音楽業界への女性参加を最小限に抑えている門番に対しての歌です。

 ”このアルバムに込めた私たちの最大の願いは、このような感情を抱いているのは自分一人ではないということを知ってもらうこと” そんな言葉をギタリストのKristenは残していますが、拡張された音と貫かれる意志はより強力なものになっていることを『Slow Burn』は示しています。

プレイリスト

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