【アルバム紹介】Crone、盟友と共に紡ぐムーディーな音響

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Endless Midnight(2011)

   ex-ISIS(the Band)のベーシスト、ジェフ・キャシードによる新プロジェクト。1stアルバム。ミックスにはアーロン・ハリス、マスタリングにはジェイムズ・プロトキンを起用し、アートワークにはアーロン・ターナーとフェイス・コロッチャ嬢(Mamiffer)が携わっている。

 延々と続く夜の闇、そこに一瞬だけ差す柔らかな光。そんなジャケットの世界観を寸分の狂いも無く、丁寧に丁寧に機織りしていった結果が本作。ISISを経由しつつも言葉は無く、また暴力性も一切感じさせないダークなムードに包まれたシネマティックな音像が特徴です。5曲約50分の音絵巻から成る本作は、内省的表現力にアンビエント/ドローンが実に洗練された手腕で描きだされています。

 ふくよかなベースラインが軸となってアンビエント/ドローンのくぐもった音像の中で揺れ動き、ギターはパッと光を指し、儚げな電子音やキーボードが繊細に触れ合いながら表情をつけていく。10分という長い時間をかけて、様々な音の粒子が触れ合い・溶け合うミニマルな展開とゆるやかな変相によって、心地よい陶酔感に浸れる事ができます。

 そしてまた、かつての盟友であるアーロン・ハリスにブライアント・クリフォード・メイヤーの参加。かつての仲間の助力を経て、神聖かつムーディーな音響を築き上げています。聴いているとkranky辺りからリリースされてそうな気さえする静かな魅力を持つ作品。

お読みいただきありがとうございました!
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