
1988年に北海道函館にて、当時高校生のTAKUROとTERUを中心に結成。90年代後半~00年代前半にかけて数々のメガ・セールスを記録した国民的バンドのひとつ。結成から35年を超えて今も輝き続けるロック・ハンドの良心。
アルバム紹介
灰とダイアモンド(1994)

1stアルバム。全10曲約50分収録。「-限りなく漆黒に近い純白-」と帯の叩き文句が時代を物語る、インディーズ時代の唯一のアルバムです。YOSHIKI氏のEXTASY RECORDSからリリース。
正規ドラマー・AKIRA氏を含めた5人編成の最初で最後の作品であり、GLAYの序章。90年代という時代性を感じますし、音はチープでスカスカ。それでも本作から後に再録される楽曲が多く、後追いリスナーもすでに一部の曲は知っているという状況かなと。
BOOWY直系のビートロックを主軸に、レーベルカラーやヴィジュアル系を意識したハードな曲も揃えられている。スピードとスリルを求めた#9「BURST」なんて、こんな荒々しい曲もやってるの?と初聴時は驚いたものです。
それでも全体的に刺々しさを感じさせないのが、GLAYらしさ。当時からポップへと向かっている事がうかがえますし、いわゆるGLAY節(というかTAKURO節)の萌芽が見えます。
荒削りとはいえ、メロディアスな歌ものが光る。それに、ピアノ・バラードの#5「RAIN」やアコースティック主体の優しいバラードの#10「If~灰とダイアモンド~」と揃えるものは揃える。
メガ・セールスを記録したベスト盤『REVIEW』にてリメイクされた#3「KISSIN’ NOISE」と#8「千ノナイフガ胸ヲ刺ス」、後に佐久間正英氏と初めてタッグを組んで3rdシングルとして発売された#3「彼女の”Modern…”」も収録。
”WOW バイブル×彼女の過激”という歌詞にしろ、#4「ひどくありふれたホワイトノイズをくれ」という血迷った曲名にしろ、これを真剣にやれるのがGLAYの人柄の良さ。若き日のGLAYはすでにバファリン並みの優しさがある。

SPEED POP(1995)

2ndアルバム。全12曲約62分収録。オリコンチャートで初めてトップ10入りとなる8位を記録したメジャー初アルバム。
シングル曲5曲(ほとんどが『灰とダイヤモンド』からリアレンジ)にカップリングは3曲収録。さらにはインディーズ時代から演奏されてきた曲を惜しみなく投下しております。
プロデュースは全面的に佐久間正英氏ですが、2曲を土屋昌巳氏、1曲をYOSHIKI氏が担当。メジャー資本による楽曲の洗練と佐久間氏によるアレンジが光っており、インディーズ期からは明確にクオリティの違いを感じます。
ハード・スタイルで押す#3「彼女のModern…」や#8「FREEZE MY LOVE」があれど、全体的にポップさに気をつかった構成。ピアノやシンセサイザーが取り入れられて楽曲の持つ彩度は上がり、ニューウェイヴやファンクに振れた曲も入っています。
バラエティに富んでいるのは本作の特色のひとつですが、そんな遊び心を持ったうえで聴き手に向き合った誠実なメロディと歌はやはりGLAYの芯。
”「LOVE SLAVE」と「ずっと2人で」を一緒に収録しても変じゃないのはGLAYだからこそ“とはTAKURO氏の発言ですが(Wikipedia参照)、ヴィジュアル系とロックバンドから離れていく部分としがみつこうとする部分がある中、それよりもGLAYであろうとすることにこだわる姿勢が伺えます。
ちなみに#3「彼女のModern…」のドラムはDEAD ENDの湊氏が担当しており、WOWバイブルがシャープな切れ味を増している。ストリングスを加えた#12「RAIN」の壮大さはプロデュースを務めたこともあり、めちゃYOSHIKI節が効いております。

BEAT out!(1996)

3rdアルバム。全11曲約56分収録。キャリアを通して初のオリコンチャート1位を記録し、80万枚以上を売り上げています。
プロデュースは引き続き佐久間正英氏。そして5人目のGLAYといわれるサポート・ドラマーの永井利光氏が本作から参加しています。
タイトル通りのシンプルなビートロックが主体。その中で#5「Together」や#12「Miki Piano」といったバラード、跳ねるリズムと共に華やかに展開する#4「Trouble On Monday」が脇を固めます。勢いやバラエティは前作に軍配が上がりますが、本作の方が間口の広さとまとまりのある作風。
人気曲である#7「生きていく強さ」や#9「グロリアス」のようなメッセージ性の強いロックは、ヴィジュアル系のヤンキー文化に染まらなかったGLAYの優等生ムーブだからこそ成せるものです。
彼等の音楽と詞は青春の1ページを思い出させ、今を鼓舞し、未来に向けて響く。何よりもオラつかず、押しつけがましさがない。
そこがまたGLAYがロックをやってるカッコいいお兄ちゃんであり、適切な距離感で接してくれる良さがあるからでしょう。”まず聴いてもらう”というポイントを明確化しており、万人ウケするのもうなずける作品です。
#8「週末のBaby talk」には当時JUDY AND MARYのYUKIさんがコーラスとして参加。また#6「月に祈る」はLUNA SEAに影響を受けたと公言する疾走曲で、リスペクトを込めてLUNATIC FEST 2015で演奏されました。

BELOVED(1996)

4thアルバム。全12曲約60分収録。ジャケットはアイスランドのシンクヴェトリル国立公園で撮影。シングル・アルバム通じて初のミリオンセラーを達成した作品です。
”今回は愛情にあふれた、温かい作品にしたかった(TAKURO氏談)”。”アルバムを通して聴くと、ミディアムが全然ミディアムに聴こえないほど、各曲のパワーがあるなと思ったんですよ(HISASHI氏談)”とそれぞれの言葉が残ります(wiki参照)。
GLAY is バラード的な公式は本作の成功によるところが大きいと思いますが(+のちのHOWEVER)、歌もの~バラードに心を動かされます。愛を歌い、青春を歌い、故郷を想う。そんな老若男女問わずに全世代に響く歌とメロディがとにかく強い。
代表格は#3「BELOVED」になりますが、後半の#8「a Boy ~ずっと忘れない~」~#11「都忘れ」までの流れはGLAYいいひと化現象を象徴。
幻想とか耽美とか闇とかはほとんどなく、人生に響く歌で聴き手に寄り添います。年を重ねるほどにその良さが沁み込んでくるのも特徴でしょう。
そういった中でJIRO氏が初作曲したパンキッシュな#4「SHUTTER SPEEDSのテーマ」、かろうじてヴィジュアル系を思い出させる#5「Fairy Story」、LAメタルっぽい#7「HIT THE WORLD CHART!」といった楽曲が変化球として機能。
全体的にバランスを取りながら、HISASHI氏のいうパワーを持った作品です。GLAYらしさを追い求めつつ、リスナーへの愛情を感じさせる本作は入門編に向いています。交差点で立ち止まるよりも先に『BELOVED』を聴けと。

REVIEW ~BEST OF GLAY~(1997)

初のベストアルバム。全12曲約61分収録。正直に言ってしまえば、どのオリジナルアルバムよりもGLAYを象徴する作品です。
その一番の要因は売り上げ枚数は約488万枚を記録し、日本のアルバム売上歴代3位を誇ること。当時にこれを聴いてない人間は、愛の蜃気楼で乱れていたとか。
TAKURO氏は本作について”ベストではあるけれど、新曲2曲(口唇、HOWEVER)を含むニュー・アルバムでもあります”と語る(wikipedia参照)。
バンドの一丁目一番地を張る永遠の名バラード「HOWEVER」がトレードマークになったようにポップスのGLAY、バラードのGLAYというのが世間的にも認知されていた気がします。
しかし、その魅力だけではないことを知ってもらうべく、本作はかなりロック色を打ち出しています。だから単純なシングル集ではなく、自分たちの意志を通したということで置きに行った選曲にはなっていません。
メジャーだけにとどまらず『灰とダイヤモンド』からも招集し、#5「千ノナイフガ胸ヲ刺ス」と#11「KISSIN’ NOISE」が疾走感と厚みを感じさせる再録を敢行。
留守電にKICKし、アブナゲな波に乗り、愛を凍らせるキレとハードさを伴う。一方でバラードでは彩るすべてを抱きしめる。これがGLAYだ!というプレゼンテーションを見事に果たした作品です。
ベストアルバム商法というビッグウェーブがさらに大きな波となった先駆けとも言われてますが、何はともあれ最初に聴くGLAYは『REVIEW』で間違いない。
・・・と言いたいところですが、全24曲収録してバランスの良い選曲のベスト盤『DRIVE-GLAY complete BEST』が2000年にリリースされており、今はこちらの方が初心者向け。

pure soul(1998)

5thアルバム。

HEAVY GAUGE(1999)

6thアルバム。
