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熱く、真っすぐに歌うロック。栄喜(SIAM SHADE)

2002年に惜しくも解散したSIAM SHADEのヴォーカリストによるソロ名義。ハードかつメロディアスなサウンド、ポジティヴなメッセージと情熱的な歌唱で人々を勇気づける。SIAM SHADE復活以降も定期的に活動。かつて出演したバラエティ番組「アウトデラックス」で愛犬の入れ墨と歯の話がマツコさんにハマるという奇跡もあり。世田谷学園バスケットボール部のキャリアを生かしたNBA番組への出演も多数ありました。

本記事は3作品について取り扱っています。彼の熱く真っすぐなロックは不変です。

目次

栄喜Ⅰ ~encouraged~(2013)

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 6年ぶりに本格的にソロ活動を再開したSIAM SHADEのヴォーカリストによるソロ・アルバム。わたくしは、解散直後はその動向を追い、ACIDの時はライヴも見に行ったけど、その後のソロ活動~新バンドのDETROX期は真剣には追いかけてませんでした。SIAM SHADE復活を機に聴いてみた次第。

「孤独、不安、焦り」という無限ループから抜け出す、「光」に満ちた45分間の応援メッセージ!
  栄喜が「真」を唄う渾身の10曲をドロップ!

 というキャッチコピー通りの作品。本当に極めて真っすぐなJ-ROCK。WBC中継(BS/CS放送)のテーマ曲になった#1「あのゴール成し遂げる所まで」を筆頭に、#2「Start」や#5「愛を言葉で」など、かつてないほどにポジティヴなエネルギーが迸っています。

 もちろんポップかつハードというサウンドがベースにあるのだが、SIAM SHADEの「Dreams」や「曇りのち晴れ」を髣髴とさせるような、前向きなメッセージと煌きのメロディが背中を全力で押す。湿っぽいバラードは一切無し。とにかく勇気づけてくれるアップテンポな曲が揃っています。

 親友の死や2011年10月のSIAM SHADEの再結成公演を経て、”明るい曲づくり”に挑戦することになったそうですが、ここまでストレートなものを作り上げてきたことには、驚きました。あえてSIAM SHADEとは別の方向を目指したというDETROXがかなりのヘヴィロックだったから余計に。ある意味では原点回帰ともいえそうですが、解散以降に様々な苦労や経験を積んでいるだけあって、その言葉の説得力や情熱は以前よりも強い。

 それに良くも悪くも真っすぐな人だと思うので、タイプ的にこういった音楽が合っています。『SIAM SHADEⅡ』の頃のメロディアス・ハードな#6「降り出した雨」やK-A-Z氏のヘヴィ・リフが冴える#8「Stop」のような曲が収録されているのも嬉しい。ちなみに全曲のドラムは、CROSSFAITHのTatsuyaさん。

 雲ひとつない青空のように晴れやかで澄み渡ったこのサウンド。ポジティヴな詩。エモーショナルな歌唱。栄喜さんが今だからこそ届けたい想いが形となって表れています。

栄喜 Zero~Returning~(2013)

 SIAM SHADE解散後の02年にスタートしたソロ活動の楽曲をまとめたベスト盤。解散直後の”未来”時代(未来と書くがヒデキと読む)から8曲、新たに立ちあげたバンドの”ACID”時代から3曲、再びソロ活動に舞い戻っての月刊HIDEKIシリーズの頃からは8曲と、選りすぐった19曲を収録。主にソロ活動初期(2002~2006年)の楽曲を網羅。また、全曲リマスタリングを行い、3曲はヴォーカルを再録し、5曲がニュー・ミックスが施されていて盤石。

 解散したてのころに作った曲には、SIAM SHADE用に温めていたものがあります。とはいえ、栄喜という人間に真正面から迫れるような楽曲は多く、ロックの力強さと真っすぐなメッセージ性を改めて感じるもの。曲調にしても、ライヴでの盛り上がりを約束するようなアップテンポな楽曲が大半を占めています。

 世田谷学園高校時代の先輩である吉田秀彦氏のテーマ曲にも使われた#17「The Secret」、SIAM SHADE時代の「GET A LIFE」にも迫る#15「Flight Advisor」のようなハード&ヘヴィなものから、締めくくりの#19「マーマレード」」のソフトな歌ものまで実に様々。苦労しながら打ち込みで作ったという#18「Leave Me」もあったりします。

 注目曲としては、ACID時代のもの(#1「Go」, #6「Business」, #7「SUSUS」)。このバンド時代は、もう一人のヴォーカリストとのダブル・ヴォーカルという形でしたが、それが栄喜さんひとりVerとしてイチから再録し直し。ロック色の強い楽曲の新しい魅力を引き出しています。

 #5「太陽に手を伸ばして」がニュー・ミックスとなっていて、さらに勢いを感じられる仕上がり。一番好きなのが、#3「声に…」という曲。これこそがSIAM SHADEように温めていた楽曲で、KAZUMAさんとの掛け合いを強烈に意識して作られていたというツイン・ヴォーカル仕様。ストレートなキャッチーさがあってライヴでの一体感ある盛り上がりが目に浮かんできます。

 SIAM SHADE解散以降の彼を追ってない人には、最適な作品。そういった人間を振り向かせるだけのエモーションが詰まってますし、追い続けた人間に対しても、新しい発見がいろいろとあります。

栄喜II ~Fight or Flight~(2014)

 自身の42歳の誕生日に発売された1年ぶりの2作目。昨年は、ソロ再始動を高らかに告げる1stアルバム、ソロ初期の集大成となるベスト盤をリリースし、後半はSIAM SHADEの12年ぶりの全国ツアーと本人にとっても精力的に動いて充実の1年。

  「戦うか、逃げるか。」とサブタイトルがついた本作は、SIAM SHADEの全国ツアーとほぼ同時期に並行して制作されてます。連日のハードスケジュールで極限にまで追い込まれた状態で「1stアルバムを超える」がテーマ。作風としては、迸るポジティヴなエネルギーを持つ真っすぐなロック。前作と全く変わらない路線。完全に吹っ切れた1stアルバムを経ての自信と経験、そしてSIAM SHADEの復活ツアーがもたらしたパワーが本作をより輝かせています。

 #1 「Understand」が象徴する鋭くハードな楽曲から、そしてしっとりとした哀愁のバラード#10「この世界が終わる迄」などが並ぶ全10曲。演奏陣には、本作もK-A-Zさんや人時さん(黒夢)といった実力者が顔を揃えているが、よりハードに、よりメロディアスに積み上げられていて1st以上にサウンドは強力です。

 特にツインギターの絶妙な仕事ぶりがロック色を強いものへ。前述の#1「Understand」なんて問答無用のかっこよさだし、風を突っ切っていくような疾走感を持つ#4「悲しみは続かない」や#6「Save me」のもたらす昂揚感も良いです。

 また、哀愁ハードロック調の#5「会いたくて」、胸焦がす熱いメッセージのこもったロック・チューンの#7「Stand up」も重要なピースとなっています。

 くじけても向かっていく強さ、空を突き抜けるポジティヴさ、太陽のような明るさ。今の栄喜さんは、明日へ向かう勇気と希望を与えてくれる言葉を詩にし、力強く歌いあげる。そして、多くの人々の心の芯に火を灯す。栄喜エモーション全開の本作は、これまで発表してきたソロ作品を通しても、一番の充実度じゃないかなと思うほどです。

 ちなみにDVDには、「太陽に手を伸ばして」「Oh happy day」「Wonder Wish」「戦争反対」 のライヴ映像(2013年6月の原宿アストロホール公演)を収録。さらにお馴染みのDJ浅井博章さんによる「栄喜IIパーソナルインタビュー」も特典。そのインタビュー映像では、アルバム制作についての事はもちろんだが、栄喜さんがお世話になったという地元・烏山の御食事所でカレー食べてる映像もあったりして、彼の様々な面が見れておもしろい。

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