【アルバム紹介】Khanate『To Be Cruel』

 2000年始動。SUNN O)))のスティーヴン・オマリー、ジェイムズ・プロトキン、アラン・ドゥービン、ティム・ウィスキーダとヘヴィミュージック界の名だたるメンバーを集めた4人組。その残忍なヘヴィドローンで世界に衝撃を与えました。

 2006年を境に一時的にバンド内分裂のために活動が止まるも、2010年代後半から水面下に活動再開へ動き出す。2023年に14年ぶりとなる5作目『To Be Cruel』を発表。

 本記事は前述のフルアルバム『To Be Cruel』について書いています。

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アルバム紹介

To Be Cruel(2023)

 5thアルバム。全3曲約61分収録。トップシークレットで制作された14年ぶりの復活作。タイトルは訳すと”残酷になる”。音楽で殺りにきている数少ないバンドのひとつがKhanateです。

 ”死んだ気分 ガソリンを泳いで マッチを放り込んでしまいたい“(引用:国内盤ライナーノーツ)と#1「Like A Poisoned Dog」冒頭の詞から絶望が広がる。徹頭徹尾スロウテンポ、耳に刺さるフィードバック、憎悪を送り出すアラン・ドゥービンのうめき声。それらが魂を貶め、命を削る作業を喜んで受け持ちます。

 ズーーンという持続音はあるものの、この音楽には行間を読む探求を課し、静けさと騒々しさが同居する。そんな20分前後の3曲を収録しており、精神をすり減らして聴くことを強いられ続けます。

 憎悪のこもりまくった音楽と言いたくなりますが、これについては”憎しみよりもパワーとエネルギーと緊張感を表現している。アランの歌詞もそうだけど、すべてを吐き出すことで解き放たれるんだ“とスティーヴン・オマリーは主張する(国内盤ライナーノーツより)。

 ラストの表題曲#3「To Be Cruel」はいくらかアンビエンスが幅を利かせているものの、最後に叫ぶ”俺はどん底だ“に終わらない地獄を突きつけられる。

 作品を聴き終えても心も身体も釈放されそうになく、14年ぶりに再浮上したKhanateがなおも特異な存在であることを『To Be Cruel』は印象付けています。

お読みいただきありがとうございました!
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