Khmer、ネオクラストと共にある特攻

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 ex.IctusのIvan、ex.El EgoのMarioが中心によって2012年にスペイン・マドリードにて結成されたネオクラスト~ブラッケンド・ハードコア・バンド。前バンドの功績はあるにせよ、スパニッシュ・クラストの頂を狙う激烈サウンドを武器とする。ここ日本では、LongLegsLongArms(3LA)が国内リリースを手がけている。

 本記事では2作品について書いています。

目次

SPLIT(2013)

  LongLegLongArms(通称:3LA)のレーベル始動となり、リリース第一弾。国内外の猛者がぶつかり合うスプリット作品。ひとつは、ブラッケンド・ハードコアのKhmer。そしてふたつめは、千葉のカオティック・ハードコアとして名を馳せるAfter Forever。

 まずは、Khamer。前身バンドもろくにチェックしていない不勉強なわたくしですが、そういう人間を軽く捻り潰す破壊力で大変強烈であります。Tragedyを思わせる展開が胸熱な爆撃インスト#1「Volver a empezar」から掴みは十分すぎるほどであり、78秒の中でブラストビートの激走とテンポを落としての遅攻の二本立てでしっかりと息の根を止めにかかる#2「El eco de mi voz」にしてもキまっている。それにスペイン語を吐き捨てるように叫び続けるヴォーカルのインパクトはかなりのものだし、演奏陣にしてもその実力を肌で感じ取れます。

 確かにブラッケンド・ハードコアが近いといえば近い印象ですが、メロディックな曲調の挟み方や緩急の妙は流石に歴戦の強者達が集まったことを感じさせる。だからか本作に提供した5曲の鋭利さがさらに引き立つというもの。ひたすら絨毯爆撃を仕掛けて来たかと思えば、スパニッシュ風のフレーズを挟んでハッとさせる#4「No nos recordarán」は見事ですし、ラストを飾る#5「Restos de un naufragio」では、意表を突く美しいアルペジオに胸を鷲掴みにされたかと思うと、いきなり暴虐サウンドが炸裂。激音好きにたまらない5曲を収録。

 対して、日本のAfter Foreverもアンダーグラウンド界でその名を轟かせるほどの存在。ただ、彼等も正直なところ僕はあまりよく知りませんでした(苦笑)。それでも流石に3LAさんがスプリットの相手に指名しただけあって、khmerに肩を並べる獰猛な音に血が騒ぐ。リリースは、2004年の3cmtourとのスプリット音源以来とのこと。

 #1「exist」でもう待ったなし。ツインヴォーカルっぽくなることも多い絶叫ヴォーカルが熱さを撒き散らし、ハードコアやメタルをルーツに”鋭・速・重”と叩きあげられた暴風雨のようなサウンドが畳みかける。とはいえ、彼等も哀愁や泣きのフレーズを効果的に取り入れ、振れ幅を作ることで殺傷力を高めています。

 なかでも#2「exist」や#3「times of grace」が非常にアグレッシヴでありながらも、計算されたカオティックな展開で興奮をお約束。NOFXのカバーである#4「dying degree」も収録しており、文句なく強烈な5曲が揃っています。

 現行のハードコアの未来を切り拓く者、そして、復活の灯を灯した者。2バンドが各5曲ずつ計10曲約28分の内容は、それぞれの出来の良さもさることながら、この両者だからこそお互いを引き立てながらスプリット以上の作風に感じ取れるものになっています。

 Clear Vinyl仕様でスペイン語訳付き歌詞、MP3ダウンロードコード付きとレーベル第1弾の本作に懸けた3LAさんの想いも熱い。本作はもちろん3LAさんで購入可能。

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Nubes que anuncian tormenta(2014)

 LongLegsLongArms(通称:3LA)のレーベル第一弾リリースを飾った、Khmerの2014年発表の新作。2015年3月に3LAやHALO OF FLIESなどの共同でLPとしてリリースされた。A面には2014年レコーディングの最新音源5曲、B面には2012年に発表したデモ5曲が収録されています。「編集盤」と表現するのが、もしかしたら正しいのかもしれない。

  レアルマドリードの高速カウンターばりの切れ味を持つネオクラスト/ブラッケンド・ハードコア・バンド、本作も絶好調。スラッシーなリフと手数多めのドラムによる向こう見ずな勢いで突っ走る#1「Pujares Negros」でKhmer流儀のネオクラストお・も・て・な・し・であります。

 ゴリゴリの重圧感よりもザクザクの切り刻み、そして相変わらず法定速度もクソもないこの人達だが、After Foreverとのスプリットを経たことで緩急の落差は大きくなり、ブラック&メタリックのさらなる肉付けで攻撃性に磨きがかかっている。中盤~終盤にかけてジェットコースターの急降下の如き炸裂感のある#2「Bajo La Cruz」や#5「Hagamos El Mal」においてはワンランク上の進化を果たし、#3「Metales que guardas」~#4「Si aún corre la sangre」でKhmerらしさを存分に発揮。全く期待を裏切らない内容です。

 デモ音源の方はというと、粗さ/荒さの特攻一番ハードコアぶりが痛烈。強引に聴き手を制圧するぐらいに迫力満点で、あっという間に終わる。2012年のリリース当時、Ictusのメンバーを擁するバンドとしての挨拶代わりの作品となっています。6~10曲目→1~5曲目の順番に聴けば、2年の進化というのをひしひしと感じます。クラスト山脈の頂を狙う急先鋒の面目躍如の一枚。

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