【アルバム紹介】lynch.、V系ラウドロック代表格

名古屋出身のヴィジュアル系ラウドロック・バンド5人組。ヘヴィかつメロディアスなサウンド、Vo.葉月氏のヴォーカル・パフォーマンスで人気を獲得。現在までに順調に作品をリリースし続けている。

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I BELIEVE IN ME(2011)

 約2年ぶりとなるメジャー・デビュー盤(通算4枚目)。これは一気に突き上げられます。海外ラウドロック/スクリーモ勢と比肩する迫力ある重厚なサウンド、そしてLUNA SEAから脈々と流れるヴィジュアル系の耽美性の両端が並び立つ音楽性が絶妙です。

 ピアノによる静謐なSEから一気にフルスロットルで加速し、エモい絶叫が炸裂する#2で一気に混沌へと雪崩込むと続く#3でもラウドかつメロディアスなサウンドが爆発し、一気にスパーク。

 獰猛でキレのある演奏と歌で荒々しく畳みかけます。さらにDIRを意識したような凶暴な#10「TIAMAT」の破壊力。1曲の中で次々と表情を変えていくことの鮮やかさが見事で、前述したようにヴィジュアル系の耽美性を引き継いだメロディも抑揚のある展開に繋がっています。

 透明感のあるフレーズを多用した演奏陣の上で感情込めて歌い上げる#7の流麗さには思わずハッとなるし、ミドルテンポの叙情性豊かなバラード#11では個人的に懐かしい想いすら浮かんでしまった。

 タイトなリズムを中心としたグルーヴに持ち上げられ、激情と叙情が鮮やかに交錯する#12の締めくくりにもまた興奮。

 メジャーということでのポップ/キャッチーにも意識を払いつつ、攻撃性と叙情性のバランスを重視した作品を見事に作り上げているFACTとかcoldrain辺りと普通にタメ張れそうなサウンドが花開いてます。

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INFERIORITY COMPLEX(2012)

   約1年ぶりとなるメジャー2作目となる5枚目のフルアルバム。激烈なアグレッションと予想以上のスピード感で吹き飛ばす#1「MOMENT」からlynch.節が全開。驚くほどの速さでジャブを次々と打ち込んでいくかのごとし。

 BPM200越えの曲を多数揃えたことからも本作では、スピードに重きを置いていますが、メロディにも磨きをかけています。

 先行シングルとなった「MIRRORS」からラウドでスピーディ、そしてメロディアス。刺々しく爆発力のあるアンサンブル、鋭いグルーヴ、そして葉月氏の歌唱が激しくも艶やかに咲き誇ります。

 その上でミクスチャー色濃い#4「NEW PSYCHO PARALYZE」、ラウドな前半から美麗さを加味しつつ、終局にはクラシカルなピアノで別世界に誘う#9「INFERIORITY COMPLEX」等で新しい要素を上積み。表現の幅の広がりがそのまま作品のスパイスとなっています。

 さらに#7「EXPERIENCE」にてINORANがアルペジオを弾く飛び道具を用意。その流れで『STYLE』頃のLUNA SEAを彷彿とさせるような#8「FROZEN」で透明感のある美しさが冴え渡る。

 私的にこの後半におけるヴィジュアル系臭さ、これがまたいい意味で好きだったりするんですよ。

 10曲で36分というコンパクトさもあいかわらずに潔い。自分たちに求められる攻撃性と叙情性を手堅くビルドアップしたサウンドを体現しつつ、地味に表現力を高めている辺りはいいですね。

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EXODUS-EP(2013)

 シングル『LIGHTNING』『BALLAD』に続いて発表となる6曲入りのEP。

 あっという間に終わる20分ですが、爽快かつ痛快。自分達の原点・初志に再び立ち返りながら、今のlynch.が目指すべきダークかつ獰猛なサウンドが追及されています。

 2分にも満たない時間で圧倒的なインパクトを持つ#1「EXODUS」、メタルコアとV系の折衷ともいうべき#2「ASHES」に#3「VANISH」と鋭い出足で一気呵成に攻め込む。

 どの楽曲でもV系らしい耽美性を上手くミックスさせながら、攻撃性に長けたサウンドを貫いています。一段と強靭となった音から重い右ストレートを打ち込むかのよう。

 ブレイクダウンやサビでのキャッチーさなどメタルコアの様式に沿いつつ、自分たちらしさがラストの#6「Night」に至るまで全編に渡って表現されています。

 その中でも、昨年に急逝したPay money To my PainのKに捧げた楽曲である#4「BE STRONG」がとても印象的。儚いメロディとVo.葉月の想いが詰まったメッセージに乗せた約4分に思わず涙腺が緩む。決意の一枚。

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GALLOWS(2014)

 2014年で結成10周年を迎えるlynch.の2年ぶりとなる6作目。節目の年を迎えたという事で並々ならぬ覚悟を持ち、「バンドの代表作」と誰もが認めるほどの完成度を目指して制作された作品となります。

 ゾクゾクとする冷涼なピアノが流麗に響きわたる#1「INTRODUCTION」、痛烈無比な重さと切れ味を備えた#2「GALLOWS」への流れからして衝撃。

 続いてのアルバムのリード曲である#3「DEVIL」もまた”lynch.印”の佳曲で、これ以降も彼等らしい攻撃的な楽曲がひたすら並びます。

 強靭な変則ビートで揺さぶりをかける#6「GUILLOTINE」、lynch.流の哀愁ヘヴィ4つ打ち曲#8「OBLIVION」、ひたすら獰猛に駆け抜けてみせる#10「MAD」など強烈なインパクト。

 しかし、10年目ということで勝負をかけた作品ですが、新しいことへ挑戦しているわけではありません。日本語詞が大幅に増えてはいますが、苛烈でスピード感のあるラウドロック/メタルコアに、ダークかつメロウな表現を積み上げたこれまでのスタイルをストイックに鍛え上げてます。

 昨年に発売されたミニアルバム『EXODUS-EP』では自身のルーツに立ち戻って、バンドの目指す音楽性を再確認。この経験を踏まえて、これしかない自分達の武器を総動員して一撃で相手を仕留めるほどに昇華させています。これこそがlynch.というサウンドを徹頭徹尾貫き通す姿勢は、本当に潔くてかっこいい。

 さらにGt.悠介氏が作曲した#5「ENVY」と#12「RING」の2曲では艶やかなメロウさが際立ち、アルバムに欠かせないアクセントになっています。ヴィジュアル系特有の歌謡性と耽美性も絶妙なバランスで、重厚なサウンドと鬩ぎ合う。

 そして、急逝したPay money To my PainのKに捧ぐ、決意の疾走曲#13「PHOENIX」で飾る壮絶なラスト。

 収められた全13曲約45分には、偏見や批判を捩じ伏せる力と勢いと意志があります。メンバー自身が10年目にして代表作だというのも頷ける充実の一枚。

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10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST(2015)

 結成10周年を記念しての2枚組36曲収録のベスト・アルバム。インディーズ~メジャーの垣根なく選曲されていて、わかりやすくlynch.がパッケージされています。

 ただ単に新規アピールというわけではなく、ライヴ・バージョンの収録や初期の楽曲の録り直しによってファンに向けた面もあります。

 DIR EN GREYの薫氏に初めて褒められた曲だという「ADORE」から始まり、トレードマークのダークで激しい曲が多めの選曲。

 メジャー以降の曲が中心とは鳴ってますが、その音楽性を一貫しつつも自分たちの美点を鍛え上げて、階段を上がってきたことが伺えます。

 初期曲の再録については賛否両論のようですが、荒々しさや焦燥感といったものが無くなってるように感じられる点が気になる模様。

 DISC1、2共に最後の方にライヴ音源を収録している辺りは、黒夢のオマージュですかね(笑)。彼等を初めて聴くならやっぱりここからが入りやすいはず。

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D.A.R.K. -In the name of evil-(2015)

 約1年半ぶりとなる7作目。今年春には2枚組となるベスト・アルバムを発表して新規ファンへのアピールも欠かしませんでしたが、ハイペースにリリースが続きます。

 作品としては、これまでの延長上であるいつものlynch.の音楽が鳴ってます。激しいラウドロックにヴィジュアル系譲りのお耽美なメロディが絡みあったヤツです。

 その必殺パターンにひたすら磨きをかけ、絶対的なレベルへと昇華する挑戦が続いています。とはいえ、作品毎に多少なりとも差異や変化というのはあって、本作においては艶やかなメロディと歌謡性が増量。

 ヘヴィなサウンドを主体にピアノを盛り込むと同時に歌メロが実にストレートな#2「D.A.R.K」、90 年代V系の香り漂うメロウ・バラード#7「ETERNITY」、タイトル通りの#12「MELANCHOLIC」などがそうでしょう。

 全体的にシャウトは少なめで聴かせる丁寧なサビを持つことで、キャッチーに仕立ててます。だからか、タイトルほどダークではない印象も。

 シャッフル調の#5「GHOST」や87秒で完結する#10「INVADER」ではBa.晁直氏が渋い活躍。最後にはlynch.らしい爆発力と疾走感を持った#13「MOON」が激震を誘います。あくまで自らの美点を研磨し続ける、そこに終わりはない。

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AVANTGARDE(2016)

 1年経たずしてリリースの8thフルアルバム。アヴァンギャルド(前衛的、革新的)というイメージがないバンドが出す『AVANTGARDE』はいかようか。

 メタルコアを幹としたファストな#2「EVIDENCE」、耽美性と艶やかな歌メロを重視した#3「PLEDGE」、まさにlynch.らしい要素で構成されたリード曲#4「F.A.K.E」の序盤。

 印象でいえばアヴァンギャルドではなく、彼等の王道という印象が強いです。己の武器をひたすら磨き倒す彼等そのものだし、継続された道を歩んでいます。

 #5「DAMNED」や「THE OUTRAGE SEXUALITY」のようにシンプルに勢いだけで畳み掛ける曲が目立つけど、葉月氏としても本作はそういった点を重視したらしい。

 小細工せずにライヴで盛り上がられるイメージといいますか。『GALLOWS』における集大成、そこから歌やメロディに艶やかさが増した『D.A.R.K.』と作品を続けてきた中でそういった回答になるのは頷ける点ではあります。

 ただ、全体を通すと物足りなさを覚えもします。前作からの上積みが感じにくいと思えたり、もっと濃ゆいlynch.が聴きたかったなり。

 意外性を発揮するラストのバラード調#12「FAREWELL」の美しさは格別ですけどね。自ら築き上げてきた音楽性を絶対的なものへと昇華するスタイルは、次作でもそうなのか。

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