
The Get Up Kidsと並んで初期エモの代表格としてその名を残すシアトルのロック・バンド。1992年に結成。1995年に一度目の解散、97年に再結成し、2001年に再び解散するという紆余曲折のバンド人生を送りました(2009年にはリユニオン・ツアーも)。
これまでに4枚のアルバムをリリースしており、1stアルバム『Diary』はエモの流れを決定づけた作品として今も語り継がれています。本記事では1stアルバム『Diary』、2ndアルバム『LP2』について書いています。
アルバム紹介
Diary(1994)

グランジ・ブームに沸く1992年にシアトルで結成し、1994年にあのSUB POPからリリースした1stアルバム。”エモはここから始まった”と言われるぐらいの名作であり、多くのフォロワーを生んできた作品です。
冒頭の#1「Seven」から大河のごときエモーショナルの奔流。切迫したギリギリの精神状態で発するジェレミーの唄が大いに揺さぶってきます。
バンドの核は間違いなく彼。陰鬱に支配されて歌い上げる場面から、感情の赴くままに声を荒げて叫ぶ場面まで、このヴォーカルの求心力はなんたるものかと驚かされます。
そこに哀愁が静かにこぼれてくるようなメロディを基調に、グランジ~オルタナ期の影響下を伺わせるエッジの立ったギター、美麗なピアノのアレンジが重なります。
儚い美しさ、憂い、陰鬱さを湛えた静にベクトルは傾いていることが多いですが、ダイナミックなサウンドとともに過剰なエモーショナルが胸の奥底に雪崩込むこともあり。その起伏のある展開がまた感動を誘います。
激しさと繊細さがせめぎ合いながら、ドラマティックに引き立てられていく#3「Song About An Angel」を中心に、エモ黎明期におけるひとつの答えを示した名盤。

LP2(1995)

約1年ぶりのリリースとなる2ndフルアルバム。「ピンク・アルバム」とも呼ばれる鮮やかなアートワークの本作は、1stの延長線上にあるエモを体現しています。
ただ、抑え切れずにノイジーなギターや声を荒げて熱量を上げる場面もあるとはいえ、全体的にはやや大人しくなった感が否めないところ。
彼の歌唱は、さらにナイーヴで聴かせる様に歌い上げる事が多くなり、その掠れたハスキーな声が枯れた哀愁を表現。切なくも儚いサウンドを奏でる楽器隊も変わらずで、メロディの強化に成功しています。
独特の歌唱表現からゆったりと憂いが滲みだしていく#1「Friday」、清らかな音色と儚い歌心に涙腺が緩む#4「5/4」といった楽曲が、その証明。前作ほどのダイナミックな展開は少ないとはいえ、聴くとその洗練された美しさがしみじみと心の奥底に広がります。
だからこそ、ソリッドで攻撃的な#9「Rodeo Jones」も引き立つ。ポップな要素も秘めながら、独自の感触を持つエモへの帰結。聴いているとどこか懐かしい気分に誘われます。
1stや最終作となる4thほどの評価は獲得していないものの、聴きやすさを備えた充実の作品。
なお当時の彼等は売れすぎたことへの戸惑いや葛藤を抱えていたそうで、本作品を持って一度目の解散を迎えてしまいます。

How It Feels to Be Something On(1998)

3rdアルバム。coming soon…

The Rising Tide(2000)

4thアルバム。coming soon…
